「体型」の欄で10分固まった夜
Pairsの登録フォームに「体型」という欄がある。スリム、普通体型、少しぽっちゃり。私はそこで10分固まった。「普通体型」と書いた夜の話。
「体型」という欄で、10分固まった。
スリム、普通体型、少しぽっちゃり、ぽっちゃり、グラマー。
私はそこで10分固まった。
28歳。身長163センチ。体重はここには書かない。「普通体型」か「少しぽっちゃり」の境界線あたりにいる自覚がある。
どちらを選ぶか
「普通体型」を選んだ場合、会ったときに相手の目線が変わる可能性がある。「少しぽっちゃり」を選んだ場合、マッチ数が減るかもしれない。
そういう計算をしていた。10分間。
「正直に書こう」と思いながら、「でも自分はそんなに太っていない」と思いながら、「でも完全に普通体型ではないかもしれない」と思いながら。
結局「普通体型」を選んだ。
初めて会った夜
マッチして2週間後、三軒茶屋のごはん屋で会った。ヤスヒロさん(仮名)、30歳、会社員。最初の5分は話しやすかった。でもどこかに、「体型の話が出るかもしれない」という構えがあった。
出なかった。
ヤスヒロさんは「プロフィールの写真と全然同じですね」と言った。それだけだった。
でも帰り道の三軒茶屋の商店街を歩きながら、胸がずっとざわついていた。「普通体型と書いたことへの罪悪感」みたいなものが、まだどこかにあった。
アプリが問うていること
Pairsの体型欄が問うていることは、「あなたの体型は何ですか」ではない気がする。
「あなたは自分をどう見ていますか」を問うている。
私が10分固まったのは、体型が分からなかったからではなかった。「自分の体型をどう評価するか」を突きつけられた気がして、固まった。
「普通体型」と書いた夜、スマホをテーブルに置いて、しばらく天井を見ていた。
今でも「普通体型」のまま
プロフィールを変えたことはない。
ヤスヒロさんとはその後3回会ったが、体型の話は一度も出なかった。「あの欄はなんだったんだろう」と思わないことはない。
でも4人目の人と会ったとき、「プロフィール写真より全然いい」と言われた。うれしかった。うれしかったけど、何か複雑な感じもあった。
「普通体型です」と書いた私への評価が、「いい」だったとして、それは私の何を評価したのか。
「普通体型」と書いたのに、答えはまだ出ていない。
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。