ユーブライドで出会った夜から8ヶ月。結婚が決まって後悔しなかった話
ユーブライドを登録したのは34歳の誕生日の翌週。「8ヶ月で結婚が決まる」なんて思っていなかった。独身証明書を申請した同じ窓口で、今度は婚姻届を出した日のこと。34歳の誕生日、ひとりでセブンのシュークリームを食べた。
正直に言う。34歳の誕生日をひとりで過ごしたのに、8ヶ月で結婚した。
翌週、ユーブライドに登録した。友達に「もう普通のアプリでいいか、と思うのをやめようと思って」と言ったら、表参道のタリーズで向かいに座っていた彼女が、ストローから口を離して言った。
「それ遅い」
悔しかった。でも本当のことだった。
独身証明書——入口にお金と手間をかける意味
独身証明書を取りに行った日のことは、今でも覚えている。横浜の区役所の窓口で「独身証明書の申請をしたいんですが」と言ったとき、声がかすれた。窓口の女性は普通の顔で書類を出してくれた。恥ずかしいのは自分だけだった。耳が熱くて、ボールペンを握る指先が汗ばんでいた。
写真は銀座のスタジオで撮った。メイクもヘアセットもお任せで、1万2000円。入口にお金と手間をかけることで、「ちゃんとやる」という気持ちになれた。鏡に映った自分の顔が、少しだけ覚悟を持った顔に見えた。
最初のマッチング——登録4日後
最初のマッチングは、登録から4日後だった。
メッセージが来て、3往復で「会いましょう」になった。早い。丸の内のスタバで会って、1時間半。カフェラテの泡を舐めながら話していたら、彼が「また来週会えますか」と聞いてきた。断る理由がなかった。
2回目は渋谷のビストロ。赤ワインを頼んだら、彼も同じものを頼んだ。「合わせたわけじゃないですよ」と笑っていたけど、グラスが同じタイミングで空になるのが、なんだか可笑しかった。
3回目は中目黒の川沿いを歩いた。3月の終わり、桜が満開で、花びらが肩に落ちてきた。彼がそれを指先で払ってくれた。その指が襟元に触れた瞬間、心臓がどくんと鳴った。止まりそうなくらい。
4回目に「付き合いたいです」と言われた。
その言葉を聞いたとき、胸の奥がゆっくりと温かくなった。「付き合う」を判断する材料がちゃんとあった。3回で会った場所の話、仕事の話、家族の話、これからの話。ユーブライドの会員は最初から結婚を視野に入れているから、話の速度が違う。
5ヶ月目——彼の実家のカレーの匂い
5ヶ月目に彼の実家に連れて行ってもらった。埼玉の郊外。玄関を開けた瞬間、カレーの匂いがした。お母さんが「カレーでいい?」と台所から顔を出した。その笑顔が彼にそっくりで、泣きそうになった。手が震えたのを、テーブルの下で握りしめて隠した。
6ヶ月目に私の両親に会ってもらった。父は無口だったけど、帰り際に「真面目そうな人だな」と小さく言った。その言葉だけで十分だった。
7ヶ月目、二人で横浜の山下公園を歩いているとき、海を見ながら彼が「入籍しようか」と言った。プロポーズというほど大げさじゃなくて、会話の延長みたいに自然だった。潮の匂いと、彼のユニクロのダウンジャケットの匂いが混ざっていた。うなずくことしかできなかった。声を出したら泣いてしまいそうだったから。
8ヶ月目——同じ窓口で、違う書類を出した
8ヶ月目に区役所に婚姻届を持っていった。
あのとき独身証明書を申請した同じ窓口で、今度は婚姻届を出した。窓口の人は普通の顔をしていた。今度は耳が熱くならなかった。隣に彼がいたから。彼の手が、私の手の甲に軽く触れていた。
ユーブライドを始めたとき、8ヶ月で終わるとは思っていなかった。でも終わった。独身証明書を取りに行ったあの恥ずかしい午後から、たった8ヶ月。
34歳のセブンのシュークリームは、ひとりで食べた。35歳の誕生日は、彼が買ってきたハーゲンダッツを二人で食べた。
正直にやると、ちゃんと終わる。でも「ちゃんと終わる」ことが、こんなにも温かいとは知らなかった。
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。