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恋愛体験談Omiai

表参道のイタリアンで左手の薬指に白い跡があった。3回目のデートで既婚者だと気づいた夜

表参道のイタリアンで、彼がワイングラスを持ったとき、左手の薬指に白い線が見えた。日焼けしていない輪っかの跡。3回目のデートで、私はようやく「見分け方」が事後的にしか分からないと知った。

31・女性の体験
·橘みあ·6分で読める

表参道のイタリアンで、彼がワイングラスを持ち上げたとき、目が釘付けになった。左手の薬指。日焼けした手の中で、そこだけ白い。輪っかの跡。


3秒くらい、時間が止まった。店内のジャズが遠くなった。口の中のトマトソースの味が消えた。


出会いは普通だった


Omiaiでマッチしたのは1ヶ月前。36歳、商社勤務、趣味はテニスとワイン。写真は清潔感があって、笑顔が自然だった。メッセージのやりとりも感じがよかった。返信は早すぎず遅すぎず、絵文字は控えめ、敬語と砕けた口調のバランスがいい。


1回目のデートは青山のカフェ。2時間。会話が途切れなかった。仕事の話、旅行の話、最近観た映画の話。彼は是枝監督が好きだと言った。「怪物」の話で盛り上がった。


2回目は代官山の小さなバー。カウンター席で、隣に座って。ワインを2杯飲んだ。帰りに「次はイタリアン行きませんか」と誘われたとき、心臓がとくんと鳴った。


3回目が表参道のイタリアンだった。


指輪の跡に気づいてから


ワイングラスを持つ左手。薬指の白い線。


直視してしまった。彼がそれに気づいた。グラスを置いて、左手をテーブルの下に隠した。その仕草で確信した。


「……結婚、してますよね」


声が震えていたと思う。トマトソースのパスタが目の前にあったけど、もう味が分からなかった。


彼は3秒くらい黙って、それから小さく頷いた。「ごめん」と言った。


頭の中が真っ白になるって、こういうことかと思った。怒りが来たのは5秒後。その前に来たのは、「私、3回も会ったのに気づかなかったの?」という自分への苛立ちだった。


「見分け方」は事後的にしか分からない


家に帰って、ベッドに倒れ込んで、天井を見ながら振り返った。サインはあったのか。


土日の連絡が少なかった。 平日は昼休みと夜にメッセージが来たのに、土日はほぼゼロだった。「土日は仕事が溜まってて」と言っていた。


デートが全部平日の夜だった。 土日に会おうと提案したことが一度もなかった。こちらから「土曜どうですか」と聞いたとき、「その週は出張で」とかわされた。


家の話を一切しなかった。 住んでいる場所は「都内」としか言わなかった。部屋の話、近所の店の話、何も出てこなかった。


全部、今振り返れば「あやしい」と思える。でも、渦中にいるときは分からなかった。平日しか空かない人も、家の話をしない人も、別に珍しくない。「既婚者だから」と疑う理由にならなかった。


Omiaiに通報した


プロフィールを既婚の状態で独身と偽って使うのは規約違反だ。Omiaiの通報フォームから報告した。スクリーンショットを添付して、「3回会った相手が既婚者でした」と書いた。


3日後に「対応しました」とメールが来た。彼のプロフィールは消えていた。


でもそれは、「彼がいなくなった」というだけで、「次の既婚者を見分けられるようになった」という意味ではない。


3回のデートを振り返って


部屋に帰って、ベッドの上で天井を見ながら、3回のデートを頭の中で再生した。


1回目の青山のカフェ。彼は右手でコーヒーカップを持っていた。左手は見えなかった。テーブルの下にあったか、膝の上にあったか。思い出せない。


2回目の代官山のバー。カウンターで隣同士。グラスはどちらの手で持っていたか。暗かったし、お酒も入っていたし、薬指なんて見ていなかった。


3回目にしてようやく、明るいレストランで、正面から、ワイングラスを持つ左手が見えた。そこで初めて気づいた。


友達に話したら「なんで最初から確認しなかったの?」と言われた。それはそうだ。でもデートの場で相手の左手の薬指を凝視する人がどれだけいるだろう。特に、1回目で好印象を持ってしまったあとに。疑いの目で見ていない相手の指輪の跡に気づくのは、想像よりずっと難しい。


今でも指輪の跡を見てしまう


あれから半年。Omiaiは退会して、今はPairsを使っている。


デートのとき、相手の左手を見る癖がついた。薬指に跡がないか。日焼けの具合はどうか。無意識に確認している自分がいる。


見分け方があるなら知りたい。でも、あの3回のデートを繰り返しても、1回目で気づける自信はない。既婚者は「普通のいい人」として現れる。だから見分け方なんてないのだと、今は思っている。


思っているけど、ワイングラスを持つ手は、これからもずっと見てしまう。


先月、Pairsで新しくマッチした人と1回目のデートをした。神楽坂の和食屋で、カウンター席。彼がお猪口を持ったとき、左手の薬指を見た。跡はなかった。それだけで、少し肩の力が抜けた。


そのデートは「なんとなく違うな」で終わった。でも既婚者ではなかった。それだけで合格点をつけている自分が、少し悲しい。悲しいけど、仕方ない。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

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