初デートで沈黙が怖かった私が学んだこと
話題を100個用意していったのに、席についた瞬間に頭が真っ白になった。その失敗から、本当に使える会話の作り方がわかった。
カラオケボックスの個室みたいに、沈黙が密封されていた。
恵比寿のビストロ。予約したのは私で、ちゃんと下調べもした。3,000円台でコースが頼めて、照明が暗すぎず明るすぎない店。マッチングアプリ「Pairs」で話しかけてきた彼、佐藤くんは待ち合わせ場所に3分早く来ていた。第一印象は悪くなかった。写真より少し背が高くて、紺色のシャツが清潔感があった。
ところが席に着いた瞬間、頭の中に用意していた「会話ネタ100選」が全部蒸発した。
「あ、これ雰囲気いいですね」と彼が言って、「そうですね、よく来るんですよ」と私が答えた。嘘だった。初めて来た店だった。その嘘がバレないか心配になって、次の言葉が出てこなかった。メニューを眺める時間が長くなって、ドリンクが来るまでの5分が、体感で30分くらいあった。
事前準備が裏目に出る理由
失敗してからわかったことがある。会話ネタを「リスト」として準備すると、かえって使えない。頭の中に「次はあの話題を出す」という意識が入ると、目の前の人の言葉を聞けなくなる。聞いてるようで、次の自分のセリフを考えている。それが相手にも伝わる。
初デートの沈黙は、話すことがないから起きるんじゃない。「正しいことを言わないといけない」という緊張から起きる。
沈黙を「怖くなくする」3つのシフト
1. 目の前のものを話題にする
「会話ネタ」は要らない。店の中を見れば話題は無限にある。「このパスタの名前、読めないですよね」「あの席の人、何頼んでるんだろう」「この音楽、知ってます?」。用意した話題より、今この瞬間の共有の方が距離が縮まる。
2. 質問より「自分の感想」を先に言う
「好きな食べ物は何ですか?」という質問より、「私、カルボナーラだけは絶対失敗する」と言う方が、返しやすい。相手に「答える義務」を課す質問より、「共感か反論か」を選べる発言の方が、会話のテンポが生まれる。
3. 沈黙を「埋めない」と決める
これが一番難しくて、一番効いた。5秒の沈黙が怖くて、変な話題を無理やり出すから会話が迷子になる。沈黙のまま笑って、「何話しましょうか」と言える人は、意外と好印象になる。「焦ってない人」に見えるから。
実際に使えた話題のパターン
「アプリ、いつ始めたんですか?」は鉄板。お互いに始めた時期や経緯があって、それだけで10分は話せる。「最初のデートでどんな話したか」という共通の文脈でもあるから、妙な連帯感が生まれる。
「仕事でいちばん最近ムカついたこと」も意外と盛り上がる。愚痴は親密感を作る。ただし愚痴りすぎると印象が悪くなるので、相手に「それはきつい」と言ってもらったら切り上げる。
あの夜の佐藤くんとは結局2回目がなかった。でもその経験がなければ、その後に続いた7人との初デートは全部うまくいかなかったと思う。
沈黙は、何も起きていない時間じゃない。何かが始まる直前の、息を吸う間だ。
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。
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