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恋愛体験談エッセイPairs

アプリをやめた後、半年して戻った。前より楽だった理由

疲れてPairsをアンインストールした。半年間、アプリなしで過ごした。戻ったら不思議と肩の力が抜けていた。何が変わったのか。変わったのはアプリじゃなくて、私の方だった。

26歳・女性の体験
·橘みあ·7分で読める

Pairsをアンインストールしたのは、去年の9月だった。


理由は単純だった。疲れた。1年間使って、会った人数は20人以上。そのうち2回目のデートに進んだのは5人。付き合うまでいった人は、ゼロ。毎週末のデートが義務になって、日曜の夜にメッセージを返すのが苦痛になって、「いいね」の通知音が聞こえるたびにみぞおちが重くなった。


中目黒の自分の部屋で、スマホの画面を長押しして、アプリを削除した。「本当に削除しますか?」の確認画面に「はい」を押した瞬間、肩が3センチくらい下がった気がした。


アプリがない生活は、最初だけ不安だった


やめた翌日、無意識にスマホのアプリ一覧を開いた。Pairsがあった場所が空白になっている。その空白を見て、胃のあたりがきゅっとした。「これでいいのかな」という不安。25歳で独身、アプリをやめたら出会いがゼロになるんじゃないか。


でも1週間経ったら、不安は消えた。代わりに「何もしなくていい」という解放感が来た。


日曜の朝にメッセージを返さなくていい。週末のデートの予定を立てなくていい。プロフィール写真を気にしなくていい。それだけで、週末の時間が倍に増えた感覚があった。


10月、一人で吉祥寺のハモニカ横丁を歩いた。誰にも会う予定がない土曜の昼間。焼き鳥屋の前で足が止まって、一人で入った。生ビールを頼んで、焼き鳥を3本食べて、本を読んだ。隣の席のおじさんと少し話した。それだけの午後が、ここ1年で一番楽しかった。


11月、高校の友達と久しぶりに飲んだ。高円寺の居酒屋で3時間。恋愛の話は一切しなかった。仕事の愚痴と、来年の旅行の計画と、最近見たNetflixの話。アプリを使っていた頃は、友達と会っても「最近いい人いる?」が定番の話題だった。それがなくなっただけで、会話が軽くなった。


半年間で変わったのは、私の方だった


12月、1月、2月。季節が変わって、半年が経った。


何が変わったかを振り返ると、アプリを使っていた頃の自分が見える。


「いい人がいるはず」という期待を、毎日抱えていた。スマホを開くたびに「今日こそ」と思って、開くたびに「今日もダメだった」と感じていた。その繰り返しが、小さく自信を削っていた。自分では気づかないうちに、「選ばれない自分」という認知が積み重なっていた。


半年間アプリがない生活をして、その認知がリセットされた。誰にも選ばれなくても、一人で焼き鳥を食べて楽しめる自分がいる。友達と馬鹿話をして笑える自分がいる。休日に誰とも会わずに過ごしても、それはそれでいい。


「一人でも大丈夫」という感覚が、半年かけて戻ってきた。アプリを使う前は持っていたはずの、その感覚。


3月、アプリを再インストールした


3月の頭、桜がまだ咲く前に、Pairsを再インストールした。


理由は「寂しいから」ではなかった。代官山のカフェで一人で本を読んでいたとき、ふと「この景色を誰かと共有したいな」と思った。寂しさではなく、余裕から生まれた気持ちだった。


アプリを開いた瞬間、前とは感覚が違った。


「いいね」の数を気にしなかった。以前は毎日チェックして、増減に一喜一憂していた。今は週に1回見れば十分だった。マッチしなくても、みぞおちが重くならない。


メッセージの返信も、無理しなくなった。以前は「返さないと失礼」「遅いと印象が悪い」と焦っていた。今は「返したいときに返す」でいいと思えた。夜22時に来たメッセージに翌日の昼に返す。それで離れる人は、たぶん合わない。


プロフィール文も書き直した。以前は「こう書けばマッチ率が上がる」と攻略法を気にしていた。今回は「自分が言いたいこと」を書いた。「半年間アプリをやめてました。戻ってきました」と正直に書いた。


再開後の初デートは、不思議なくらい楽だった


再開して2週間後、マッチした人と三軒茶屋で会った。


以前のデートと決定的に違ったのは、「この人に気に入られなきゃ」という力みがなかったことだ。ただ話を聞いて、自分の話もして、コーヒーを飲んで帰った。合えば続くし、合わなければそれでいい。


相手の女性に「なんかリラックスしてますね」と言われた。以前の自分が聞いたらびっくりする言葉だ。1年前の初デートでは、手のひらが汗だらけで、声がうわずって、話題が途切れるたびに胃が痛くなっていた。


「半年、アプリやめてたんです」と言ったら、「え、私もやめてた時期あります」と返ってきた。そこから「アプリ疲れ」の話で30分盛り上がった。お互い一度離れた者同士の、共感があった。


休むことは、逃げじゃなかった


半年間の空白は、無駄じゃなかった。


アプリを使い続けることが正しいわけでも、やめ続けることが正しいわけでもない。疲れたら離れて、戻りたくなったら戻る。それでいい。


恵比寿の夜道を歩きながら考えた。アプリを再開して楽になったのは、アプリが変わったからじゃない。私が変わったからだ。「一人でも大丈夫」と思える自分でアプリを開くのと、「誰かがいないと不安」でアプリを開くのでは、同じ画面でも見える景色がまったく違う。


休むことは逃げじゃない。次に跳ぶための助走だ。

よくある質問

マッチングアプリに疲れたら、すぐにやめた方がいいですか?
通知音を聞くだけで気が重くなる、週末のデートが義務に感じる、メッセージの返信が苦痛——こういった症状があるなら、一度離れることをおすすめします。私はアンインストールした瞬間に肩の力が抜けました。「もったいない」と思う気持ちはわかりますが、疲れた状態で続けても良い出会いにはつながりにくいです。
アプリを休んでいる間、出会いがゼロになるのが不安です。どうすればいいですか?
最初の1週間は私も不安でした。でもアプリを使っていた1年間で付き合えた人がゼロだったことを思い出したら、「ゼロが続くだけ」と気づきました。休んでいる間は友達との時間や一人の時間を楽しむことに集中した方が、結果的に自分のコンディションが上がって再開後の出会いの質が良くなります。
休止後にアプリを再開したら、本当に楽になるものですか?
私の場合は確実に楽になりました。理由は半年間で「一人でも大丈夫」という感覚を取り戻せたからです。以前は「選ばれなきゃ」という力みがあって、それがデートを苦しくしていました。休止期間で自分を立て直したことで、再開後は自然体でいられるようになりました。ただし個人差はあるので、まずは短期間の休止から試してみてください。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

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