付き合ったのに相手がアプリを消してなかった。問い詰める前に考えたこと
付き合って2週間、彼のPairsがまだオンラインだった。25歳の私が問い詰める前に考えたこと、実際に聞いたときの反応、そしてこの経験から学んだ「信頼」の話。
日曜の朝、ベッドの中で目が覚めた。
隣で寝ている彼氏——ケンタのスマホが、枕元で光っていた。見るつもりはなかった。本当に。でも通知バナーに「Pairs」の文字が見えて、心臓が止まりそうになった。
付き合って、2週間。
私は25歳、アパレル勤務。ケンタとはPairsで3ヶ月前にマッチして、5回デートして、先々週の金曜日に告白された。渋谷のスペイン坂を下りながら、「付き合ってほしい」と言われたとき、足元がふわっとした。嬉しくて、声が出なくて、何回もうなずいた。
そのケンタのスマホに、Pairsの通知。
通知を見た瞬間のこと
呼吸ができなかった。3秒くらい。胸の真ん中が氷の塊になったみたいに冷たくて、指先の感覚がなくなった。
ケンタは隣でまだ寝ている。寝息が規則的に聞こえる。日曜の朝の光がカーテンの隙間から細く入ってきて、部屋は静かだった。
頭の中が一気に騒がしくなった。浮気? まだ他の人とやりとりしてる? 私と付き合ったの、本気じゃなかったの?
布団の中で、こっそりスマホを握りしめた。自分のPairsは、告白された翌日に消した。当たり前だと思っていた。付き合ったら消す。それが普通じゃないの?
喉の奥が締まる。みぞおちがじくじくと痛い。
起こして問い詰めたかった。「なんでまだ使ってるの?」って。でも何かが引っかかった。ここで感情的になったら、取り返しのつかないことになる気がした。
布団からそっと出て、キッチンに行った。コーヒーを淹れながら、震える手でマグカップを持った。コーヒーの匂いが鼻をかすめたけど、いつもの安心感がなかった。
問い詰める前に考えた3つのこと
コーヒーの湯気を見ながら、頭を整理した。
1. アプリが入っている=浮気、とは限らない
冷静になって考えた。アプリが入っていることと、アプリを使っていることは違う。通知が来たのは、相手からのいいねか、運営からのお知らせかもしれない。アンインストールしていないだけで、ログインしていない可能性もある。
でもこの可能性に縋りたい自分がいることも、わかっていた。都合のいい解釈をしたがっている自分がいる。
2. 「消すのが当たり前」は、私の基準でしかない
私は告白された翌日に消した。でもそれは「私の当たり前」であって、ケンタの当たり前じゃないかもしれない。「付き合ったらすぐ消す」派と「落ち着いたら消す」派がいることくらい、友達の話を聞いていればわかる。新宿で飲んだとき、友達のサキは「うちの彼氏、1ヶ月くらい消し忘れてた」と笑っていた。消し忘れ。そういうパターンもある。
3. 聞き方ひとつで、関係は壊れる
「なんでまだ使ってるの?」と責める口調で聞いたら、ケンタは防御に入る。防御に入ったら本当のことは出てこない。言い訳か、逆ギレか、どっちかになる。
聞くなら、「責める」じゃなくて「確認する」のスタンスで。自分の気持ちを伝えてから、相手の事情を聞く。順番を間違えたくなかった。コーヒーを一口飲んで、少しだけ落ち着いた。マグカップの温かさが、指先の感覚を戻してくれた。窓の外では、ケンタの洗濯物が風に揺れていた。こんな日常が、壊れてしまうかもしれない。その恐怖と、壊したくないという気持ちが、同時に胸を締めつけた。
聞いた夜のこと
その日の夜、ケンタの家で夕飯を食べた後に、切り出した。
「あのさ、ちょっと聞いてもいい?」
ケンタがソファでスマホを触っていた手を止めた。「うん?」
「朝、ケンタのスマホにPairsの通知来てたの、見えちゃって」
声が震えた。自分でもわかった。喉の奥がきゅっとなっている。
ケンタの目が一瞬大きくなった。それからスマホを見て、画面をスクロールして、「あー……」と言った。
「ごめん、消してなかった。消し忘れてた」
「消し忘れてたって——」
「いや、ほんと。最後にログインしたの、付き合う前だと思う。通知切るの忘れてて」
私の目を見て言った。視線が逸れなかった。
「……怒ってる?」
「怒ってない。でも、ちょっと怖かった」
「怖い?」
「うん。私の知らないところで、まだ他の人とやりとりしてたらどうしようって」
ケンタがスマホを差し出した。「見ていいよ、Pairs。最後のメッセージの日付」。
見なかった。見たら、私は「信じるために確認する人」になる。一度始めたらきっと止まらない。スマホ、LINE、インスタのDM。疑い始めたらキリがない。
「見ない。でも今、消してほしい」
ケンタが目の前でPairsを消した。アプリが画面から消えたとき、ふっと体の力が抜けた。涙が出そうになった。泣くような場面じゃないのに。安堵なのか、それとも「ここまで怖がっていた自分」への気づきなのか、よくわからなかった。
信頼は「確認しないこと」で作られる
あの日から2ヶ月経った。
ケンタのスマホを見たい衝動は、最初の1週間だけあった。でもあの夜、「見ない」を選んだ自分の判断は正しかったと思う。
信頼って、証拠を積み重ねて作るものじゃない。「見ない」「聞かない」「疑わない」を選び続けることで、少しずつ育つもの。もちろん裏切られる可能性はゼロにはならない。でも疑い続ける関係は、裏切られるより先に壊れる。
下北沢でケンタと散歩しているとき、ふと彼のスマホを見た。ホーム画面にPairsのアイコンはない。当たり前のことなのに、胸の奥がじんわり温かくなった。
ケンタが「何見てんの?」と笑った。「なんでもない」と返して、彼の腕に自分の腕を絡めた。手のひらが温かかった。3月の風がまだ冷たくて、でもケンタの体温がコートの上からでも伝わってきた。
疑う理由を探すより、信じる理由を選んだ。正解かはわからない。でも、今のところ、後悔はしていない。
信じるのは、証拠がないからじゃない。怖いまま、信じると決めたからだ。
よくある質問
付き合った後に相手がアプリを消してなかったらどう対処すればいいですか?↓
相手のスマホを確認するのはありですか?↓
「付き合ったらアプリを消す」は当たり前ではないのですか?↓
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。