恋のアーカイブ
恋愛体験談エッセイPairs

「ご飯行きませんか」と送った夜、後悔しなかった3週間の話

Pairsで3週間、毎晩やりとりが続いた。でも彼はデートに誘ってこなかった。待ちくたびれた私は、ある夜スマホを持ち直して「ご飯行きませんか」と打ち込んだ。送信ボタンを押す指が少し震えていた。女性から誘った体験談。

24歳・女性の体験
·橘みあ·6分で読める

正直に言う。3週間待てなかったのに、私から誘ったら続いた。


彼のプロフィールを最初に見たのは、仕事帰りの電車の中だった。23時過ぎ、大崎駅で乗り換えながらPairsを開いたら、彼の写真が出てきた。眼鏡をかけて、少し下を向いてる写真。自撮りじゃなくて、誰かに撮ってもらったやつ。その「下を向いてる感じ」が、なんか良かった。


毎晩積み重ねた1000通


マッチしてすぐ、彼から最初のメッセージが来た。「プロフィールに読書好きって書いてありましたけど、最近何か読みましたか?」。丁寧。でも話しやすい入口。私も本が好きで、「最近、村田沙耶香の『コンビニ人間』を再読しました」と返したら、「それ、ちょうど読もうと思ってたやつです!」って。


そこから毎晩、仕事終わりにLINEを交換してやりとりした。好きな食べ物、嫌いな季節(二人とも夏が苦手だった)、最近ハマってるドラマ、失敗した料理の話。彼はエンジニアで、休日は中目黒の川沿いを散歩するのが好きだと言っていた。控えめで、自分の意見をじっくり考えてから伝えてくれる人。返信は早くないけど、丁寧だった。送ってきた文章の中に「私は」じゃなくて「ぼくは」という表現が混じっていて、それが妙にかわいかった。


1週間が過ぎ、2週間が過ぎた。


話題は尽きない。でもデートの話が出ない。


私はずっと待っていた。彼から「今度会いませんか」って来るのを。でも3週目に入っても、その言葉は来なかった。彼が消極的なのか、まだそのタイミングじゃないと思っているのか、あるいは私に対してそこまで積極的じゃないのか。考えれば考えるほどわからなくなった。2週間半あたりで、ちょっとだけ「やっぱり私はそんなに好きじゃないのかな」という思考が入り込んできて、寝る前にスマホを眺める時間が少し増えた。


7文字を打って消して、また打った夜


ある木曜の夜。仕事が終わって、品川の居酒屋で同期と飲んでた。「最近気になる人いるの?」と聞かれて、「Pairsで会う前から好きになってる人がいるんだけど」と言ったら、「誘えばいいじゃん」と言われた。


「でも、女から誘うのって……」


「何がいけないの?」


「別に、いけなくはないけど……」


「じゃあ誘えば」


その夜、家に帰ってから45分くらい、スマホを眺めていた。彼とのトーク画面を開いて、閉じて、また開く。「ご飯行きませんか」と打っては消して、打っては消した。文字数は7文字しかないのに、なんでこんなに重いんだろう。


なんでこんなに怖いんだろう。


断られるのが怖いのか。それとも、誘う側になることが、ずっと「してはいけないこと」みたいに思い込んでいたのか。「女の子は待つもの」という刷り込みが、どこかに残っていたのかもしれない。ドラマや漫画で、ずっとそういう構図を見てきたから。


気づいたらもう24時を過ぎていた。


「ご飯行きませんか」


打って、送った。


首の後ろが熱くなった。耳まで。送ってから、うわやばいと思って枕に顔を押し込んだ。でも取り消せない。もう送ってしまった。心臓が変な跳ね方をしていた。布団の中で体を丸めながら、最悪断られても別に死なないし、と自分に言い聞かせた。でも手が少し震えていた。


3分後、通知音。


「行きましょう! 来週の土日どっちかどうですか?」


びっくりした。秒じゃない。でも早い。そして感嘆符つき。彼からメッセージにびっくりマークがついたの、初めて見た。


翌週の土曜。恵比寿で待ち合わせた。


彼は私を見てすぐ「今日は誘ってもらってありがとうございます」と言った。研修初日みたいな挨拶で、思わず笑った。「私が誘ってよかったんですか?」と聞いたら、「正直ずっと誘おうと思ってたんですけど、タイミングがつかめなくて」と言って、また耳が赤くなった。


ああ、この人も緊張してたんだ。私と同じで。


恵比寿ガーデンプレイスの方に歩いて、イタリアンのお店で向かい合って座った。ナポリ風のマルゲリータを頼んで、二人でシェアした。チーズが伸びて、彼がうまくフォークで切れなくて、ちょっとだらしない感じになって笑った。彼がワインを注いでくれた時、指先がグラスのふちに少し触れた。それだけなのに、なんか喉が乾いた。


「送ってもらえてよかったです」


食後に彼が言った。


「私も送ってよかった」


それから4ヶ月。今でも付き合っている。


先日、LINEを遡って「ご飯行きませんか」の前後を読み返したら、彼が前日の夜に「来週どこかで……」と書きかけて消した痕跡があったらしい。彼に教えたら「バレてたの!?」と言って、照れた顔をした。


待ってたら、もう少し待っただけだったかもしれない。二人とも奥手で、ずっと様子を見てたまま。でも誰かが動かなきゃ始まらないなら、動いた方が早い。7文字のメッセージが、4ヶ月を生んだ。


女から誘ったら何かが変わるかと思ってた。変わらなかった。今でもあの判断が正しかったかは、わからない。

よくある質問

どのアプリで知り合ったのですか?
Pairsで知り合いました。相手から最初のメッセージが来て、3週間で約1000通のやりとりをしたにもかかわらず、デートに誘ってこなかったとのことです。
自分からデートに誘った理由は何ですか?
3週間待ち続けたけれど誘ってこない。待ちくたびれた結果、「ご飯行きませんか」と自分から打ち込んだとのことです。送信ボタンを押す指が少し震えていたと書かれています。
相手はどう反応したのですか?
記事では送った後の展開が描かれていきます。3週間LINEだけが続いていた関係に、初めて現実の一歩を踏み出した瞬間の緊張が体験談の核になっています。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

このテーマを読む:告白体験談

この記事が刺さったら、シェアしてください

あなたへのおすすめ

Pairs」に興味があるあなたへ

「また行きたい」と送った夜、Pairsで出会った25歳の私が変わった
恋愛体験談

「また行きたい」と送った夜、Pairsで出会った25歳の私が変わった

恵比寿から山手線に揺られながら、削除ボタンの上に指を置いたまま3分間。「先に送ると軽く見られる」という声と、本当のことを言いたい気持ち。Pairsで出会ったタクヤに「また行きたい」と送った夜、25歳の私が変わった。

女性Pairs|25歳
5
20分かけて書いた告白文を消した夜、7文字だけ送った
恋愛体験談

20分かけて書いた告白文を消した夜、7文字だけ送った

日曜の夜23時、Pairsで知り合った健太に告白した。最初に書いた文章は5行超えのぐるぐる文。送ろうとして、全部消した。送ったのは「好きです以上」の7文字だけ。送った後、すぐ顔を枕に埋めた。あの夜の正直な記録。

女性Pairs|27歳
4
3日で消えた男に「あれ、消えました?笑」と送った夜。後悔はしてない
恋愛体験談

3日で消えた男に「あれ、消えました?笑」と送った夜。後悔はしてない

Pairsでマッチして3日、無言だった相手に「あれ、消えました?笑」と送った。「女から追うな」なんてルール、誰が決めたの。帰ってきた返事と、その後が思ったよりずっとよかった。自分から動いてみたマッチングアプリ体験談。

女性Pairs|26歳
5
デートを丸ごと計画したのは私。「女性は待つもの」をやめた日
恋愛体験談

デートを丸ごと計画したのは私。「女性は待つもの」をやめた日

Pairsで出会ったKentaさんとのデート、お店もエリアも時間も全部私が決めた。「えっ全部決めてくれてるの?」という彼の顔を見て思った、なんで今まで「どこでもいいよ」と言い続けてきたんだろうと。女性がデートを計画した話。

女性Pairs|27歳
6
7回待っても告白されなかった夜。べきか迷って、改札の前で聞いた
マッチングアプリ攻略

7回待っても告白されなかった夜。べきか迷って、改札の前で聞いた

Pairsで出会った人と7回デートした。手は繋いで、キスもした。でも「付き合おう」という話は一度も出なかった。友達に「7回って多くない?」と言われた夜、初めて自分に問いかけた。待つのか、自分から聞くのか。

女性Pairs|28歳
6
付き合って後悔した夜。アプリを3週間消せなかった理由
恋愛体験談

付き合って後悔した夜。アプリを3週間消せなかった理由

Pairsで出会って付き合い始めたのに、3週間アプリを消せなかった。「あとで消す」と思いながら、消せない自分の正体に気づくまでの話。

femalePairs|27
4

恋愛体験談」はまだ 298 本あります

次の記事

3回目のデートで「好きです、付き合ってください」と言ったのは私だった