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「アプリ消した?」と聞かれて詰まった夜。付き合う前に確認すべきこと

Pairsで出会った彼に、4回目のデートで「アプリもう消した?」と聞かれた。私はまだ消していなかった。喉の奥がつまって、何も言えなかった夜のこと。付き合う前に確認しておくべき5つのポイント。

26歳・女性の体験
·橘みあ·6分で読める

代官山の夜、ワインが残り半分。


4回目のデートだった。Pairsで知り合ったコウスケさんと、代官山のビストロで向かい合っている。ハンバーグを切りながら、彼が急に言った。


「ねえ、Pairsってまだ使ってる?」


フォークを持つ手が止まった。胃の底がすっと冷える。


私は26歳、IT企業の営業。コウスケさんとは3ヶ月前にマッチして、月に1〜2回のペースで会っていた。毎回楽しかった。帰り道にLINEが来ると、心臓がちょっとだけ速くなった。好き……だと思う。たぶん。


でもアプリは消していなかった。


「なんとなく残してた」の正体


「えっと……」


2秒の沈黙が、永遠みたいだった。グラスの赤ワインが照明に透けて揺れている。


「……まだ、入ってる」


コウスケさんの表情が、ほんの一瞬だけ曇った。すぐに笑顔に戻したけど、見逃さなかった。みぞおちがぎゅっとなる。


「別に責めてるわけじゃなくて。俺は先週消したから、どうかなって思って」


彼はもう消していた。私はまだだった。その非対称が、テーブルの上に広がった。


帰りの東横線で、窓に映る自分の顔を見ながら考えた。なんで消さなかったんだろう。コウスケさんのことが嫌いなわけじゃない。他に気になる人がいるわけでもない。


「なんとなく残してた」の正体は、たぶん保険だった。この人とダメになっても大丈夫なように。コウスケさんが本気でも、私はまだ片足を出口に向けていた。それに気づいて、手のひらが冷たくなった。


家に着いてシャワーを浴びている間も、あの一瞬の曇った表情がずっと頭から離れなかった。彼は先に消した。つまり彼は先に覚悟を決めた。私はまだ決められていなかった。その差が、フォークを握る手の震えになって、今さらやってきた。


付き合う前に確認すべき5つのこと


あの夜から1週間、ずっと考えていた。アプリを消すか消さないかは表面の話で、本当に話し合うべきことは他にあった。


友達の恵理に相談したら、恵理は去年Pairsで彼氏を作っていて、「私たちも最初そこで揉めた」と言った。恵比寿のスタバで2時間、恵理の体験と自分の状況を照らし合わせて、見えてきたことがある。


1. 「付き合う」の定義が同じかどうか


コウスケさんにとっての「付き合う」と、私にとっての「付き合う」は同じだろうか。「アプリを消す=独占」と考える人もいれば、「告白してから消す」と考える人もいる。恵理の彼氏は「付き合おうって言葉にするまでは自由」派だったらしい。恵理は真逆だった。そのズレが最初の喧嘩の原因になったと言っていた。


2. 連絡頻度の期待値


「毎日LINEするのが普通」と思っている人と、「用事があるときだけ」の人では、噛み合わない。コウスケさんは毎晩おやすみLINEをくれる人だった。私は返すけど、自分からは送らないタイプ。この差を「冷たい」と取られていたかもしれない。でも言わないと伝わらない。恵理は「うちは最初に『毎日は無理かも』って言った。それだけで全然違った」と言っていた。


3. 会う頻度の現実ライン


「週1で会いたい」と「月2で十分」のギャップは、思っているより大きい。仕事が忙しい時期に「なんで会えないの」と言われたら辛い。先に「繁忙期は月1になるかも」と伝えておくだけで、揉め事がひとつ減る。コウスケさんとは月2ペースだったけど、彼がそれで満足しているかは聞いたことがなかった。聞くのが怖かった。でもそういうのは、聞かない方がもっと怖いことになる。


4. SNSの距離感


Instagramに写真を載せるかどうか。ストーリーに映り込んでいいかどうか。友達に紹介するタイミング。全部、人によって感覚が違う。恵理は「彼氏がインスタのフォロワーに私の存在を隠してた」と怒っていた時期がある。聞けば「まだ早いかなと思って」だったらしい。聞かないと、妄想だけが膨らむ。


5. 「不安なとき」の伝え方


一番むずかしいけど、一番大事なやつ。不安を感じたとき、すぐ言うタイプか、溜め込むタイプか。コウスケさんは「アプリ消した?」を聞けるタイプだった。私は聞けないタイプだった。あの夜、聞かれるまで自分からは絶対に言わなかったと思う。「どっちが悪い」じゃなくて、伝え方のクセを知っておくだけで、すれ違いの半分は防げる。「不安だから聞いてるんだよね?」とコウスケさんに後から言ったら、「うん、俺も怖かった」と返ってきた。お互いに怖がっていたのに、怖さの出し方が違っただけだった。


アプリを消した朝のこと


コウスケさんとの5回目のデートの前日、Pairsを開いた。最後にログインしたのは2週間前。新しいいいねが17件溜まっていた。


1件も開かずに、アプリを長押しした。「削除しますか?」。画面がぼやけた。涙だった。なんで泣いてるかわからなかった。保険を手放す怖さか、コウスケさんへの気持ちを認めた安堵か、たぶん両方。


削除ボタンを押した。指先が震えていた。


翌日、新宿の焼き鳥屋でコウスケさんに言った。


「あのさ、消したよ。アプリ」


「……うん」


彼は笑わなかった。代わりに、テーブルの下で私の手を握った。指先がちょっと冷たくて、ああこの人も緊張してたんだ、と思った。焼き鳥の煙の向こうで、彼の目が少しだけ赤くなっていた気がした。


あの夜を経て気づいたこと


確認してから付き合うか、付き合ってから確認するか。順番に正解はない。ただ、「聞けない」を放置すると、気づいたときにはもう手遅れになっていることがある。


あの夜から3ヶ月経った。コウスケさんとは今も一緒にいる。週末は恵比寿のカフェで朝ごはんを食べるのが、いつの間にか習慣になった。アプリを消した朝のことを時々思い出す。17件のいいね。開かなかったあの17件が、今のこの関係を守ってくれた気がする。


あの夜、聞いてくれてありがとう。聞かれなかったら、私はまだ片足を出口に向けたまま、中途半端に笑っていたと思う。


保険を捨てた日に、恋が始まった。

よくある質問

付き合う前にアプリを消すべきですか?
消す・消さないより、お互いの認識を合わせることが先です。「アプリを消す=独占」と考える人もいれば、「告白してからでいい」と考える人もいます。認識のズレが一番揉めるポイントなので、曖昧なまま進めない方がいいです。
相手にアプリを消したか聞くのは重いですか?
聞き方次第です。「消してないの?」と詰めるのは圧になりますが、「俺は消したんだけど、どう思ってる?」のように自分の状況を先に開示すると、相手も話しやすくなります。聞けないまま不安を溜める方が、関係にとってはよっぽど重いです。
付き合う前に確認すべきことを切り出すタイミングはいつですか?
3〜4回目のデートで、お互いに「この人と続けたい」と感じ始めたあたりが自然です。初回デートで聞くと尋問みたいになりますし、遅すぎると認識のズレが大きくなります。食事中やカフェなど、リラックスした場面で自然に話題にするのがおすすめです。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

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