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恋愛体験談Pairs

デートを丸ごと計画したのは私。「女性は待つもの」をやめた日

お店も、エリアも、時間も、全部私が決めた。彼は「えっ全部決めてくれてるの?」と驚いてた。その顔を見て、なんで今まで待ってたんだろうと思った。

27歳・女性の体験
·橘みあ·5分で読める

「どこ行きたい?」


聞かれるたびに「どこでもいいよ」と言ってきた。27年間ずっとそうだった。


「どこでもいい」は嘘だった。行きたい場所はあった。食べたいものもあった。でも、男の人が決めるもので、女は「それがいい!」と言うのが正しい順番だと思ってた。どこで学んだのか。でも確実にそう学んでいた。


PairsでKentaさんとマッチしたのは4月の終わりだった。好きな食べ物のところに「なんでも食べます」と書いてあって、好きな場所のところに「家(笑)」と書いてある人だった。デートのプランを考えるのが得意じゃないんだろうなと思った。悪い意味じゃなくて、そういう人なんだと。


やりとりが始まって1週間。「今度会いませんか」と彼から言ってきた。「ぜひ! どこがいいですか?」と私が返したら「えっとー」と言って、10分後に「渋谷とかどうですか?」という漠然とした返事が来た。


渋谷のどこで何をするかは書いてなかった。


私はスマホを置いて、少し考えた。


またここで「どこでもいいよ」って言うのか。そして当日になって「どこ行く?」「どっちでもいいよ」を繰り返して、結局チェーンのカフェに入って終わるのか。それが嫌なわけじゃないけど、私が行きたいのはそこじゃない。


返信を打ち始めた。


「じゃあ、恵比寿にしませんか。お昼から行けますか? 最近気になってるパスタのお店があって、14時くらいに予約取れると思います。食後に代官山まで歩いてコーヒー飲んで、夕方から気分で変えてもいいし」


送った。


1分後、既読。


「えっ全部決めてくれてるの? ありがとう!!! めっちゃ助かります」


「!!!」が3つついてた。嬉しそうだった。


ああ、この人、決めるのが苦手だっただけで、決められることが嫌なわけじゃないんだ。


土曜。恵比寿で待ち合わせ。彼は私を見てすぐ「今日よろしくお願いします!」と言った。研修初日みたいな挨拶で、思わず笑った。


お店は代々木上原寄りにある小さなトラットリア。カウンターが8席だけある。カチョエペペを頼んで、二人でシェアした。チーズとコショウと、パスタのゆで汁のとろみが絡まって、シンプルなのに深い味がした。


「ここ、どこで見つけたの?」


「インスタで。パスタの写真が良くて、フォローして、ずっと来たかったんです」


「来たかったとこに来れてよかったじゃん」


彼が笑った。そういう言い方してくれるんだ、と思った。


食後は代官山まで歩いた。散歩しながら話す方が、向かい合ってるより喋りやすいと気づいた。横に並んで歩くから、視線がぶつからない。言いやすい話が出てきた。仕事のこと、家族のこと、将来どこに住みたいか。


代官山のコーヒー屋で一休みして、夕方から中目黒の方に歩いた。


「今日楽しかった」と彼が言ったのは、川沿いのベンチに座っていた時だった。「俺、デートのプラン考えるの苦手で、いつも困ってたんだよね」と彼が続けた。「全部決めてきてもらえると、こんなに楽なんだと思った」


「私は決めるの好きなんで」


「そうなの?」


「うん。でも今まで、なぜかいつも『どこでもいい』って言ってた」


「なんで?」


「……わかんない。なんとなく、そういうもんだと思ってたのかも」


彼はしばらく考えてから「もったいない」と言った。


もったいない。


そうだよ、もったいなかった。


待つことを「女らしさ」だと勘違いしてた。我慢することと、ちゃんと相手のことを考えることを混同してた。


デートのプランを立てることは、相手に押し付けることじゃない。「あなたと行きたい場所がある」という気持ちの表れだ。


今はKentaさんと付き合っている。デートのプランは大体私が決めて、彼は「任せます」と言ってついてくる。不満そうじゃない。むしろ楽しそうだ。


「どこでもいい」という言葉は、もう使わないと決めた。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

このテーマを読む:初デート体験談

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