親に言えないまま結婚が決まった。アプリ婚の後ろめたさが消えるまで
Omiaiで出会って1年半で結婚が決まった。でも親には「友達の紹介」と嘘をついていた。結婚式の準備で嘘が苦しくなって、本当のことを伝えた日の話。
「どこで出会ったの?」。母にそう聞かれるたびに、同じ嘘をついた。
「友達の紹介」。
Omiaiで出会って1年半。プロポーズされて、婚約指輪をもらった。嬉しかった。でも母に電話で報告するとき、声が震えたのは嬉しさじゃなくて後ろめたさだった。
30歳、出版社の編集。茨城の実家の両親は、マッチングアプリを「怖いもの」だと思っている。テレビのニュースで「アプリで出会った相手に騙された」みたいな報道を見るたびに、「怖いねえ」と言っていた。
嘘が苦しくなった結婚式の準備
結婚式の打ち合わせが始まった。恵比寿のウェディングサロンで、プランナーに聞かれた。
「お二人の馴れ初めを教えてください。プロフィールムービーに使います」
彼と顔を見合わせた。「友達の紹介で」と私が言った。彼が少し黙った。
帰りの東横線の中で、彼が言った。「いつまで嘘つくの? 俺は別にアプリで出会ったって言ってもいいと思ってるけど」。
喉の奥がつかえた。「……親がさ、アプリとか嫌がるタイプだから」。
「でも結婚式で『友達の紹介』って言って、その友達は誰なの? 聞かれたら困るでしょ」
正論だった。嘘は小さいうちは楽だけど、大きくなると首を絞める。
母に電話した夜
1週間迷って、母に電話した。水曜の夜21時。渋谷の自宅のソファに座って、スマホを握った。手のひらが汗ばんでいた。
「お母さん、ちょっと話があるんだけど」
「なに? 結婚式の日程?」
「ううん、馴れ初めのこと。……友達の紹介じゃないんだ。マッチングアプリで出会った」
3秒の沈黙。心臓が喉まで上がってきた。
「……知ってたよ」
「え?」
「だって、友達の紹介って言ったとき、どの友達か一回も言わなかったでしょ。お母さんだってそのくらいわかるよ」
涙が出た。声を出さないように、唇を噛んだ。
「出会い方なんてどうでもいいのよ。あの人がいい人かどうかが全て。あの人はいい人でしょ?」
「……うん、すごくいい人」
「じゃあそれでいいじゃない」
結婚式で伝えたこと
結婚式のプロフィールムービーには、こう書いた。
「出会いはマッチングアプリ。最初のメッセージは『プロフィールの映画の話、気になりました』。そこから始まった、普通の恋愛の記録。」
式場で流れたとき、会場が少しざわついた。でも笑い声も聞こえた。母は最前列で泣いていた。
式のあと、母が言った。「アプリで出会ったって言って、恥ずかしいと思ったでしょ。でもね、出会い方より続け方のほうが大事なのよ」。
後ろめたさが消えたのは、あの一言だった。
嘘をつくより、本当のことを言って笑われるほうが、ずっと楽だった。
あれから1年
結婚して1年が経った。母は月に1回、茨城から遊びに来る。彼のことを「○○くん」と呼んで、手料理を持ってくる。
先日、母が帰り際にこう言った。「○○くんと出会えてよかったね。アプリでもなんでも、いい人に出会えたならそれでいいのよ」。
玄関で手を振る母の背中を見て、1年前の自分を思い出した。「アプリで出会ったことを恥ずかしい」と思っていた自分。
恥ずかしかったのは出会い方じゃなくて、嘘をついている自分だった。
出会い方は物語の1ページ目にすぎない。大事なのは、その続きをどう書くかだった。
友達への伝え方
親だけじゃなく、友達にも聞かれる。「どこで出会ったの?」
最初は「共通の趣味がきっかけで」とぼかしていた。でも結婚式の後は、堂々と「Omiaiで出会った」と言えるようになった。
大学時代の友達のミカに言ったとき、「えー! 実は私もアプリで今の彼氏と出会ったの!」と返された。恵比寿のカフェで2人で笑った。
言えないと思っていたのは自分だけで、周りはとっくに普通のことだと思っていた。
よくある質問
マッチングアプリで出会ったことを親に言うべきですか?↓
親にアプリ婚を伝えるベストなタイミングはいつですか?↓
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。