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テキストで好きになった人が実際に会ったら全然違った夜。後悔の話

Pairsでマッチングして2週間、毎日LINEしていた。「映画と珈琲が好き」な人の最初のメッセージのセンスが好きだった。でも実際に会ったら、まったく話せなかった。テキストで好きになった人と会ってみて、乖離を学んだ話。

27歳・女性の体験
·橘みあ·6分で読める

正直に言う。2週間毎日LINEしたのに、会ったら全然違った。


2週間、毎日LINEしていた


Pairsでマッチングしたのは、梅雨が明けたばかりの7月のことだった。


プロフィールには「映画と珈琲が好き」とだけ書いてあって、写真は3枚。どれも少し遠めで、顔はよく見えなかった。でも最初のメッセージのセンスが、なんか好きだった。


「趣味欄の『散歩』って、どのくらいのレベルですか。近所のコンビニまでとか、高尾山とか」


思わず笑った。そういう聞き方する人、はじめてかもしれない。


そこから2週間、毎日LINEが続いた。朝起きたら彼女からメッセージが来ていて、夜寝る前にまたやりとりして。好きな映画の話、仕事でむかついた話、週末どこ行ったとか、実家の猫がかわいいとか。話題が尽きなかった。テキストで笑ったのが、それまでの人生で一番多い2週間だったかもしれない。


「絶対いい人だ」


27歳の私が、画面を見ながら確信していた。



新宿、沈黙、コーヒー


待ち合わせは新宿の東口、日曜の午後2時。


遠くから歩いてくる彼女を見つけた瞬間、変な緊張が走った。背が思ったより高くて、歩き方がどこかぎこちない。向こうも私を見つけたらしく、小さく手を振った。笑顔だったけど、表情が少し固かった。


「はじめまして」

「はじめまして」


そのあとの2秒間が、すでに長かった。


カフェに入って、コーヒーを注文して、窓際の席に向かい合って座った。そこから——沈黙が、来た。


怖いくらい、続いた。


LINEではあんなに饒舌だったのに、彼女は目が合うたびにすぐ視線を窓の外に逃がした。私も同じで、「なんでこんなに話せないんだろう」と焦れば焦るほど、頭が真っ白になっていく。なにか喋らなきゃ、でも何を、でもこの間どうにかして——そんな考えがぐるぐるしている間に、また無言になる。


コーヒーが半分になるまで、天気と仕事の話しかしなかった。


LINEでは「映画の話になったら止まらない」って言っていた人と、私は映画の話を一度もできなかった。帰り際、「またLINEしましょう」と言って別れた。電車の中で、喉の奥に何かがつかえたまま、ずっと取れなかった。



テキストには「タイムラグ」がある


家に帰って、LINEの画面をスクロールした。2週間分の会話。面白くて、やさしくて、センスがある。全部そこにある。


でも何かが違った。


テキストって、言葉を選ぶ時間がある。「うまいこと言えた」と思ってから送れる。共感も、ユーモアも、全部「整えた状態」で届く。23時のLINEで「それ、わかる」と打つのと、目の前の人に0コンマ何秒で「わかる」と返すのは、まったく別のスキルだ。


彼女はテキストが得意な人だった。だから2週間があんなに楽しかった。でも対面では、その得意が発揮されない環境だった。それだけのことだったのかもしれない。


で、私は? 自分のことを「コミュニケーション上手」だと思っていた。LINEでうまく話せるから。でもあの日の新宿で、私は天気の話しかできなかった。


「マジで? 私もテキスト人間だったんじゃん」


ひとりで笑ってしまった。



「テキストの相性」と「人の相性」は別の話


気づいたのは、あの日の夜だった。


テキストで感じた相性は、あくまでテキストでの相性だ。文章のリズム、言葉の選び方、返すタイミング。それが合っていても、声のトーンが合うかどうか、間の取り方が似ているかどうか、笑うポイントが同じかどうか——そういうことは、会わないとわからない。


逆もある。LINEでは「なんか微妙かも」と思っていたのに、会ったら話が止まらなかった人も、後になって何人かいた。文章が苦手なだけで、会話はめちゃくちゃ面白い人って、いる。


ツールと人を、ごっちゃにしていた。


マッチングアプリのLINE期間って、「出会えた」じゃなくて「出会いの入口に立った」くらいの距離感が、たぶん正しい。



次から変えた3つのこと


あの経験から、Pairsでもwithでも、やりとりの仕方を少し変えた。


1. LINEは1週間以内に会う約束をする。テキストが盛り上がるほど「もっとやりとりしてから」と思いがちだけど、そこに罠がある。盛り上がったテンションを引っさげて会いにいく方が、お互い素に戻りやすい。

2. 「この人は完璧」と思いそうになったら、一度立ち止まる。完璧なのはテキストの中のその人で、実物は別人格かもしれない——くらいの温度感でいる。期待値を下げるというより、「会ってから判断する」という順番を守る。

3. 初対面の沈黙を、「失敗」と読まない。お互い緊張しているだけで、それはむしろ誠実さの表れだったりする。無理に埋めようとして滑る方が、よっぽど後悔する。


簡単に言えばこの3つだけど、実行するのは意外と難しかった。2週間盛り上がったあとに「でもまだ会わなくていいか」ってブレーキを踏むのに、最初はすごく勇気がいった。



2回目には、少し話せた


あの人とは、結局2回目に会った。


恵比寿のカフェで、今度は3時間いた。映画の話もした。猫の話もした。「この間、全然話せなくてごめんなさい」と彼女が言って、「私もです」と私が言って、なんかそれで笑えた。


ゆっくりペースの人だった。テキストでも、対面でも。それがわかるのに、2回目が必要だった。


1回で諦めなくてよかったと思っている。ただ、1回目の沈黙で判断して次がなかったら——それはそれで仕方なかったとも思う。縁があれば2回目がある、くらいの話だ。


出会いのツールが人を見せてくれる時代になったけど、ツールが見せてくれるのは、その人のほんの一側面でしかない。


テキストで好きになったのに、会ったら全然違った。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

このテーマを読む:初デート体験談

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