「忙しいですか?」を5人に送って、5人とも消えた
返信が来なくなった相手に「忙しいですか?」と送った。5人に送って、5人全員消えた。打率ゼロ。追いメッセージを送るときの手の震えと、送った後の後悔を、全部正直に書く。
「忙しいですか?」
送信ボタンを押す直前、親指が震えた。本当に物理的に震えていた。日曜日の夜23時、布団の中で、TappleのDM画面を見つめていた。3日間既読がついたまま、返信が来ない。
送った。
翌朝、既読の文字が「既読」のまま変わっていなかった。
これを、5人にやった。5人全員、消えた。
1人目:返信が徐々に遅くなって、消えた
Pairsで知り合った1人目の女性。最初は1時間以内に返信が来ていた。趣味の話で盛り上がって、新宿のカフェで会う約束までしていた。
3日目から、返信が半日になった。1日になった。文章も短くなった。「そうなんですね」「へー」「なるほど」。質問が消えた。こっちが投げたボールが、返ってこないまま転がっていく感覚。
でも「まだやりとりしてる」という事実にしがみついた。返信が来る限り、脈はある。そう思いたかった。
5日目に返信が止まった。「忙しいですか? もし体調崩してたりしたら心配で」と送った。心配なんかしてない。本音は「返事をくれ」だ。心配を装った催促。自分で自分が嫌になった。
既読がついた。返事はなかった。
2人目:LINE交換した直後に途切れた
Tappleでマッチして、5日目にLINE交換した2人目。アプリ内では毎日メッセージが来ていたのに、LINEに移った途端、1通目の「よろしくお願いします!」を最後に音信不通になった。
LINEのアイコンは猫の写真。ひとこと欄は「がんばる」。意味はわからない。
3日待って、「LINE届いてますか?」と送った。5時間後に「あ、すみません!見落としてました」と返ってきた。ほっとして「映画の話の続き——」と送ったら、そこから既読がつかなくなった。
手のひらに嫌な汗がにじんだ。催促して返ってきた返事には、温度がなかった。「見落としてました」が本当かどうかは、どうでもいい。温度のない返事を受け取った瞬間の、あの胃のあたりがすうっと冷たくなる感じ。あれが答えだった。
3人目:デートの約束のあと消えた
Pairsでマッチして2週間、会話は順調だった。3人目。「今度の土曜日、下北沢あたりでどうですか?」「いいですね!」。ここまでは完璧だった。
「じゃあ14時に駅の南口で」と送ったら、返信が止まった。
1日、2日、3日。画面を開くたびに「既読」の2文字が目に入る。土曜日が近づいてくる。この約束は生きてるのか死んでるのか。
木曜日の夜、「土曜日の件、どうしましょう?」と送った。既読にならなかった。金曜日の朝、もう一度「お忙しいですよね、また別の日でも」と送った。既読がついた。返事はなかった。
2回送った。2回送った自分が情けなくて、布団の中でスマホを裏返しに置いた。枕に顔を押しつけて、喉の奥で唸った。唸ってどうなるものでもないけど。
土曜日、下北沢には行かなかった。
4人目:会話が噛み合わなくなって、消えた
4人目はTappleの人。最初はテンポよくやりとりしていたのに、1週間くらいで会話がずれ始めた。こっちが映画の話を振ると、食べ物の話で返ってくる。食べ物の話に乗ると、急に仕事の愚痴が始まる。
話が噛み合わない。テキストのリズムが合わない。でも「もうちょっと話せばわかり合えるかも」と思って、続けた。
返信が止まったのは、私が「週末はどんなこと——」と送った直後。なんの変哲もない質問。返事は来なかった。
3日後、「もし返信しづらかったら、言ってもらえると助かります」と送った。
これが5回の追いメッセージの中で、一番恥ずかしいやつだ。「あなたがフェードアウトしていることに気づいてますよ」と宣言したようなものだから。相手は「言ってもらえると助かります」と言われて「じゃあ言います、もう興味ないです」とは返せない。追い詰めただけだった。
返事は来なかった。
5人目:そもそも返信が一度もなかった
5人目はPairsでマッチしたのにメッセージに一度も返事がなかった人。マッチした時点で「よし」と思って、「はじめまして、プロフィール拝見しました。映画お好きなんですね」と送った。
3日間、未読。
「もしよかったら、映画の話しましょう」と追加で送った。2通目。1通目すら読まれていないのに2通目を送る自分の必死さが、画面に染み出ていた。
1ヶ月後、マッチが消えた。
なぜ「忙しいですか?」は逆効果なのか
5人に送って、5人消えた。打率ゼロ。
冷静に振り返ると、理由は明白だ。
返信しない理由のほとんどは「興味が薄れた」だ。忙しくて3日返せないことは、ゼロじゃないけどほぼない。スマホは常に手元にある。トイレの中でも見る。返さないのは、返したくないからだ。
そこに「忙しいですか?」が来る。相手が感じるのは、申し訳なさじゃない。「重い」だ。催促された。見張られている。返信のプレッシャーが増えて、余計に返しにくくなる。
私が4人目に送った「返信しづらかったら言ってください」は最悪だった。「あなたが逃げようとしてるのはわかってます」という宣言。受け取った側は、返すことも無視することも気まずい。追い詰めて、自分も相手も傷つけた。
送りたくなる気持ちは否定できない
追いメッセージが逆効果だとわかっている。頭ではわかっている。
でも、返事が来ない夜に、スマホを何度も裏返しにしてはまた表に返す、あの感じ。通知が来ていないことを確認して、画面を閉じて、3分後にまた開く。「もしかしたら今返ってきてるかも」。来ていない。
あの時間の中で「忙しいですか?」と打ちたくなる衝動を、私は否定できない。打った。5回打った。5回全部失敗した。
送って良いのは1回だけ、というルールを今は守っている。1回送って返事がなければ、もう送らない。2回目を送った時点で関係は終わっている。これは5回の失敗から手に入れた、自分のためのルールだ。
返事が来ない夜のこと
「忙しいですか?」を最後に送ったのは、半年前。あれ以来、追いメッセージは送っていない。
返事が来ない夜はまだある。3日既読がつかない画面を、寝る前に見る。親指が「忙しいですか?」と打とうとする。そのたびに、5人の顔——顔は知らない、アイコンの写真が5枚、頭の中に並ぶ。
打たない。画面を閉じる。スマホを充電器に置いて、天井を見る。
追いかけたい気持ちは消えない。消えないけど、送らない。送っても返ってこないことを、身体が覚えてしまったから。5回分の既読スルーが、指を止めてくれる。
それが正しいのかどうかは、正直わからない。もしかしたら6人目は返事をくれたかもしれない。でも5連敗のあとに6回目を打てるほど、私のメンタルは頑丈じゃなかった。
よくある質問
マッチングアプリで返信が来ないとき、追いメッセージは送るべきですか?↓
既読無視される原因で一番多いのは何ですか?↓
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。