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二子玉川の改札で、私たちは短い言葉を交わして別れた

Pairsで出会った川島さんと5回目のデート、等々力渓谷から二子玉川の改札へ向かいながら、何かが終わっていく気配を感じていた。「そっか」しか言えなかった。週末の改札前、誰もが誰かと一緒にいるその場所での別れ。

24歳・女性の体験
·橘みあ·4分で読める

十一月の夕方、二子玉川はやけに人が多かった。


ライズのフードコートから流れてくる匂い、子どもを肩車したまま歩く父親、ベビーカーを押しながら笑っている夫婦。週末の改札周辺というのは、誰かと一緒にいることが当たり前みたいな顔をした人たちで、いつも満ちている。その中を川島さんと並んで歩いていた。駅に向かって。2人とも、この先のことを口にしていなかった。


それがすでに、答えだったのかもしれない。


川島さんとはPairsで出会った。アプリを始めて3ヶ月目。24歳の私が、初めてちゃんと好きになった人だった。会ったのは5回、5ヶ月かけて5回。数字にすると少ないのに、会うたびに話の層が深くなっていく感覚があった。2回目に渋谷の小さなビストロでワインを飲みながら、お互いが子どもの頃に怖かったものを話した夜のことを、私はまだ覚えている。「暗い場所より、静かな場所の方が怖かった」と彼が言って、私も「わかる」と言って、その「わかる」が本当に嘘じゃなかった。


5回目のデートが、二子玉川だった。


等々力渓谷を歩いた。十一月の渓谷は、木が葉を落としかけていて、踏むたびに乾いた音がした。川の水が思ったより透明で、それをスマホで撮ろうとして、やめた。なんとなく、写真を残す気分じゃなかった。川沿いのカフェでパスタを食べて、コーヒーを飲んだ。話はしていた。仕事の話、最近観た映画の話、川島さんが読んでいる本の話。言葉の数は、多くなかったわけじゃない。でも何かが、いつもと違った。


等々力渓谷で、彼の言葉が少しずつ短くなっていった


彼の言葉が、少しずつ短くなっていった。


渓谷を出て川沿いの道を歩いていたとき、川島さんが「少し考えていることがあって」と言った。空気が冷えていた。首の後ろのあたりがすっと寒くなった気がした。


「うん」


「しばらく、整理したい時間が必要かもしれない」


喉の奥が乾いた。唾を飲み込んでも、すぐにまた乾く。川の音だけが続いていた。


「整理って、どんなこと?」


「仕事のことも、色々と……。今の自分に、誰かと会い続けるのが、正直厳しくて」


責めているんじゃないのはわかった。彼の声が穏やかだったから。怒っているんじゃない。ただ疲れている、という声だった。どこかに「ごめん」が滲んでいた。それがかえって、胸の真ん中あたりを重くした。


「そっか」


それだけ言った。「いつからそう思ってた?」とか「私のことはどう思ってるの?」とか、聞けなくはなかった。でも聞かなかった。聞いても何かが変わるとは思えなかったし、正直に言えば——答えを聞くのが怖かった。「好きだけど、今は無理」と言われることも、「そういうわけじゃなくて」と言われることも、どっちも、怖かった。


矛盾している。わかってる。でもそのとき私は、両方が同時に本当だった。


川沿いから駅に向かって歩いた。5分くらいの道のり。特に何も話さなかった。でもその沈黙は、攻撃的じゃなかった。誰かを責めているわけじゃない、ただ静かな沈黙。二子玉川の夕方の空気が冷たく、駅が近づくにつれてどんどん人が増えた。私たちの間に、見えない透明な壁みたいなものが一枚あって、でもそれを「ある」と言える状況でもなかった。


改札の前に着いた。


「今日はありがとう」と彼が言った。


「こちらこそ」と私は言った。


「いろいろ、ごめんね」


「謝らないで」


「うん」


少しだけ、間があった。誰かのキャリーケースが横を通り過ぎた。子どもが「ママ」と呼ぶ声がした。


「じゃあ」


「うん。じゃあ」


彼がSuicaを改札にタッチした。扉が開いた。彼が中に入った。振り向かなかった。扉が閉まった。


改札の前で、最後の言葉を交わした


私はそこに立っていた。


何秒かわからない。人がぶつかりそうになって、「すみません」と声が出て、それで足が動いた。田園都市線のホームに降りて、電車が来て、乗った。扉が閉まった。窓の外が、駅を出るたびに暗くなっていった。


泣くかと思ったけど、泣かなかった。目が乾いている感じがした。喉も乾いていた。渋谷でいったん降りて、改札近くのローソンでエビアンの小さいペットボトルを買って、ホームに戻って飲んだ。冷たい水が食道を通るのを、妙にはっきり感じた。


川島さんのLINEは消さなかった。でも開かなかった。アイコンをフォルダの奥に移動させて、見えないところに入れた。消すのとは違う。消せないのとも、違う。


それから3ヶ月が経つ。


川島さんから連絡は来ていない。私からも送っていない。等々力渓谷にはまだ行っていない。二子玉川の駅も、用がなければ降りない。田園都市線に乗るとき、あの駅のアナウンスが流れるたびに、胸のどこかが一瞬だけ固くなる。


喧嘩して終わったわけじゃないから、整理がつかない。怒れないし、悲しみきれない。誰かに話すとき、「別れた」という言葉が正確かどうかもわからなくて、「なんか、自然消滅した感じで」とごまかす。でも自然消滅でもない気がして、それもしっくりこない。


あの「じゃあ」という言葉が、時々耳の中に戻ってくる。


私の「じゃあ」じゃなくて、彼の「じゃあ」。静かで、少しだけ申し訳なさそうで、でもちゃんと終わりを告げていた、あの「じゃあ」。


爆発しなかった終わりは、爆発した終わりより、ずっと長く体の中に残る。

よくある質問

どのアプリで知り合ったのですか?
Pairsで出会った川島さんで、アプリを始めて3ヶ月目に24歳の筆者が初めてちゃんと好きになった人だったとのことです。
5回のデートを経て、最後はどうなったのですか?
5回目のデートの帰り道、等々力渓谷から二子玉川の改札まで歩く間に、何かが終わっていく気配を感じていたとのことです。改札の前で短い言葉を交わして別れたと書かれています。
終わりの気配を感じながら「そっか」しか言えなかったのはなぜですか?
言葉にしてしまうことで確定してしまう何かがあったのかもしれません。両者ともこの先のことを口にしないまま駅に向かっていた、その沈黙がすでに答えだったと振り返っています。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

#Pairs#切ない#別れ##静かな終わり
このテーマを読む:失恋・別れ体験談

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