下北沢のカフェで出会った彼の「今どこ?」が、2ヶ月で怖くなった。好意と束縛の境界線
Tappleで出会った彼からのLINEは、最初「おはよう」だった。1週間で「今どこ?」に変わった。嬉しかった。2ヶ月で「なんで既読つかないの?」に変わった。怖くなった。
最初は嬉しかった。
Tappleで出会った彼は、付き合って3日目から毎朝「おはよう」のLINEをくれた。下北沢のカフェで初めて会ったとき、「毎日連絡したいタイプなんだ」と笑っていた。26歳の私は、それを「大事にしてくれてるんだ」と思った。
1週間で「おはよう」が「今日何してるの?」に変わった。別に不自然じゃない。付き合いたてだし。
2週目で「今どこ?」が加わった。ランチの時間、仕事終わり、休みの日。1日3回くらい。
嬉しかった。本当に。「この人は私のことをちゃんと気にしてくれてる」と思っていた。友達のマイに「毎日LINEくれるんだよね」と自慢すらした。
変わり始めたのはいつだろう
1ヶ月目のある夜、友達と下北沢で飲んでいた。スマホを鞄に入れっぱなしにしていた。2時間後に見たら、LINEが7件。
「今どこ?」
「仕事終わった?」
「飲み?」
「誰と?」
「男いる?」
「既読つかないけど」
「大丈夫?」
最後の「大丈夫?」を見たとき、胃がひゅっと冷えた。2時間返信しなかっただけで7件。しかも最後は「大丈夫?」——心配してるようで、実は「なんで返事しないの?」と聞いている。
「ごめん、友達と飲んでた!女の子だけだよ」
と返した。「女の子だけだよ」を付け加えた自分に、後から気持ち悪さを感じた。なんで弁解してるんだろう。
2ヶ月目の「なんで既読つかないの?」
2ヶ月目になると、パターンが決まってきた。
朝:「おはよう。今日の予定は?」
昼:「ランチ何食べた?」
夕:「仕事終わった?」
夜:「今何してる?」
返信が10分以上空くと:「見た?」
20分以上空くと:「忙しい?」
1時間以上空くと:「なんで既読つかないの?」
仕事中にスマホが震えるたびに、肩がびくっとなるようになった。会議中に通知が溜まるのが怖い。溜まれば溜まるほど、返信しなかった時間の言い訳を考えなきゃいけないから。
お風呂に入る前に「お風呂入るね」と送るようになった。美容院に行く前に「美容院行くから2時間くらい返せない」と送るようになった。友達と会う前に「今日は○○ちゃんと○○に行くよ」と行き先まで送るようになった。
全部、自発的にやっていた。強制されたわけじゃない。でも強制されたわけじゃないのに、なぜ自分の行動を逐一報告しているんだろう。
下北沢のカフェでの会話
3ヶ月目の日曜日、出会った場所と同じ下北沢のカフェで向かい合っていた。
「最近、返信遅くない?」
彼はアイスコーヒーのストローを噛みながら言った。
「遅いって……仕事中は返せないだけだよ」
「前はもっと早かったじゃん」
その通りだった。最初の頃は、私も1分以内に返していた。それが5分になり、10分になり、30分になった。返信速度が落ちているのは事実だ。
「最近さ、ちょっと連絡多いかなって……」
言った瞬間、彼の表情が変わった。怒りではなく、傷ついた顔。「心配してるだけなのに」と言った。
心配。そう言われると、こちらが悪いように感じる。心配してくれる人に「やめて」と言うのは、気持ちを踏みにじることなのか。でも胃が痛いのも事実で。
友達の一言
マイに相談した。吉祥寺の居酒屋で。
「それ束縛だよ」
マイはビールを一口飲んで、きっぱり言った。
「でも、心配してくれてるだけかもしれないし……」
「2時間返信しなかったら7件来るのは心配じゃない。監視だよ」
監視。その言葉が胸に刺さった。刺さったけど、すぐには受け入れられなかった。好意で心配してくれている人を「監視」と呼ぶのは、自分が冷たいんじゃないかと思った。
「重いかな」と聞かれたとき
ある夜、彼からLINEが来た。
「俺さ、重いかな」
珍しく弱気なメッセージだった。
返信に5分かかった。「重い」と言ったら傷つけるのは分かっていた。でも「重くないよ」と言ったら嘘になる。
「……ちょっとだけ」
と返した。既読がついて30秒の沈黙。長かった。
「ごめん。前の彼女にもそう言われたんだよね。治そうとしてるんだけど」
前の彼女にも言われていた。つまり彼自身も自覚はある。自覚はあるけど止められない。それは好意なのか、不安なのか、支配欲なのか。たぶん全部が混ざっている。
「治さなくていいから、少しだけ信じてほしい。返信遅くても、ちゃんと好きだから」
送ったあとに、自分の文面を見返した。「ちゃんと好き」。本当だろうか。好きだけど怖い、は好きに入るのだろうか。
今、まだ付き合っている
正直に書く。まだ付き合っている。
「今どこ?」は減った。3ヶ月目の下北沢のカフェで話したあと、1日1回くらいになった。でもゼロにはなっていない。
私の中の「好き」と「しんどい」が、まだ決着していない。彼のことは好きだ。会っているときは楽しい。でもスマホが震えるたびに肩が上がる自分がいる。
好意と束縛の境界線がどこにあるのか、今でも分からない。分からないまま、明日も「おはよう」のLINEが来る。
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。