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恋愛体験談エッセイTapple

マッチした夜から3週間後、彼は福岡に引っ越した。後悔しなかった話

Tappleでマッチした3週間後、彼は福岡に転勤することが決まっていた。まだ一度も会っていなかった。遠距離でいいとお互いが言い張った最初の3ヶ月の話。東京と福岡、飛行機で2時間の遠距離恋愛体験談。

25歳・女性の体験
·橘みあ·6分で読める

正直に言う。マッチした夜に転勤のメッセージが来たのに、続けた。


3週間しか話していなかった。まだ一度も会っていなかった。Tappleで出会って、毎晩メッセージをやりとりして、来週初めて会う約束をしたばかりだった。


スマホを持ったまま天井を見上げた。


普通に考えれば、ここで終わりだ。会う前から遠距離になるなんて、ただの消耗だ。東京と福岡、飛行機で2時間。気軽に会えない。お金もかかる。


でも翌朝、彼からまた連絡が来た。「来週会いませんか。転勤前に」


なぜか断れなかった。


渋谷で3時間半


初デートは渋谷のカフェだった。2月の寒い夜。彼はGAPのニットを着ていて、実物は写真より少しだけ目が細かった。ホットラテを頼んで、お互いに「あの、えっと」と言い始めて、2人して笑った。


3時間半話した。転勤の話、仕事の話、好きな映画の話。彼がずっと好きだという岩井俊二の話で盛り上がって、「Love Letterが一番好き」と言ったら「俺も」と即答されて、なんか変な感じがした。好きな映画を即答された時の感覚、言葉では説明しにくい。胸のあたりで何かが緩んだ、というか、それまで気づかずに構えていたものが解けた感じ。


別れ際、渋谷の交差点の近くで。


「遠距離ってどう思いますか」


彼が聞いた。直球だった。


「……どうかな」


「俺は、やってみたいと思ってる」


人混みの中で、足が止まった。彼の顔を見た。信号が変わった。人が動いた。私たちだけ立っていた。渋谷の夜の人の波が、二人の周りを流れていく。自分の呼吸の音が、少し大きく聞こえた。


「一回やってみようか」


自分でも驚くくらい素直にそう言えた。


毎晩のFaceTime


彼は3月の頭に福岡に行った。荷物を送って、引越し業者に立ち会って、中洲のアパートに鍵を受け取った日、LINEに写真が来た。窓から見える景色。川が見えた。「ここから電話しようと思って」


23時、最初のFaceTime。画面越しの彼の顔は、初デートで会ったままの顔だった。当たり前なんだけど、なんかちょっとほっとした。


「何食べた?」


「とりあえず天神のラーメン」


「どうだった?」


「美味しかった。でも一人で食べると全然美味しくないんだよな」


画面の中の彼が笑った。


FaceTimeは毎晩の習慣になった。22時頃、お互い家に帰ってから。ベッドの上で横になりながら話す。特別なことを話すわけじゃない。今日の仕事どうだったとか、天気どうだったとか、ランチどこで食べたとか。


最初の1ヶ月は楽しかった。新しい習慣が新鮮で、画面越しでも「会ってる感」があった。


2ヶ月目に入った頃から、少し変わってきた。


普通に疲れた日に、電話の時間が億劫になることがある。でも「今日しんどいから電話やめとく」が言いにくい。電話を休む=さぼってる、みたいな謎の罪悪感。


彼が福岡の友達と飲みに行った土曜の夜、電話がなかった。翌朝「昨日飲み会になっちゃって、ごめん」というLINEが来た。ごめん、の文字を読んで、何が嫌だったのか自分でもよくわからなくなった。寂しいのか、連絡なしが嫌なのか、楽しそうにしてることが嫌なのか。


正直に送った。「別にいいんだけど、なんかちょっとモヤっとした。理由は自分でもよくわからない」


彼から電話が来た。


「ごめん。連絡すべきだった」


「連絡してほしかったかどうかもわからない。ただ、なんか」


「なんか?」


「普通にそこにいてほしかっただけかも」


電話の向こうで、彼が黙った。その沈黙がどんな色なのか、画面がなかったから表情は見えなかった。福岡の夜が、向こうにある。自分のいない場所で彼の時間が流れている。それが嫌なんじゃなくて、ただ、もう少しそこにいたかった。


新幹線で5時間


「……行くよ。来月、行く」


3ヶ月目の週末、新幹線に乗った。東京から福岡まで、のぞみで5時間。窓から九州の景色が流れていく。


博多駅に着いたら、彼が改札の前で立っていた。手を上げた。Gapのニットじゃなくて、今日はユニクロの緑のパーカー。少し日焼けしてた。


「来たね」


「来た」


「寒くなかった?」


「新幹線の中は暖かかった」


しょうもない会話だった。でも、その声が画面越しじゃないだけで、全然違った。


中洲を歩いた。屋台で豚骨ラーメンを食べた。夜の那珂川沿いを歩いた。川から生ぬるい風が吹いてきた。彼が「ここ、電話した川」と言って、川面を指した。私は何も言わなかった。ただ川を見た。23時の画面越しに聞こえていた水音が、今は本物の音として耳に届いていた。


帰りの新幹線の最終。博多駅のホームで彼と別れた。ドアが閉まる前、「また来て」と彼が言った。「来る」と答えた。


ホームを離れていく新幹線の窓から外を見たら、彼はまだそこに立っていた。手を振らなかった。ただ立って、私が乗った列車を見ていた。


喉の奥が細くなった感じがした。泣くほどじゃない。でも何かが詰まってる。


距離は縮まらない。でも会うたびに、なぜかちょっとずつ近くなる気がする。矛盾してるのはわかってる。

よくある質問

Tappleでマッチした後、相手が福岡に転勤することを知ったのはいつでしたか?
マッチした日の夜に「実は来月福岡に転勤します」というメッセージが来ました。まだ3週間しか話しておらず、一度も会っていない段階でした。
初デートはいつ・どこでしたか?
転勤前の2月、渋谷のカフェで会いました。寒い夜で、彼はGAPのニットを着ていて、実物は写真より少し目が細かったと書かれています。
東京と福岡という遠距離でも続けることにしたのはなぜですか?
転勤発表翌朝に「来週会いませんか。転勤前に」と連絡が来て、なぜか断れなかったといいます。お互い「遠距離でいい」と言い張った最初の3ヶ月の話が描かれています。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

#Tapple#遠距離恋愛#福岡#FaceTime#別れと繋がり
このテーマを読む:遠距離恋愛体験談

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