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「違うな」と思ったとき、迷わず断れるようになった夜の話

「違うな」と思っていても断れなくて、気持ちのない連絡を返し続けていた時期がある。傷つけたくない、嫌われたくない——その気持ちが相手への不誠実になっていた。マッチングアプリで学んだ、相手を傷つけにくい断り方の実践。

27歳・女性の体験
·橘みあ·4分で読める

「違うな」と思ったのに、断れなかった時期がある。


会うたびに「また会いたい」という気持ちが出てこなかった。悪い人じゃない。会話は成立する。でも何かが足りなかった。「このまま続けても…」と思いながら、連絡が来たら返していた。


傷つけたくない。嫌われたくない。「ひどい人」と思われたくない。そういう気持ちが重なって、はっきり言えなかった。


そのまま会い続けて、関係が自然消滅するのを待っていた。返信を少し遅くしてみた。「忙しい」を言い訳にした。だんだん間隔が空いて、最後はどちらからも連絡しなくなった。「うまく終わった」と思っていた。でも、そうじゃなかった。


自然消滅の何が問題か


ある時期、別の出会いをきっかけに考えた。


自分が「曖昧に終わらせられた」側になったとき、どう感じるか。LINEの返信が少しずつ遅くなって、会う頻度が減って、気づいたら終わっていた。「何がダメだったのか」がわからないまま終わる。


その終わり方は、直接言われるより長く引きずった。「なんで」が答えられないまま残るから。


中目黒で一人でコーヒーを飲みながら、「私がやっていたのはこれだったんだ」と思った。3人分の自然消滅を、私は相手に経験させていた。その人たちが同じように「なんで」と思っていたかもしれないと気づいたとき、胸が痛くなった。


私が「自然消滅を待つ」をやっていたのは、相手を思ってではなくて、自分が傷つきたくないためだった。断られた怒りや悲しみを向けられたくなかった。ただそれだけだった。


正直に断ることを覚えた


今はこう伝えるようにしている。


「素敵な方だと思いますが、恋愛的な気持ちにはなれそうにないと感じています。申し訳ないですが、これ以上お会いするのは難しいと思います」


シンプルに、はっきり。傷つけようとしているわけじゃなく、正直に伝えている。理由をくわしく説明しない。「合わなかった」というのは言語化しにくいことが多いし、説明すればするほど傷つける場合もある。


「そう伝えてくれてよかったです」と言ってくれた人が何人かいた。「わからないまま終わるより、ちゃんと言ってもらえた方がよかった」「ずっと待っていたから、すっきりした」と。


断られても、「ちゃんと伝えてくれた人」という印象は残る。曖昧に消えていく人より、正直に言える人の方が、記憶に残る印象がいい。


断ることへの罪悪感の正体


断ることへの罪悪感は、「相手に失礼」と思っていたからだった。でも実際は逆で、ちゃんと断ることの方が誠実だった。


相手を否定しているんじゃない。相性が合わないという事実を伝えているだけ。その人の価値を否定しているわけじゃない。


断るときに大切なことをまとめると、はっきり言うこと(曖昧にしない)、相手を否定しないこと(「違う」のは相性であって、相手の価値ではない)、早めに言うこと(引き延ばすほど、相手の期待値が上がって傷が深くなる)。


断ることは、勇気がいる。でもそれが相手への誠実さだと思っている。


「ひどい人」と思われたくなくて逃げていたとき、一番ひどかったのは自分の行動だったかもしれない。


池袋の居酒屋で、曖昧な返事をした後悔


「また行こう」と言われて、「うん、また」と返した。池袋駅前の居酒屋を出た後、帰りの電車でずっと胃が重かった。「また」なんて思っていないのに、その場の空気を壊したくなくて曖昧に笑った。


3日後、デートの誘いが来た。既読にして、そのまま放置した。1週間後にもう一通。それも放置した。相手はきっと、何がダメだったのかわからないまま消えていく。その想像が、胸を刺した。


断り方のテンプレートより、タイミングが先


「ありがとう、でも恋愛としては考えられなくて」。この一文を送るのに必要なのは、勇気じゃなくてタイミングだった。2回目のデートの帰り際、直接会っているうちに伝える。LINEで後から送ると、文面を何時間も考えてしまう。


代官山のカフェで友人に相談したら、「断られた方は最初はショックだけど、曖昧にされるよりマシ」と言っていた。手のひらが汗ばむ。声が震える。でも、はっきり伝えた後の帰り道は、フェードアウトした日より軽かった。


断れるようになって、自分の軸が見えた


断る経験を重ねるうちに、「何が違うと感じるのか」が言語化できるようになった。恵比寿のカフェで友人に話したら、「それ、自分の好みがわかってきたってことだよ」と言われた。心臓がドクンとした。確かにそうだ。好きな人の条件じゃなく、「この感覚は違う」というセンサーが育ってきた。新宿の帰り道、断ることへの罪悪感が少し薄くなっていることに気づいた。手のひらの汗は相変わらず。でも、自分の軸を持つことへの安心感が、それを上回っていた。


断ることは拒絶じゃないのに、断れなかった。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

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