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10歳年上とマッチした夜、後悔した恋愛の正解の話

マッチングアプリで「35歳」を見た瞬間、「ないな」と思った。でも「好きな場所:神楽坂の裏路地」の一文が引っかかった。10歳年上と付き合って、恋愛の「正解」が全部ひっくり返った体験談。

20代半ば・女性の体験
·橘みあ·8分で読める

正直に言う。35歳に「ないな」と思ったのに、消えた。


私は25歳。10歳差。お父さんとまではいかないけど、完全に「上の世代」。友達に言ったら「おじさんじゃん」って言われる距離。


でもプロフィールの一文が引っかかった。「好きな場所:神楽坂の裏路地」。私も神楽坂が好きだった。あの石畳の坂道と、路地裏の小さな料理屋の灯り。それを「好きな場所」に挙げる人に、ちょっとだけ興味が湧いた。


いいねを返した。マッチした。


最初のメッセージ。「神楽坂お好きなんですね。おすすめの店ありますか?」


返信。「裏路地に、カウンター8席だけのフレンチがあります。ワインの品揃えがすごくて、マスターが気分で料理を決めてくれる店。よかったら今度。」


同世代の男の子なら「焼肉行きません?」か「カフェ行きましょう!」。この人は違った。


怖さ半分、好奇心半分で、会うことにした。


初デート:知らない世界の入口


待ち合わせは神楽坂の毘沙門天の前。土曜の18時。


彼——シュンさんは、ネイビーのコートにグレーのマフラー。写真より少しだけ老けてた。でも不思議と「おじさん」とは思わなかった。姿勢がよくて、目が穏やかで、笑うと目尻にシワができて、それが嫌じゃなかった。


「寒くない? もう少し歩くけど」


「大丈夫です」


石畳の路地を2分くらい歩いて、看板のない店に入った。木のドア。中は薄暗くて、ジャズが流れてて、カウンターにキャンドルが灯ってた。


カウンターに並んで座る。彼がワインリストを開かずにマスターに話しかけた。


「今日のおすすめ、泡から始めていい?」


「シュンさん、今日はアルザスのクレマン開けたところ。ちょうどいいですよ」


シャンパングラスが来た。細かい泡が立ち上る。一口飲んだ。りんごみたいな香りがした。


「お酒、強い?」


「普通くらいです。ハイボールとか」


「ここのワイン、飲みやすいから油断すると酔うよ。ゆっくり飲んで」


同世代の男の子は「ガンガン飲もう」って言う。この人は「ゆっくり飲んで」って言った。その一言で肩の力が抜けた。


料理はマスターのおまかせ。鯛のカルパッチョ、鴨のコンフィ、きのこのリゾット。どれも小さなポーションで、宝石みたいに綺麗だった。


「美味しい……」


「でしょ。ここ、5年くらい通ってる」


5年。私が20歳の時から通ってる店。時間の厚みが違う。


会話の質が、違った


同世代とのデートは、だいたい「仕事何してるの」「趣味は?」「好きなタイプは?」の三本立て。面接みたい。


シュンさんは違った。


「最近何か面白いことあった?」


この質問が、すごく効いた。仕事の話でも趣味の話でもなく、「面白いこと」。何でもいい。自由度が高い。


「えっと……この前、会社の近くの公園で、鳩がカラスに立ち向かってるの見たんですよ。鳩ってビビりなのに、パンくずの前だけは強気で」


「いいね、鳩のプライド」


笑ってくれた。ジャッジしない笑い方。「面白いね」でも「変わってるね」でもなく、ただ一緒に面白がってくれる感じ。


2杯目のワインを飲みながら、シュンさんが言った。


「俺、25の時は仕事しか見えてなくて。週6で働いて、日曜は寝てた。誰かとゆっくりワイン飲むなんて考えもしなかった」


「今は?」


「今は、こうやって誰かと過ごす夜が一番贅沢だと思ってる。仕事は大事だけど、人生の全部じゃない」


25歳の私の耳には、それがすごく新鮮に聞こえた。私はまだ「仕事頑張らなきゃ」のフェーズにいる。でもこの人はその先を知ってる。


触れ方が、違った


3回目のデート。恵比寿の映画館で映画を観た後、近くのワインバーに入った。


カウンターで隣に座る。赤ワイン。彼の手が、グラスを持つ私の手に触れた。偶然なのかわざとなのか、わからなかった。指先がかすかに触れただけなのに、腕の内側がぞわっとした。


「手、冷たいね」


シュンさんが私の手を両手で包んだ。大きくて、あたたかくて、少しだけ硬い手だった。仕事で使ってる手だと思った。


心臓が肋骨をノックしてる。顔が熱い。ワインのせいにしたかったけど、違う。


「……あったかい」


それしか言えなかった。シュンさんは何も言わずに、ゆっくり指を絡めた。


同世代の男の子は、距離を詰めるのが急だった。3回目のデートで「うち来る?」。それが悪いとは言わない。でもシュンさんは違った。手を繋ぐことに、時間をかけてくれた。手を繋ぐこと自体を、ちゃんと味わってくれた。


帰り道、恵比寿の駅まで手を繋いで歩いた。3月の夜。街灯の下を歩く二人の影が長く伸びてた。


「送るよ」


「大丈夫です、一人で帰れます」


「知ってる。でも、もう少し一緒にいたい」


この人ずるい。こんな言い方されたら、断れない。


改札の前。向かい合った。彼の目が街灯に照らされて、深い茶色に見えた。


シュンさんが私の前髪をそっと横に流した。指先が額に触れた。そのまま頬を撫でて、顎に手を添えた。


息がかかるくらいの距離。彼の香水——ウッディで落ち着いた匂いが鼻先をくすぐった。


「帰りたくないって言ったら、困る?」


声が低くて、耳の奥が熱くなった。膝の力が一瞬抜けた。


「……困らない」


自分の声がこんなにかすれるなんて、知らなかった。


恋愛観が変わった3つのこと


シュンさんとの時間を通じて、それまでの恋愛観がひっくり返った。


1. 「スペック」は入口でしかない。


年齢、年収、身長。アプリで最初に見る数字。でもシュンさんとの時間で学んだのは、数字の向こうにある「時間の過ごし方」の方がずっと大事だということ。どんな店を知ってるか、どんな会話ができるか、どんなふうに人に触れるか。それは数字には出ない。


2. 「余裕」は年齢じゃなくて経験から来る。


シュンさんの余裕は、35年生きてきた時間の蓄積だった。でもそれは「年上だから余裕がある」って単純な話じゃない。たくさん失敗して、傷ついて、学んできた結果の余裕。だから押し付けがましくない。「俺はこう思うけど、君は?」って聞いてくれる。


3. 恋愛の「ペース」は自分で決めていい。


同世代と付き合ってた時、「3回目のデートで告白」「1ヶ月で体の関係」みたいな暗黙のタイムラインがあった。シュンさんにはそれがなかった。「急がなくていい。俺たちのペースで」。この一言で、恋愛にルールなんてないんだと気づいた。



シュンさんとは付き合って4ヶ月になる。年齢差を感じる瞬間はある。彼が好きな音楽を「知らない」と言うと、「そうか、あの頃まだ高校生か」って笑われる。それが悔しくもあり、面白くもある。


友達には「おじさんと付き合ってるの?」ってからかわれる。「おじさんじゃないし」って返す。でも心の中では思ってる。この人に出会わなかったら、私はまだ同世代のLINEの返信速度に一喜一憂する恋愛をしてた。


年齢でまず決めるべきかはわからないけど、開いてよかった。

よくある質問

年上の人との恋愛で気をつけるべきことは何ですか?
人生経験や価値観の違いを理解し、相手を尊敬しつつ自分の考えも大切にすることが重要です。年齢差による見方の違いを学びの機会と捉え、コミュニケーションを積極的に取りましょう。
年上パートナーとの恋愛で自分を見失わないコツは?
相手の意見を参考にしつつ、自分の価値観や目標を忘れないことが大切です。年齢差による知識差に圧倒されず、対等なパートナーとして自分の意見を尊重する関係を心がけましょう。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

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