初デートで夜ご飯を選ぶべきかどうか
「ディナーの方が誠実に見える」と思っていた。新宿のイタリアン、代々木上原のビストロ、銀座の和食——夜の初デートで3回連続うまくいかなかった。マッチングアプリで知り合った人との初対面に、なぜ夜ご飯が向かないのか。
「初デートはディナーの方が誠実に見える」と思っていた。
昼のカフェより夜のレストランの方が、「ちゃんとしている」という印象を与えられると信じていた。実際、最初の数回はディナーを選んだ。場所は新宿のイタリアン、代々木上原のビストロ、銀座の和食。どれもそれなりの店で、どれも「うまくいかなかった」。
代々木上原のビストロは、雰囲気が良くてコースが3,500円だった。予約して、席について、ワインリストを渡されたとき、正直どれを頼めばいいかわからなかった。「何がお好きですか」と聞いたら「なんでも大丈夫です」と返ってきて、どちらも笑顔で緊張していた。コース料理が終わったとき、帰り時間が曖昧で「もう一軒どうですか」の答えを探していた。お会計の場面で15秒の沈黙があった。たった15秒が、2時間の後味を変えた。
夜の初デートが難しい3つの理由
ディナーの「ちゃんとした空気」は、初対面の緊張を倍増させる。ドレスコードがあるわけではなくても、「この店にふさわしい自分」を演じようとする意識が働く。それが自然なコミュニケーションを邪魔する。「本当の自分」より「ちゃんとした自分」を見せようとして、結果として会話が表面的になる。
終わり方が読みにくいのも問題だった。ディナーが終わった後の流れが、昼より読みにくい。「もう一軒行きますか」という流れになると、長丁場になりすぎる。でも「じゃあここで」と言いにくい空気もある。お互いに帰りにくくなる。
お酒が入りやすい環境というのも、初対面では難しい。「ワインはいかがですか」という流れになりやすく、飲めない人への対応が初対面では難しい。飲みすぎると翌朝の記憶があやふやになる。銀座の和食のとき、日本酒を3合飲んで翌朝彼女の印象がぼんやりしていた。
お金の問題もある。初対面で割り勘か奢るかの判断をしなければいけない。ランチより金額が大きい分、どちらも気を使う。気を使った分だけ疲れる。
夜デートが機能する条件
夜の方が良い場面がある。
「カフェで会って、その後夜ご飯に移行する」という流れなら、夜も機能する。夜ご飯が「1次会」ではなく「2次会」の位置づけになるとき。最初のカフェで雰囲気が良ければ「せっかくなのでご飯も」という流れが自然に生まれて、その時点で両者の緊張はかなり解けている。
2回目以降のデートであれば、夜ご飯は全然ありだった。お互いの話し方を知っているから、沈黙を怖がらなくていい。お酒を飲む飲まないの確認も、前もってできている。そのうえで「ちゃんとした夜の店」を選ぶと、特別感が出る。
個人的な結論
「昼間のカフェまたはランチ」が一番うまくいく確率が高い。
理由は「逃げ道がある」から。「今日は夕方から用事があるので」と言えば2時間で切り上げることができる。うまくいけば「もう少し話しましょうか」と延長できる。ランチなら「ちゃんとした場所」の演出もできる。
最初は場所や時間帯で「印象」を作ろうとしていた。でも相手が確認したいのは、「この人と2時間いられるか」だけだった。
その答えを出すのに、夜景もディナーコースも要らなかった。必要だったのは、話せる空間と、向かい合って座れる席だけだった。
夜デートで「帰れなくなる空気」にどう対処するか
初デートで夜を選んだとき、一番困ったのは「帰りの空気」だった。
銀座の和食の帰り道、日比谷駅まで一緒に歩いた。終電まであと40分。「もう一軒行きますか?」と聞かれて、「行きたい」と「帰りたい」の間で揺れた。喉の奥に言葉が詰まって、結局「うーん、もう少しだけ」と答えた。
2軒目のバーで1時間。帰りの電車の中で、「あれは本当に行きたかったのか、それとも断れなかっただけなのか」がわからなくなった。胸のあたりがもやもやしていた。
初デートのディナーは「終わり方の設計」が難しい。ランチなら「午後から用事があって」で自然に切り上げられる。でも夜は「この後どうしますか」という問いが、暗黙のうちに発生する。
代々木上原のビストロでの失敗以降、夜のデートを選ぶときは「終電の2時間前に始める」というルールを作った。21時集合、23時解散。最初から「今日は軽く」と伝えておく。相手も「短時間でいい」とわかっていた方が、逆にリラックスできた。
「昼のカフェ」がうまくいく本当の理由
恵比寿のカフェで昼の初デートをしたとき、窓から入る自然光の中で相手の顔がよく見えた。肌の質感、瞳の色、話しているときの口元の動き。夜のレストランでは照明が暗くて見えなかったものが、全部見えた。
「初デートは夜がいい」と思っていた理由を考え直したら、「暗い方がごまかせるから」だった。自分の緊張も、沈黙の気まずさも、暗さが吸収してくれると無意識に期待していた。
でも昼の明るさの中で話せる関係の方が、夜の暗さの中だけで成立する関係より、長く続いた。三軒茶屋の喫茶店で初めて会った人とは1年続いた。新宿のバーで初めて会った人とは2週間で終わった。
明るい場所で向き合える人と、暗い場所でしか近づけない人。選ぶなら前者だ。
昼に会えない相手は、夜に会っても続かない。
初デートの時間帯を「設計」するという発想
結局、初デートで一番うまくいったのは「14時スタート、17時解散」のパターンだった。
恵比寿のカフェに14時集合。3時間あれば十分に話せるし、「夕方から用事があるので」という切り上げ口も自然だ。うまくいったら「もう少し歩きますか?」で代官山まで散歩。自然に距離が延びる。うまくいかなかったら「今日はありがとうございました」で17時に終わり。
「何時に始めるか」で、デート全体の空気が変わる。夜のスタートは「終わりが見えない」から、お互いに緊張が長引く。昼のスタートは「終わりが決まっている」から、リラックスして話せる。
三軒茶屋の友達も同じことを言っていた。「昼に会って、楽しかったら夜に延長。最初から夜を選ぶより、このパターンの方がうまくいく率が高い」と。
昼に会えない相手は、夜に会っても続かない。
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。