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宗教の違いを、付き合う前に聞くべきだった話

Pairsで出会った彼と付き合って3ヶ月。日曜の朝、彼が毎週どこかに出かけていることに気づいた。聞いてみたら教会だった。宗教のことを付き合う前に聞くべきだったと、今は思う。

29歳・女性の体験
·橘みあ·6分で読める

日曜の朝、彼はいつも早起きだった。


Pairsで出会って、付き合い始めて3ヶ月。毎週日曜の午前中だけ、彼は「ちょっと用事がある」と言って出かけた。最初は気にしなかった。趣味のフットサルか何かだと思っていた。


下北沢の彼の部屋に泊まった日曜の朝、8時に起きた彼がシャツに着替え始めた。「今日も用事?」と聞いたら、一瞬だけ手が止まった。


「うん、教会に行ってくる」


背筋がすっと冷えた。


「教会」という言葉の重さ


教会。その一言が、部屋の空気を変えた。


私はどの宗教にも属していない。初詣には行くし、クリスマスも祝う。典型的な日本人だと思う。だから「教会に通っている人」と付き合っている、という事実が、急にリアルになった。


「それって、毎週?」

「うん、子どもの頃からだから」


彼はプロテスタントのクリスチャンだった。両親も信者で、生まれたときから教会に通っていた。Pairsのプロフィールには書いていなかった。メッセージのやりとりでも、デートでも、一度も話題に出なかった。


責めたいわけじゃなかった。でも喉の奥に、何かが詰まった感覚があった。3ヶ月間、知らなかった。知らされなかった。そのことが、信頼の土台を小さく揺らした。


「なんで言ってくれなかったの」


彼は少し黙ってから、「言うタイミングがわからなかった」と言った。「引かれるかもしれないと思って」。視線が少しだけ下に落ちた。


その気持ちはわかった。わかったけど、みぞおちのあたりがずっと重かった。


宗教の話を「いつ」切り出すか


後から考えると、付き合う前に聞くべきだった。でもどうやって聞けばよかったのか。


「宗教ありますか?」なんて、初デートで聞ける空気じゃない。代官山のカフェでラテを飲みながら、そんな質問をしたら空気が凍る。でも付き合ってからだと、もう遅い。感情が入った後に知ると、「受け入れるか、別れるか」の二択になってしまう。


友達に相談したら、「3回目のデートくらいで、さらっと聞くのがいい」と言われた。「休日って何してるの?」という質問の延長で、「日曜の午前は?」と聞けば自然に出てくる、と。なるほど、と思った。でもその時の私には遅すぎたアドバイスだった。


Pairsのプロフィールには宗教欄がない。あったとしても、書く人は少ないだろう。日本では宗教の話はタブーに近い。だからこそ、自分から聞く必要がある。待っていても出てこない話題だ。


彼の信仰と、私たちの日常のずれ


教会のことを知ってから、小さなずれに気づくようになった。


日曜のブランチデートができない。彼は午前中教会にいるから、会えるのは午後から。クリスマスは教会の礼拝が最優先で、イルミネーションを見に行く約束が毎年難しくなる。結婚式は教会でやりたいと言われた。私は神前式がいいと漠然と思っていた。


食事の前に小さく手を合わせる彼の仕草に、最初は微笑ましさを感じた。でも私の両親と食事したとき、父が「あれは何だ」と後で聞いてきた。説明するのが、少し重かった。母は何も言わなかったけど、箸を持つ手が一瞬止まったのを見逃さなかった。


彼自身は穏やかな人で、私に信仰を押しつけることはなかった。「教会に来てほしい」とも一度も言わなかった。でも、結婚したら子どもにも信仰を教えたいと思っている、とある夜ぽつりと言った。新宿の居酒屋で、二人ともビールを飲みながら。その言葉が、胃の底にずしんと落ちた。


彼の母親から「今度、教会の行事に来ませんか」と誘われたこともあった。彼は「無理しなくていいよ」と言ってくれたけど、断る理由を探す自分にも疲れた。渋谷のカフェで友達に愚痴を言ったら、「それ、結婚したらもっと増えるよ」と言われて、手のひらが冷たくなった。


ある日曜の午後、教会から帰ってきた彼が「今日のお話、良かったよ」と嬉しそうに言った。私は「そうなんだ」と返したけど、その世界に入れない自分を感じた。彼の人生の一部に、私は存在できない。それが少しずつ、確実に、二人の間に薄い膜を作っていた。


別れたわけじゃない。でも——


結局、私たちは別れていない。今も付き合っている。


彼の信仰を否定する気はない。でも、将来の話になるたびに、喉の奥がきゅっと詰まる。子どもの教育、親族の反応、日常のリズム。「好き」だけでは解決できない問題が、少しずつ見えてきた。


吉祥寺の井の頭公園を二人で歩いたとき、彼が「俺のこと、面倒だと思ってない?」と聞いてきた。心臓がドクンと鳴った。面倒だと思っていない。でも不安はある。それを正直に言えなかった自分が、一番面倒だった。


アプリで出会う人の信仰を事前に知る方法は、ほぼない。だからこそ、自分から聞く勇気がいる。「日曜の午前、何してる?」。その一言を、私は3ヶ月遅く言った。


知らないまま好きになる方が、ずっと怖い。

よくある質問

マッチングアプリで相手の宗教を確認するタイミングはいつがいいですか?
3回目のデートくらいで「休日って普段何してる?」と聞くのが自然です。日曜の過ごし方を聞けば、教会や寺院に通っている人なら話題に出てきやすくなります。付き合った後に知ると感情が入っている分、冷静な判断が難しくなるので、早い段階で確認する方が双方にとって誠実です。
付き合ってから相手の信仰を知った場合、どう向き合えばいいですか?
まず相手の信仰を否定しないことが前提です。その上で、結婚式の形式、子どもの教育方針、日曜の過ごし方など具体的な生活面ですり合わせが必要な項目を一つずつ話し合うといいです。感情論ではなく、生活レベルの擦り合わせとして捉えると、建設的な会話になりやすいと感じました。
宗教の違いがある恋愛は、うまくいかないものですか?
一概にそうとは言えません。私たちは今も付き合っています。ただし「好き」だけでは乗り越えられない場面が出てきます。日曜の過ごし方、親族との関係、将来の子育て方針など、信仰に関わる具体的な生活のずれをどこまで受け入れられるか、自分の中で線引きを持っておくことが必要だと感じています。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

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