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2ヶ月付き合って「マネージャー候補」の意味を確認したら、別れることになった

プロフィールに「ITマネージャー」と書いてあった。でもLinkedInには別のことが書いてあった。

27歳・女性の体験
·橘みあ·4分で読める

別れることになった直接のきっかけは、LinkedInだった。


Pairsで知り合った高橋佑介さんは、プロフィールに「職業:ITマネージャー」と書いていた。「マネージャー」という肩書きが、正直少し格好よかった。私は深く確認しなかった。最初のデートで「IT系の仕事で」と言って、「難しくて説明しにくいですよね」と私が言ったら「そうなんです」と彼が言った。それでその話は終わった。


付き合い始めて2ヶ月目。友人の結婚式の席で、「彼氏の仕事って何してるの?」と聞かれた。「IT系のマネージャーらしい」と答えたら、「どんな?」と聞かれてうまく説明できなかった。帰り道に、そういえば詳しく聞いたことがないなと思った。


家に帰って、試しにLinkedInで名前を検索してみた。出てきた。フルネームで登録していた。職歴欄に「Senior Software Engineer」と書いてあった。マネージャーではなかった。会社名は同じ。入社年度も一致している。本人だった。


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翌日、ランチで会ったときに聞いた。


「Pairsに書いてあった職業、ITマネージャーって書いてあったんだけど、LinkedInのは違うよね」


彼は一瞬固まって、箸をテーブルに置いた。ラーメン屋の中で、周りの音が急に遠くなった気がした。カウンター席で、向かい合ってじゃなく横並びだった。顔が見えなかったけど、肩が少し落ちた。


「ああ、それ。まあ……候補みたいなやつで」


「候補?」


「将来的にマネージャーになる可能性があるって感じの。ちょっと盛りすぎたかな」


「ちょっと、ね」


ラーメンが冷めていくのを見ていた。スープの表面が、油でてかてかしていた。食欲がなくなっていた。


「なんで正直に書かなかったの?」


「エンジニアって書くと印象悪い気がして。女の子はマネージャーとか肩書きが好きだと思って」


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「女の子は肩書きが好きだと思って」という言葉が、喉の奥にひっかかった。


仕事の内容は関係なかった。エンジニアかマネージャーか、そんなことはどうでもよかった。2ヶ月間、ちゃんと楽しかった。週末に代官山でご飯を食べて、映画を観て、そういう時間は全部本物だった。一緒にいるのは好きだった。


でも「こう見せれば好かれる」という計算で、最初から嘘をついていたこと。それが、じわじわとこたえた。


「女の子は肩書きが好き」という決めつけも、引っかかった。私のことを見ているようで、見ていなかった。「この人に好かれるためにはどう見せるか」を計算した上での嘘は、相手への敬意がない。


彼はすぐ「ごめん、正直に言えばよかった」と言った。謝り方は自然で、反省しているように見えた。でも謝られると、逆に確認させられる。「この人は最初から嘘ついてたんだ」という事実を。


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3日後、「少し考えたんだけど」と連絡した。


「続けるのが難しいかな」と伝えたら、「仕事の話だけで?」と彼は言った。「それだけじゃないけど、それが一番の理由かな」と答えた。


「そんなに大事なことだった?」


「大事かどうかより、最初に嘘があったことが、私には無理だった」


電話の向こうで沈黙があった。10秒くらい、何も言わなかった。風の音だけ聞こえた。


「そうか」と彼が言って、通話が終わった。


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仕事の内容で好きになったわけじゃなかった。一緒にいると楽しくて、2ヶ月間、ご飯を食べて映画を観て、それは全部本当のことだった。でも最初の一点だけが、本当じゃなかった。


人を好きになるとき、相手のことを信じるところから始まる。だからその信頼の根っこにひびが入ると、あとは全部が揺れる。


「エンジニアです、将来マネージャーを目指してます」——それだけで良かった。目指していることは、今の事実と同じくらいリアルだ。


肩書きより、正直さの方が、ずっとかっこいい。


その後、他の人のプロフィールを見るとき、「職業」の欄をそれほど気にしなくなった。代わりに、「趣味」と「自己紹介文」の分量を見るようになった。短くて当たり障りないのは、あまり期待しない。長くて具体的なのは、正直さのサインだと思う。


「マネージャー候補」で良かった。今の自分を正直に言って、かつ目指している方向を伝える。それだけで、全部が変わった。


正直さは、最初の一言から始まる。最初がずれると、後から修正するのが難しくなる。高橋さんのことを、今は少しかわいそうだと思う。自分を良く見せようとして、結果として自分を失った。


別れてよかった、とは言わない。でも正直さを大事にするという基準を、あの別れが作ってくれた。


正直に話せる関係は、最初の一言から始まっている。高橋さんとのことで、それを学んだ。


誠実さは、最初から積み上げるものだ。途中から正直になっても、最初の嘘は消えない。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

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