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Pairsの彼に3回連続ドタキャンされた私が、4回目の約束を取り付けた話

代官山、恵比寿、中目黒。3回ぶっ続けでドタキャンされても、私は4回目の日程を自分から送った。これは私の黒歴史であり、武勇伝であり、今なら笑える反省文だ。

26歳・女性の体験
·橘みあ·4分で読める

これは私の黒歴史であり、武勇伝であり、ちゃんと書いておかないと同じことをまたやらかす気がする、そういう話だ。


彼の名前は佐藤賢二。Pairsのプロフィール写真は、少し照明を落としたカフェで撮った、なんとなくおしゃれな雰囲気のやつ。「広告代理店勤務、32歳、趣味は美術館巡りと映画」と書いてあった。26歳の私には少しだけ大人っぽく見えた。テキストがうまかった。絵文字の使い方に変な主張がなくて、会話のテンポが心地よくて、「この人とご飯食べたら話が尽きなそうだな」と素直に思えた。


最初の約束は代官山だった。


10月の後半、木曜日。ログロードの近くのカフェを彼が提案してきて、私は午前中から何を着ていくか考えていた。少し肌寒くなってきた季節で、ベージュのコートを出そうか迷っていた、そういう日。昼前にスマホが鳴った。


「急な残業が入ってしまって、本当に申し訳ないのですが、今日お会いするのが難しくなってしまいました」


LINEの通知が画面を横切った。


コートをしまった。「そうなんですね。お仕事大変ですね」と返した。「本当にすみません。必ず埋め合わせを」と来た。「また都合いい日教えてください」と打って、送った。


これが1回目。


2回目の約束は恵比寿のイタリアンだった。11月の頭、土曜日の夜。2日前に「楽しみにしてます」というLINEが来て、私も「私もです」と返した。本当に楽しみにしていた。何を食べようか、どのワインにしようかとか、そういうことまで考えていた。


当日の朝、8時過ぎ。寝起きでスマホを見たら通知が来ていた。


「昨日から少し体調を崩していて……微熱があって、菊池さんにうつしたくないので今日は無理そうで……」


三点リーダーの使い方が、どこか申し訳なさそうだった。「体調大丈夫ですか?ゆっくり休んでください」と返した。心配していた。本当に心配していた、たぶん。「ありがとうございます。次は絶対に」と来た。


絶対に、の強調が少しうれしかった。それがまずかった。


3回目の約束は中目黒の焼き鳥屋だった。


11月の下旬、金曜日。目黒川沿いはもうイルミネーションが始まっていて、寒さの中で光がにじんで見えた。仕事終わりに直接行こうと思っていた。その日の午後2時ごろ、カバンの中でスマホが振動した。


「突然で申し訳ないのですが、実家の親から連絡があって、少し家族の用事が……。菊池さんには本当に申し訳なくて」


トイレで読んだ。個室の薄暗い蛍光灯の下で、画面を見つめた。


(ドタキャン理由が進化している。)


それが最初に頭をよぎった感想だった。残業。体調不良。家族の用事。バリエーションが豊かで、想像力がある。責めにくい順番で並んでいる気さえする。


その夜、友達の橋本にLINEで報告した。彼女は即レスで「それフツーにキャンセル待ちにされてるだけじゃない?」と返してきた。キャンセル待ち、という言葉が、妙に的確で胸に刺さった。他に優先の予定が入ったら会わない人として扱われている、ということだ。


「そうかも」と思った。でも。


「でも文章が丁寧だし」と私は橋本に打った。


「文章丁寧な詐欺師もいるんだよ」と橋本は返してきた。


わかってる。わかってるんだけど、なんか、まだ諦めたくなかった。正確に言うと、自分から諦める形が嫌だった。会わないまま終わるのが癪だった。向こうが逃げてるなら、こっちが追いかけてやる、みたいな、ちょっと変な意地があった。


私は4回目の提案をした。


「落ち着いたらまた連絡してください」ではなく、「来週の土曜日の夜は都合いいですか?」と、具体的な日程を入れて送った。攻めた。主体的に動いた。自分から打った。


既読がついた。


返信は来なかった。


1日待った。2日待った。来なかった。


3日目の夜、橋本に電話した。「だから言ったじゃん」と言われた。「うん」と言った。「次行こ次。他にいい人いるって」と言われた。「うん」と言った。「うん」しか出てこなかった。


Pairsを開いた。佐藤賢二のトーク画面。一番下に「来週の土曜日の夜は都合いいですか?」という私のメッセージが浮かんでいて、既読マークだけがそこにあった。


ブロックした。


スッとした。思ったよりずっとスッとした。スッとした自分に少し驚いた。


---


今ならわかることがある。


1回目のドタキャンの後、私は何も確認しなかった。「残業が急に」と言われて、「そうですか大変でしたね」で終わらせた。でも本当は、「何時まで残業だったんですか?」「もう少し早く言えましたか?」くらいは聞けた。聞く権利があった。丁寧な文章にやられすぎた。文章の温度と、行動の温度は、まったく別のものなのに。


佐藤さんが悪い人だったのかどうか、今でもよくわからない。ただの優先度の問題だったのかもしれないし、断ることが苦手な人だったのかもしれない。でもそれは関係ない。ドタキャンされた3回分の「今日何着ていこう」と「今日どこ行こう」と「楽しみだな」という私の時間は、ちゃんと存在した。それは本物だった。


橋本は私のことを「ドM」と呼んだ。笑って否定したけど、完全には否定できなかった。なんで4回目を自分から提案したのか、今でもうまく説明できない。意地だったのか、惜しかったのか、ただの意地地だったのか。全部、たぶん少しずつ。


教訓があるとすれば——ドタキャン2回でブロックしましょう。1回は、まあ、人間誰でもある。でも2回はデータが出た。それだけ。


行動は文章よりも正直だ。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

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