会社の後輩に「アプリで見ました」と言われた月曜の朝。身バレは防げない
月曜の朝、給湯室で後輩に「先輩、Pairsにいましたよね?」と言われた。顔から血の気が引く感覚を、31歳で初めて体験した。身バレ対策の現実と、完全には防げない理由を書く。
月曜の朝9時15分、新橋のオフィスの給湯室で、後輩の田中くんがコーヒーを淹れながら言った。
「先輩、Pairsにいましたよね?」
マグカップを持つ手が止まった。首筋から頬にかけて、熱が一気に上がるのが分かった。
「……え?」
「いや、土曜にスワイプしてたら出てきて。あ、俺もやってるんで全然いいんですけど」
田中くんは笑っていた。悪気はない。悪気がないのが余計にしんどい。
なぜバレたか
31歳、新橋のIT企業の経理部。Pairsを始めて4ヶ月。プロフィール写真は、去年の夏に鎌倉で友達に撮ってもらった横顔の写真。顔はちゃんと映っている。
「距離で絞り込んだら出てきました。新橋勤務、31歳、経理って書いてあったから、あ、これ先輩だなって」
身バレの原因は3つ重なっていた。
1つ目:距離表示。 Pairsは相手との距離が表示される。同じオフィスビルにいれば「1km以内」と出る。新橋の経理、31歳、1km以内。条件を並べたら特定できてしまう。
2つ目:写真。 横顔とはいえ、知っている人が見れば分かる写真だった。サングラスもしていない。
3つ目:職種の具体性。 「経理」と書いていた。「事務職」にしておけばまだ特定されにくかった。
対策として私がやったこと
身バレ発覚のあと、3つ変えた。
写真を差し替えた。 横顔→後ろ姿の写真に。鎌倉の海をバックに、後ろを向いて立っている写真。雰囲気は伝わるけど顔は分からない。完全に顔が映らないと、いいねが激減するリスクはある。でも職場の人に見つかる恐怖の方が大きかった。実際、いいねは週12件から週5件に減った。減ったけど、月曜の朝に胃が痛くならなくなった方が大事だった。
距離表示をオフにした。 Pairsの設定で「距離を公開しない」にできる。「新橋、1km以内」と表示されていたのが消える。これだけで特定リスクはかなり下がる。同じオフィスビルの人に見つかる確率が減る。これで「新橋、1km以内」から場所が消える。
職種をぼかした。 「経理」→「会社員」に変更。年齢は変えられないし嘘も書きたくないけど、職種は広くしても問題ない。
それでも防げないもの
正直に言う。身バレ対策に完璧はない。
写真を後ろ姿にしても、自己紹介の文体や趣味の書き方で「あ、この人っぽい」と思われることはある。共通の知り合いがマッチした相手に「この人知ってる?」と聞く可能性もゼロじゃない。
田中くんの件のあと、社内で噂になったかどうかは分からない。田中くんは「誰にも言ってないっす」と言っていたし、その後態度が変わった様子もない。でも、給湯室ですれ違うたびに、あの月曜の朝の首筋の熱を思い出す。
身バレ後の1週間
田中くんに見つかった翌日から、1週間がとにかく長かった。
給湯室に行くたびに、「田中くん、誰かに話してないかな」と考える。昼休みに同僚が固まって笑っていると、「もしかして私の話?」と疑う。経理部は6人の小さなチームで、噂が広まるのは一瞬だ。
3日目に、同じ部署の先輩が「最近出会いある?」と雑談で聞いてきた。心臓が跳ねた。でもよく考えたら、この先輩は以前から恋愛の話が好きな人で、特に意味はなかったと思う。思うけど、確信が持てない。
1週間後、何事もなかった。田中くんは本当に誰にも言わなかったらしい。それとも言ったけど誰も興味がなかったのか。どちらにしろ、日常は戻った。首筋の熱さが引くまでに1週間かかったけど、引いた。
「バレたくない」のは悪いことじゃない
会社の同僚にアプリを使っていることを知られたくない。それは恥ずかしいことだと言う人がいる。「堂々としてればいいじゃん」と。
でもそれは、自分の恋愛事情を職場に公開したくないという、ごく普通の感覚だと思う。合コンに行ったことを全社メールで共有する人はいない。アプリも同じだ。
ただ、どこまで対策しても、同じエリアに住んでいて同じアプリを使っていれば、バレる可能性はゼロにはならない。その前提で使うしかない。
私は今もPairsを使っている。写真は後ろ姿のまま。いいねは減ったけど、来る人は来る。それでいいと思っている。
田中くんとは先週、普通に飲みに行った。アプリの話は一切しなかった。お互い、そこには触れない暗黙の了解ができている。それが大人というものなのかもしれないし、単に気まずいだけかもしれない。
先日、経理部に新しく入った中途採用の女性が、昼休みにスマホでPairsを開いているのを見た。画面が一瞬見えただけ。彼女はすぐにスマホをひっくり返した。
目が合った。お互い何も言わなかった。でもたぶん、彼女は私がPairsをやっていることを知っている田中くんと同じフロアにいるわけで。
身バレの連鎖は終わらない。終わらないけど、「みんな同じようなことをしている」と分かるほど、恥ずかしさは薄まる。完全にゼロにはならないけど。
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。
Pairsの他の攻略記事