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恋愛体験談Pairs

7歳年下の彼と5回デートして、私が一番しんどかったのは他人の視線だった

32歳の私と25歳の彼。Pairsでマッチした時、年齢差に気づいてから2秒悩んで右にスワイプした。その後5回デートして気づいた、本当の壁の話。

32歳・女性の体験
·橘みあ·5分で読める

正直に言う。最初はためらった。


Pairsで彼のプロフィールを見た時、一番最初に目が行ったのは年齢だった。25歳。私は32歳。7歳差。


2秒悩んだ。右にスワイプした。


彼のプロフィールがちゃんと書いてあったから、というのが理由だ。好きな映画、苦手な食べ物、仕事でどんなことをしているか。箇条書きじゃなくて、文章で書いてあった。その文体がなんか好きだった。25歳でもちゃんと人のことを考えて書いている人だとわかった。


マッチして、メッセージのやりとりが始まった。2日目に「年齢のこと、気にしてますか」と聞かれた。


「ちょっとだけ」


「俺は気にしてないです」


シンプルだった。25歳らしからぬシンプルさだった。


1回目のデートは中目黒のフレンチビストロ。昼間の店で、2人でランチコースを食べた。彼は赤ワインを頼んで、私はアイスティー。「お酒大丈夫ですよ」と言ったら「昼間のワインが好きなんです」と返ってきた。面白い人だと思った。


2回目は吉祥寺の古本屋を数軒巡った。彼は哲学の棚が好きで、フッサールの文庫本を買っていた。「読めるの?」「読めないです。でも持ってると落ち着く」。それだけで充分だと思った。


3回目、4回目、5回目と重ねていくうちに、年齢差のことは2人の間ではほとんど話題にならなくなった。


問題は、周りだった。


4回目のデートは恵比寿ガーデンプレイス近くのカフェ。私の友人の岸本に偶然会った。


「あ、彼氏?」


「友達」


「何歳?」


「25」


岸本の顔が微妙に動いた。笑顔のまま、でも目が泳いだ。「そっかー」。それ以上は何も言わなかったけど、言わなかった分だけ変に引っかかった。


その夜、スマホを見ながら岸本に何を思われたかを考えていた。「年下を引っ掛けた年上女」みたいに見えたんだろうか。いや考えすぎか。でも彼女の目が泳いだのは確かで。


5回目のデートは下北沢。串焼きの居酒屋に入った。隣のテーブルが騒がしかった。4人グループの男性たち、同世代か少し上くらい。1人がこっちをちらっと見て、仲間に何か言った。聞こえなかった。聞こえなかったけど、なんとなく察した。


「どうした?」


彼が聞いた。私が黙っていたのに気づいたらしい。


「隣のテーブルが少し気になって」


彼は一度だけ隣を見て、また私の方に向き直った。


「俺は気にしないよ」


「そういう問題じゃないんだよ」


言ってから、少し後悔した。彼のせいじゃない。でも。


「……山川さんが誰と付き合おうが、他人には関係ないじゃないですか」


「そうなんだけど」


「でも気になるんですよね」


「うん」


「それは俺のことが嫌なわけじゃない?」


「嫌じゃない。あなたのことは好きよ」


言ってしまってから、私の方が赤くなった。生ビールのせいにしようとしたけど、そんな量飲んでいない。彼は何も言わなかった。ただ、少し笑った。


翌週、付き合いが始まった。


今でも他人の視線は気になることがある。彼の友人に会った時の「え、年上なんですか?」という顔。私の同僚に紹介した時の「あら若い」という反応。それが悪意じゃないのはわかっている。普通の反応だ。でも普通の反応が積み重なると、少しずつ何かをすり減らす。


先週末、代官山を2人で歩いた。路地裏のパン屋でクロワッサンを買って、公園のベンチで食べた。他に誰もいなかった。


「俺は山川さんのこと以外、あんまり考えてないよ」


突然言われた。


「年齢とか、他人がどう思うかとか、そういうの全部抜きで」


「わかった」


「わかった、ね」


「わかった」


クロワッサンのバターの香りが漂っていた。公園に風が通り抜けた。


他人の視線は消えない。たぶん、ずっとある。でもその視線に負けないための言葉は、25歳の彼の方が先に持っていた。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

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