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恋愛体験談エッセイPairs

デートを丸ごと計画したのは私。「女性は待つもの」をやめた日

Pairsで出会ったKentaさんとのデート、お店もエリアも時間も全部私が決めた。「えっ全部決めてくれてるの?」という彼の顔を見て思った、なんで今まで「どこでもいいよ」と言い続けてきたんだろうと。女性がデートを計画した話。

27歳・女性の体験
·橘みあ·6分で読める

「どこ行きたい?」


聞かれるたびに「どこでもいいよ」と言ってきた。27年間ずっとそうだった。


「どこでもいい」は嘘だった。行きたい場所はあった。食べたいものもあった。でも、男の人が決めるもので、女は「それがいい!」と言うのが正しい順番だと思ってた。どこで学んだのか。でも確実にそう学んでいた。


「渋谷とかどうですか?」の漠然さ


PairsでKentaさんとマッチしたのは4月の終わりだった。好きな食べ物のところに「なんでも食べます」と書いてあって、好きな場所のところに「家(笑)」と書いてある人だった。デートのプランを考えるのが得意じゃないんだろうなと思った。悪い意味じゃなくて、そういう人なんだと。


やりとりが始まって1週間。「今度会いませんか」と彼から言ってきた。「ぜひ! どこがいいですか?」と私が返したら「えっとー」と言って、10分後に「渋谷とかどうですか?」という漠然とした返事が来た。


渋谷のどこで何をするかは書いてなかった。


私はスマホを置いて、少し考えた。


またここで「どこでもいい」って言うのか。そして当日になって「どこ行く?」「どっちでもいいよ」を繰り返して、結局チェーンのカフェに入って終わるのか。それが嫌なわけじゃないけど、私が行きたいのはそこじゃない。なんでいつもこうなるんだろう。一人でいるときは行きたい場所を調べて、一人で行く。なのにデートになると急に「どこでもいい」になる。その矛盾に気がついたのが、27歳になって初めてだった。


返信を打ち始めた。指先が少し震えていた。


「じゃあ、恵比寿にしませんか。お昼から行けますか? 最近気になってるパスタのお店があって、14時くらいに予約取れると思います。食後に代官山まで歩いてコーヒー飲んで、夕方から気分で変えてもいいし」


送った。


1分後、既読。


「えっ全部決めてくれてるの? ありがとう!!! めっちゃ助かります」


「!!!」が3つついてた。嬉しそうだった。頬が少し熱くなった。


ああ、この人、決めるのが苦手だっただけで、決められることが嫌なわけじゃないんだ。


恵比寿から代官山まで歩いた土曜


土曜。恵比寿で待ち合わせ。彼は私を見てすぐ「今日よろしくお願いします!」と言った。研修初日みたいな挨拶で、思わず笑った。


お店は恵比寿から代官山の方に少し入ったところにある小さなトラットリア。カウンターが8席だけある。予約したら「お名前を教えてください」と言われたあの瞬間が、なんか好きだった。「自分が場所を決めた」という実感。カチョエペペを頼んで、二人でシェアした。チーズとコショウと、パスタのゆで汁のとろみが絡まって、シンプルなのに深い味がした。


「ここ、どこで見つけたの?」


「インスタで。パスタの写真が良くて、フォローして、ずっと来たかったんです」


「来たかったとこに来れてよかったじゃん」


彼が笑った。そういう言い方してくれるんだ、と思った。「決めてくれてありがとう」じゃなくて、「来れてよかったじゃん」って。自分の気持ちが真ん中に来る言い方。その優しさの置き方が、なんかいいなと思った。


食後は代官山まで歩いた。散歩しながら話す方が、向かい合ってるより喋りやすいと気づいた。横に並んで歩くから、視線がぶつからない。言いやすい話が出てきた。仕事のこと、家族のこと、将来どこに住みたいか。ヒルサイドテラスの前で、彼が「ここって古いんですか?」と聞いてきた。「1960年代くらいからあるらしいですよ」「すごい、歴史あるな」。知識自慢じゃなくて、ただ素直に驚いてる感じ。そういう人だ、とまた思った。


代官山のコーヒー屋で一休みして、夕方から中目黒の方に歩いた。


「もったいない」という一言


「今日楽しかった」と彼が言ったのは、川沿いのベンチに座っていた時だった。「俺、デートのプラン考えるの苦手で、いつも困ってたんだよね」と彼が続けた。「全部決めてきてもらえると、こんなに楽なんだと思った」


「私は決めるの好きなんで」


「そうなの?」


「うん。でも今まで、なぜかいつも『どこでもいい』って言ってた」


「なんで?」


「……わかんない。なんとなく、そういうもんだと思ってたのかも」


彼はしばらく考えてから「もったいない」と言った。


もったいない。


そうだよ、もったいなかった。


待つことを「女らしさ」だと勘違いしてた。我慢することと、ちゃんと相手のことを考えることを混同してた。川の水がゆっくり流れていた。夕方の光が水面に橙色に散らばっていた。「もったいない」という言葉が、胸が刺されたように、抜けなかった。


デートのプランを立てることは、相手に押し付けることじゃない。「あなたと行きたい場所がある」という気持ちの表れだ。


今はKentaさんと付き合っている。デートのプランは大体私が決めて、彼は「任せます」と言ってついてくる。不満そうじゃない。むしろ楽しそうだ。先月は高円寺の銭湯に連れて行って、帰りに昭和なラーメン屋に入った。彼が「なんかこういうの好きかも」と言っていた。私が選んだ場所が好きだと言ってくれる。それが嬉しい。


「どこでもいい」という言葉は、もう使わないと決めた。

よくある質問

どのアプリで知り合ったのですか?
Pairsでマッチングした相手で、好きな場所の欄に「家(笑)」と書いてあるほどデートのプランを得意としないKentaさんだったとのことです。
なぜ全部自分でデートを計画することにしたのですか?
「どこでもいい」と答え続けてきた27年間を振り返り、行きたい場所はあるのに男の人が決めるものだと思い込んでいたことに気づいたからです。Kentaさんとのやりとりをきっかけに、自分で動くことにしたとのことです。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

このテーマを読む:初デート体験談

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