三軒茶屋の1LDKに歯ブラシが2本並んだ朝。アプリで出会って3ヶ月で同棲した判断
Pairsで出会って3ヶ月で同棲を決めた。「早すぎない?」と5人に言われた。早すぎるのは自分でも分かっていた。でも三軒茶屋のワンルームに2人分の歯ブラシが並んだ朝、後悔はなかった。今のところ。
三軒茶屋のワンルームに、彼の歯ブラシが増えたのは付き合って2ヶ月目だった。洗面台の右側に青い歯ブラシ。自分のピンクの隣に。
27歳、アパレルの販売員。Pairsで出会った2歳上のエンジニアと、交際3ヶ月で同棲を決めた。
「早すぎない?」
母に言われた。友達のミホにも言われた。会社の先輩にも言われた。美容室の担当にまで言われた。5人中5人が同じことを言った。
分かってる。早い。3ヶ月なんて、まだ相手のことを半分も知らない。でも。
なぜ3ヶ月で決めたか
理由は2つある。1つはお金。三軒茶屋のワンルーム、家賃7万8千円。彼の住んでいた経堂のワンルームも7万5千円。2人で三軒茶屋の1LDKに引っ越せば、11万円で今より広い部屋に住める。手取り22万の私には、月3万浮くのは大きかった。
もう1つは、彼が毎週末泊まりに来ていたから。金曜の夜に来て、日曜の夕方に帰る。洗面台に歯ブラシ。冷蔵庫にビール。クローゼットにTシャツ3枚。もう半分住んでるのに、毎週帰るのが無駄に思えた。
「じゃあ一緒に住む?」
彼が言ったのは、日曜の夕方、経堂に帰る前の玄関だった。靴を履きながら、振り返って。
「うん」
2秒で答えた。考える時間が必要なかったのか、考えるのが怖かったのかは、正直分からない。
三軒茶屋の1LDK
内見は1日で決めた。三軒茶屋駅から徒歩8分、築12年の1LDK。11万2千円。エレベーターなしの4階。
引っ越したのは交際3ヶ月と2週間目の土曜日。彼の荷物は段ボール7箱。私の荷物は12箱。2人の荷物が1つのクローゼットに入りきらなくて、IKEAでラックを買った。2人でIKEAに行くのは初めてだった。レストランでミートボールを食べた。彼が「ミートボールって、こんなに美味いっけ」と言って、私は「IKEAのはそういうもんだよ」と笑った。こういう普通のことが、なんだか眩しかった。帰り道、IKEAの大きな青い袋を2つ抱えて電車に乗った。向かい側の席のカップルと目が合って、なんとなくお互い笑った。
3ヶ月目の現実
一緒に住んで3ヶ月経った。分かったことがある。
彼は洗い物をシンクに溜める。2日分くらい平気で溜める。私は使ったらすぐ洗いたい派。最初の1ヶ月は黙って洗っていた。2ヶ月目に「溜めないで」と言った。彼は「ごめん」と言って、翌日もシンクにマグカップが2つ残っていた。
私は朝が弱い。彼は6時半に起きてシャワーを浴びる。シャワーの音で目が覚める。8時まで寝たい。でも言えない。彼の方が先に家を出るから。
些細なことだ。些細なことだけど、些細なことが毎日続くのが同棲だった。
友達の反応
ミホに報告したのは、引っ越しの翌週だった。新宿のルミネの上のカフェで。
「え、もう一緒に住んでるの?」
ミホのアイスティーのストローが止まった。
「3ヶ月って早くない? ていうかアプリで知り合って3ヶ月で同棲って……大丈夫?」
大丈夫かどうかは私にも分からなかった。でもミホの「大丈夫?」の中に、心配半分、「信じられない」半分が混ざっているのは分かった。
「でもさ、毎週末泊まりに来てたんだよ? もう半分住んでたようなもんだし」
「住んでたようなものと、本当に住むのは違うよ」
ミホの言葉は正しかった。正しかったけど、その正しさを聞きたかったわけじゃなかった。「よかったね」と言ってほしかっただけかもしれない。
会社の先輩には「勇気あるね」と言われた。母には「あんた大丈夫なの」と電話で30分問い詰められた。美容室の担当のお姉さんには「攻めてるね〜」と言われた。
誰も「おめでとう」とは言わなかった。
「早すぎた」のか
正直に言う。「早すぎた」と思った瞬間はある。彼がシンクに皿を溜めた朝、「付き合って半年くらい様子を見てからにすればよかった」と思った。
でも、半年待ったところで、彼がシンクに皿を溜めることは分からなかっただろう。週末だけ泊まりに来ている間は、お互いお客さんモードだ。生活の本性は一緒に住まないと分からない。
ミホに「で、早すぎたの?」と聞かれて、「まだ分かんない」と答えた。
半年後にこの記事を読み返したとき、「やっぱり早すぎた」と思うかもしれないし、「あのとき決めてよかった」と思うかもしれない。
今日の時点で言えるのは、洗面台に2本の歯ブラシが並んでいる朝の景色が、わりと好きだということ。それと、シンクの皿は相変わらず溜まっているということ。
昨日の夜、彼がシンクのマグカップを洗っていた。珍しい。「どうしたの」と聞いたら、「いや、溜まってたから」と素っ気なく言った。
付き合って6ヶ月。同棲して3ヶ月。シンクのマグカップ1つで、この人は変わろうとしてくれているのかもしれない。あるいはたまたま気が向いただけかもしれない。
どっちでもいい。どっちでもいいと思えるようになったこと自体が、3ヶ月で同棲した答えなのかもしれない。まだ分からないけど。
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。