雨の日のデートで距離が縮まった夜、後悔しなかった話
晴れの日に計画した代官山散歩が、当日の雨で全部変わった。急遽、代官山の蔦屋書店でお互いの本を選んで見せ合うことになった——マッチングアプリで知り合ったふたりが、計画通りにいかない日に距離が縮まった話。
正直に言う。デートの日に雨が降ったのに、距離が縮まった。
代官山を散歩しようと計画していた。桜が咲き始めた3月下旬で、川沿いを歩いてから食事、という流れを考えていた。当日の朝に雨の予報を見て、「どうしましょう」とLINEを送った。
「傘さして歩きますか?それとも室内に変えますか?」
「室内の方がゆっくりできそうですね」という返信が来た。
急いで計画を変えた。代官山の蔦屋書店に入って、本をそれぞれ選んで見せ合うことにした。
雨の日のデートで起きたこと
蔦屋書店で、お互いに「気になった本」を1冊選んで持ってくるというゲームをした。
彼女が選んできたのは、旅のエッセイだった。「旅先でこういう気持ちになることがあって」と言いながら、ページを開いて見せてくれた。晴れの日に散歩していたら、この話は絶対に出なかった。本が「話す理由」になっていた。
私が選んだのは料理人のエッセイだった。「なんとなく手が止まった」という理由で選んだ本を持っていったら、「それ気になってた!」と言われた。会話が動いた。本屋で2人でぶらぶらしながら、背表紙を見ながら「これは?」「うーん、これはちょっと……」「なんで?」というやりとりが30分以上続いた。
雨は予定を壊した。でも「即興で動く」という状況が、お互いの柔軟さと「一緒に何かを乗り越える」という感覚を生んだ。
雨の日のデート場所リスト
蔦屋書店や大型書店
本を選ぶという行為が「その人の世界観」を見せる。読んでいる本や気になる本は、プロフィールより本音が出る。代官山の蔦屋書店は広くて、カフェも併設されているから長居できる。
カフェに移動してからも、「さっき見てた本、どんな話だった?」という会話が続く。本という共通の話題が、食事の間もつないでくれる。
美術館・ギャラリー
六本木の森美術館や国立新美術館は雨でも混んでいない場合がある。「同じ作品を見て違う感想を言い合う」体験が、意外な相手の一面を見せる。
「なんかこれ怖くない?」「そう?私は全然怖くないけど」「え、なんで?」という会話は、天気の良い日に外を歩いていても出てこない。展示を見ながら生まれる感想の違いが、相手の見え方を変えてくれることがある。
水族館
品川の「マクセル アクアパーク品川」や「すみだ水族館」は屋内完結で、照明が暗くて距離が縮まりやすい雰囲気がある。
料理教室・ワークショップ
2人で何かを「作る」体験は、テーブルを挟んで話すより関係が動きやすい。一緒に失敗したり成功したりする時間が、共通の記憶になる。
清澄白河や蔵前にあるクラフト系のワークショップを使ったデートも良かった。「革のコースター作り」という体験で、2人とも不器用なことが発覚して笑った。雨の中を傘をさして歩いた記憶よりも、あの笑いの方がずっと鮮明に残っている。
雨で良かったこと
計画通りに散歩していたら、「きれいですね」「そうですね」という感想で終わっていたかもしれない。
雨が降って計画が変わって、本屋で本を選んで、コーヒーを飲みながら3時間話した。
その日のことを、今でも一番よく覚えている。雨はじゃまじゃなかった。ただ、違うデートになっただけだった。
その後付き合って、「最初のデートで一番好きだった日」を聞いたら、「雨の日の代官山」と言ってくれた。私も同じだった。
自由が丘の雨宿りで、距離がゼロになった瞬間
自由が丘で食事を終えて外に出たら、土砂降りだった。傘は一本しかなかった。相合傘なんて照れくさくてできないと思っていたのに、彼が「こっち来なよ」と傘を差し出した。
肩が触れた。体温が伝わってきた。雨の匂いと、彼のシャンプーの香りが混ざって、心臓がうるさくなった。傘の下って、世界で一番狭い二人だけの空間だった。
雨の日デートで使える、予備プラン
晴れの日のプランしか考えていないと、雨で全部崩れる。渋谷の映画館、表参道の美術館、池袋のサンシャイン水族館。屋内で楽しめる場所を2つくらい頭に入れておくだけで、雨でも焦らない。
実際、あの日の雨がなかったら、相合傘もなかったし、近くの喫茶店で2時間話し込むこともなかった。喉の奥が熱くなるような会話は、逃げ場のない空間だからこそ生まれた。雨の日のデートは、晴れの日より記憶に残る。
雨の日のデートは、予想外の宝物を見つけるチャンスだ。自由が丘の相合傘は、今でも一番の思い出だ。心臓がドクンと跳ねたあの瞬間を、雨のたびに思い出す。胸が温かくなる。
雨を避けていたのに、今は楽しみにしている。
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。