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恋愛体験談エッセイ

6歳上と付き合った夜、価値観の違いに迷った話

プロフィールに「6歳上」とあって、一瞬指が止まりかけた。でも自己紹介欄の文章がどこかずれていて、それが気になって右にスワイプした。違いはたくさんあった。それでも、この人のことを面白いと思い続けている。年の差恋愛の体験談。

29歳・女性の体験
·橘みあ·7分で読める

正直に言う。6歳上とは付き合わないつもりだったのに。


それだけで閉じようとした。でも、自己紹介欄の文章がおかしかった。真剣に書いているのに、どこかずれている。その感じが気になって、結局メッセージを送った。


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雨上がりのバーで


最初のデートは、渋谷の喧騒からひとつ路地を入ったところにある小さなバー。金曜の夜、雨上がりの石畳が濡れていて、看板の灯りがにじんでいた。席についてすぐ、音楽の話になった。


彼の口からバンドの名前がいくつも出た。Eastern YouthとかThe Birthdayとか、私にはぴんとこない固有名詞が続く。「全然知らないです」と正直に言ったら、「そうか、ジェネレーションギャップだな」と言って、笑った。


馬鹿にする笑いじゃなかった。自分のことも一緒に笑っているみたいな、おかしさを共有する感じ。その笑い方が、なぜか胸のあたりに残った。帰り道、Spotifyでひとつひとつ検索しながら山手線に乗った。ぜんぜん知らない曲なのに、悪くなかった。


その夜、家に帰ってから布団に入っても、彼の声の低さをなぜか覚えていた。話しながら少しだけ前に体が傾いてきた瞬間のこと。テーブルを挟んで座っていたのに、距離が縮まった感じ。それが夢うつつに浮かんで、消えた。


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ぶつかる週末、違うやり方


付き合い始めてすぐに気づいたのは、週末の温度差だった。


私はどこかに行きたい。新しい街を歩きたい、見たことのないものを見たい。でも彼は「今日はゆっくりしたい」と言う。布団の中でスマホをいじりながら、「どこか行こうよ」と声をかけた土曜の昼。返ってきたのは「うーん」という声と、長い沈黙だった。


むっとした。一緒にいるのに、一緒にいない感じがした。


でも同時に、なんかこれ、こっちが合わせさせようとしてるかな、とも思っていた。好きと「違うかも」が同時にあって、どちらが本当なのか自分でもわからなかった。その日の午後、彼が先に起きてコーヒーを入れてくれた。黙ってテーブルに置いていってくれた。怒ってるわけじゃない。ただ、自分のペースがある人なんだと思った。問題が解決したわけじゃないけど、「この人は悪意がない」という確認ができた気がした。


仕事の話でも、似たことがあった。職場で何かもめたとき、私はまず根回しをする。空気を読んで、タイミングを計って、それから動く。でも彼は「それ、今すぐ言ったほうがいい」とすぐ言う。会って三ヶ月くらいの頃、愚痴を聞いてもらいながら「なんでそこで言えなかったの」と返されて、ちょっとだけ息が詰まった。


「やり方が違う」と思う瞬間が、確かにあった。


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違いを感じるたびに、最初は「直してほしい」と思っていた。たぶん無意識に。


週末の過ごし方も、職場での立ち回り方も、私のやり方のほうが正しくて、彼がそれに気づいてくれればうまくいくのに、という発想が根っこにあった。


でもある日、目黒川沿いを歩いていたとき、ふと思った。私、この人に自分の形に合わせてほしいだけじゃないか、と。


桜の季節より少し前で、枝だけの木が川沿いに並んでいた。夕方で、風が少し冷たかった。彼は何か別のことを話していたと思う。私はぼんやりその話を聞きながら、自分の中の何かを確認していた。ジャケットの袖口を引っ張って、指を隠した。川の水が灰色に光っていた。この人と歩いてここにいることが、不思議と自然だった。違いがあるはずなのに、隣にいることの感触は、馴染んでいた。


この人のやり方を「間違い」にしてしまうのは、なんか違う。


それだけわかった。それだけで、少し楽になった。


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視点を変えたら、楽になった


それから変えたのは、視点だった。


「違うからダメ」じゃなくて、「違うけど、この人のやり方を面白いと思えるか」を、自分に問うようにした。


面白いと思えることが多かった。すぐ言う、という彼の性質は、私には持てない強さだとも思えた。根回しが得意な私には、彼の「とりあえず言ってみる」が眩しく見えることがあった。どちらかが正解じゃない、ただ違う、というだけのことが、じわじわわかってきた。


週末のことも、結局は「どうする?」と話し合うようになった。今日は出たい、でも彼はゆっくりしたい、なら午後だけ一緒に出よう、という感じで。どちらかが折れるんじゃなくて、着地点を探す。それが当たり前になるのに、半年くらいかかった気がする。


ある日の休日、二人で吉祥寺の古本屋をぶらぶら歩いていた。特に目的もなく棚を見ていたら、彼が薄い詩集を一冊抜き出して「これ読んだことある?」と聞いてきた。私が知らない名前の詩人だった。「読んでみなよ」と渡されて、立ち読みした。言葉が少なくて、でも密度があった。「どうだった?」「……重たい。でも好きかも」「そう、そういう感じするよな」。そのやりとりが、なんか久しぶりに気持ちよかった。二人とも全く同じ感想じゃなくてもいい。ずれていても、話せる。


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今、付き合って一年が経つ。


秋の終わりに付き合い始めて、今また同じ季節が来た。特別なことは何もしていないけど、先週の日曜、二人で近所のパン屋でサンドイッチを買って、代々木公園で食べた。彼は「やっぱり外もいいな」と言って、私は「たまにはね」と言った。なんでもない午後だった。でもそういう時間が、積み重なっていく。枯れ葉が風に転がっていく音がして、遠くで犬が鳴いた。サンドイッチのハムが思ったよりしょっぱかった。それも全部、一年分の記憶の一枚になっていく。


価値観の違いは、まだある。これからもなくなることはないと思う。でも「この人のことが好きだから、違いについて話せる」という感覚がある。話すことが怖くなくなった、というほうが正確かもしれない。


年齢差が問題になったことは、ほとんどない。音楽の趣味がずれていることより、週末の使い方のほうがよっぽどぶつかった。6歳の差より、「今すぐ言う人」と「根回しする人」の差のほうが、実は毎日に効いてくる。


プロフィールを見て指が止まったあの夜の自分に、言えることがあるとしたら、ひとつだけ。


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*年齢差より、笑い方が合うかどうかのほうが、ずっと大事だった。*

よくある質問

何歳差の相手だったのですか?
6歳上の相手でした。プロフィールに「6歳上」とあって一瞬指が止まりかけたものの、自己紹介文の面白さが気になって結局メッセージを送ったとのことです。
価値観の違いはどんな場面で感じましたか?
最初のデートで音楽の話になり、彼の口からEastern YouthやThe Birthdayといった名前が出てきたものの、筆者にはぴんとこなかったとのことです。ジェネレーションギャップを感じる場面が随所にあったようです。
違いと折り合いをつけた、とはどういう意味ですか?
違いがたくさんあったと認めながら、それでもこの人のことを面白いと思い続けていると書かれています。価値観が一致することよりも、相手を面白いと感じ続けられることが大事だという気づきが描かれています。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

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