シンママで恋愛を始めるとき、一番怖かったのは子どもの反応だった
7歳の息子がいる。34歳。恋愛を再開するとき、最初に浮かんだのは「この人いいかも」じゃなくて「息子になんて言おう」だった。マリッシュで出会った人と、子どもの存在を伝えるまでの記録。
息子が寝たあとのリビングで、マリッシュを開いた。
テレビはEテレの録画がついたまま。ソファの上にはポケモンのぬいぐるみが3つ転がっていて、テーブルには飲みかけのカルピスのコップ。完全に「お母さんの部屋」だった。そのど真ん中で、私はマッチングアプリのプロフィールを作っていた。
自分の写真を選ぶ段階で、もう手が止まった。最近の写真は全部、息子と一緒に写っている。ディズニーシーで、公園で、回転寿司で。私だけの写真が1枚もなかった。3年間、私は「ひとりの女性」として写真を撮っていなかった。
「子どもがいること」を書くか、書かないか
マリッシュはシングルマザーに理解のある人が多いと聞いていた。プロフィールに「シンママ」と書くかどうか、迷った。
書けば、最初からわかった上でマッチングしてくれる。でも、書いた瞬間に「お母さん」として見られる。恋愛相手としてじゃなく、「理解ある自分」を見せたい男性が寄ってくるかもしれない。
書かなければ、普通に出会える。でも、あとから「実は子どもがいて」と言うのは、嘘をついているみたいで喉の奥がつかえた。
結局、書いた。「7歳の男の子がいます」と、一行だけ。それを打ったとき、指先が冷たかった。覚悟、というには大げさだけど、何かを差し出した感覚があった。
マッチングは思ったより来た。3日で8人。そのうち2人はプロフィールに「お子さんがいる方も歓迎です」と書いてあった。優しさは伝わった。でも、「歓迎」って何だろう、とも思った。私は動物園じゃない。
最初にやりとりが続いた人
最初にちゃんと会話が続いたのは、38歳の会社員の人だった。プロフィールには「バツイチ、子どもなし」と書いてあった。最初のメッセージは「お子さん、ポケモン好きですか?自分も好きなんです」だった。
子どものことに触れてきたのに、重くなかった。「ポケモン好きですか」って、普通に聞いてきた。私は「めちゃくちゃ好きです、リザードンが最推しらしいです」と返した。「リザードン派か、センスいいですね」と返ってきた。
この人は「お子さんがいる方も歓迎です」とは書いていなかった。ただ、ポケモンの話をしてきた。その自然さに、胸のあたりがふわっとした。
2週間やりとりして、三軒茶屋のカフェで会った。土曜日の14時。息子は実家に預けた。
彼は写真より少し痩せていて、声が想像より低かった。カフェラテを頼んで、最初は仕事の話をした。お互い営業職で、月末のプレッシャーの話で盛り上がった。普通のデートだった。30分くらいは。
「今日、お子さんは?」と聞かれたとき
30分を過ぎたあたりで、彼が言った。「今日、お子さんはどうしてるんですか?」
心臓がドクンと鳴った。わかっていた。いつか聞かれると思っていた。でも、実際に口にされると、胃のあたりがきゅっと縮んだ。
「実家に預けてます」と答えた。声が少しうわずった気がする。
「そうなんですね。大変ですよね、日程とか合わせるの」と彼は言った。同情でも、気遣いでもない、フラットなトーンだった。「日程を合わせるのが大変」という、ただの事実確認。
「そうなんです、だから平日夜とかは基本無理で」と私が言ったら、「じゃあ土日の昼間がいいですね、次も」と返ってきた。
「次も」。
その2文字で、みぞおちの力が抜けた。次がある。この人は、次を考えてくれている。子どもがいることを聞いた上で。
息子に「ママの友達」と伝えた日
3回目のデートのあと、息子に聞かれた。「ママ、今日どこ行ってたの?」
「お友達と会ってたよ」と答えた。嘘じゃない。でも、全部でもない。息子は「ふーん」と言って、またSwitchに戻った。7歳の「ふーん」は、興味がないのか、それ以上聞いちゃいけないと感じているのか、わからない。
5回目のデートのあと、彼が言った。「いつか、息子さんにも会えたらいいな」。
嬉しかった。嬉しかったのに、喉の奥がつまった。目の奥が熱くなった。この人に息子を会わせたら、息子の世界が変わる。「ママの友達」が「ママの彼氏」になる。それが息子にとっていいことなのか、私にはわからなかった。
帰り道、世田谷線の窓に映る自分の顔を見た。泣いてはいなかった。でも、笑ってもいなかった。
答えは出ていない
彼とは今も会っている。息子にはまだ会わせていない。「ママの友達」のままにしている。
正直に言う。怖い。息子が「その人、嫌い」と言ったらどうしよう。息子が「パパの代わり?」と聞いてきたらどうしよう。息子が何も言わなかったら、それはそれでどうしよう。
シングルマザーの恋愛で一番難しいのは、出会いでも、時間のやりくりでもなかった。子どもの気持ちと自分の気持ちの、どっちを先に考えるか。その順番が、永遠に決まらないことだった。
三軒茶屋の夜道を歩きながら、スマホを開いた。彼からLINEが来ていた。「今日も楽しかった。息子くんのリザードン、今度見せてね」。
背筋がぞわっとした。嫌な意味じゃなく、怖さと嬉しさが同時に来た、あの感覚。
恋愛を再開することより、「お母さん」のまま誰かを好きになることの方が、ずっと勇気がいる。
よくある質問
シングルマザーでもマッチングアプリで出会いはあるんですか?↓
子どもがいることはプロフィールに書いた方がいいですか?↓
子どもに交際相手を紹介するタイミングはいつがいいですか?↓
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。