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マッチングアプリで彼氏ができた夜、後悔しなかった6ヶ月の話

「マッチングアプリで彼氏ができました」と友達に言った日、笑われると思っていた。でも「それすごいね」と言ってもらえた。6ヶ月、43人と会って、失敗して、やめそうになって、それでも続けた先に今がある。27歳、東京在住の体験談。

27・女性の体験
·橘みあ·7分で読める

「マッチングアプリって、本当に出会えるの?」


始める前、ずっとその疑問が頭にあった。周りに使っている友達がいなくて、成功した話も聞かなかった。SNSの広告で流れてくるハッピーなカップルの写真が、どうしても作り物に見えていた。


27歳の4月、勇気を出してペアーズに登録した。最初の写真撮影に2時間かけた。自己紹介文を3回書き直した。「よし、始めよう」と思ってアプリを開いた土曜日の夜、心臓がどくどくしていた。画面の向こうに、私を知らない誰かがいる。その感覚が、少し怖くて、少し面白かった。


最初の1ヶ月、思ってたのと違った


良い意味でも、悪い意味でも、思っていたのと違った。


良い点。マッチングした相手は、普通の人だった。「変な人が多い」と聞かされていたが、ほとんどが普通の社会人で、普通のメッセージが来た。「はじめまして、よろしくお願いします」という無難な出だしが多かったけれど、怖いとか気持ち悪いとか、そういう感覚はほとんどなかった。


悪い点。会話が続かない。4〜5件のメッセージを往復して、止まる。止まる。止まる。「どうすれば続くんだろう」と考えながら、会話の途切れたチャットを見ていた。画面の向こうの人が、なんとなく遠くなった。


初めて実際に会ったのは、登録から3週間後。荻窪のカフェで、30歳のシステムエンジニアの男性と。1時間半、話した。悪くなかった。悪くなかったけれど、「また会いたい」とはならなかった。帰り道、西荻窪まで歩きながら、自分でもよくわからなかった。


「この感じって、なんだろう」


嫌いじゃないのに、惹かれていない。その中間の感覚が、マッチングアプリ特有のやつだと気づくのに、もう少し時間がかかった。「悪くない人」と「もう一度会いたい人」の差が、リアルで会ってみるまでわからない。それがアプリの、一番つらいところだった。


3ヶ月目のスランプと、転機になった出来事


3ヶ月が経って、一度アプリを止めた。2週間、完全に開かなかった。


理由は疲れたから。会う約束を入れて、行って、帰って、「また会いたいとはならなかった」を繰り返すことが、なんとなくしんどくなった。14人と会って、誰ともその後が続かなかった。「私には向いていないのかもしれない」という考えが、布団の中で繰り返した。スマホを充電器から外さないまま、1日が終わる日が続いた。


2週間後、再開したのは友達の一言があったから。「やめるのはいつでもできるじゃん」


シンプルな言葉だった。確かにそうだ。やめるのはいつでもできる。やめてみて、それで後悔しないかどうかを考えた。後悔するかもしれない、と思った。だから再開した。


再開してから変えたのは、「会う人の基準」だった。それまでは「なんとなく悪くなさそう」で会っていた。再開後は「この人のメッセージが面白い」「この人の言葉が自分のリズムと合う」と感じた相手だけにした。会う数が減って、週1人を下回る週もあった。でも会った後の「また話したい」が増えた。数を減らしたら、質が上がった。当たり前のようで、それまでできていなかった。


うまくいった人の共通点を考えた


6ヶ月間で43人と会って、今の彼氏に行き着いた。振り返ると、「また会いたい」につながった人には、共通していることがあった。


最初のメッセージが「プロフィールを読んでいる」内容だった。「読書が好きって書いてましたね、最近読んだ本を教えてもらえますか」のような、プロフィールを踏まえた一行がある人は、その後の会話のテンポが良かった。「はじめまして、よろしくお願いします」だけで来る人は、他の人にも同じ文章を送っているんだろうという感覚があった。


デートの場所提案が具体的だった。「どこかランチでも」より「この前行って良かったカフェが下北沢にあるんですが、どうですか」と言える人は、準備している人だとわかる。準備している人は、当日の会話も準備している。場所を提案できる人は、「一緒に何かをする」ことを具体的に考えている人だと感じた。


自分の話と、相手への質問が、半々くらいだった。一方的に話す人とも、質問ばかりしてくる人とも、「会話してる感」が薄かった。自分のことを少し話して、次に「あなたはどうですか」と返せる人との会話は、2時間があっという間だった。


彼氏ができた日のことを書く


今の彼と最初に会ったのは、恵比寿の夜だった。19時半に待ち合わせて、ワインバーに入った。


2時間でグラスを2杯飲みながら話した。仕事の話、実家の話、映画の話。22時に「そろそろ帰りますか」と言ったら、「もう少し」と言われた。もう少しが1時間になった。店を出た時、恵比寿の駅前は人が減っていた。夜の空気が少し冷たくて、「寒いですね」と言ったら、「そうですね」とだけ返ってきた。その沈黙が、嫌じゃなかった。


別れ際に「楽しかったです」と言ったら、「また会えますか」と返ってきた。声が、少しだけ緊張していた。私もたぶん緊張していた。「はい」と答えた声がうわずった気がした。


2回目のデートは中目黒で、3回目は渋谷で映画を見て、4回目に彼に「付き合ってください」と言われた。4月から始まって、10月の話だった。


「マッチングアプリで彼氏できました」と友達に言った日、「いいじゃん、よかったね」と言ってもらえた。


笑われなかった。よかった。


6ヶ月、続けた先にあった。やめなくて、良かった。「本当に出会えるの?」と思っていた頃の自分に、「続けたら会える」と言えるようになった。それだけのことが、全部だった。


マッチングアプリを続けるためのコツ、たったひとつのこと


6ヶ月を振り返って、続けられた理由を考えると、ひとつだけある。「やめるのはいつでもできる」という友達の言葉を、ずっと頭に置いていたからだ。


スランプの2週間、アプリを開かなかった。でも「やめた」とは思っていなかった。「一時停止中」だと思っていた。その違いが、再開を可能にした。


今の彼と4回目のデートで「付き合ってください」と言われた夜、まず思い出したのは4月の土曜日だった。プロフィール写真を撮り直した日。自己紹介文を3回書き直した夜。荻窪のカフェで最初に会った人と「また会いたいとはならなかった」帰り道。14人と会っても誰ともつながれなかった3ヶ月目の疲れ。


あの全部があって、恵比寿の夜があった。


「マッチングアプリで彼氏ができた」という文章を書ける日が来るとは、4月の自分には想像もできなかった。でも今、書いている。続けた先に、書ける日が来た。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

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