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「妥協しない」と「条件に縛られる」の違いで迷った夜

「妥協しない」と言い続けて、2年間誰とも付き合わなかった。20人以上会ってゼロ。条件に当てはまる人とも「なんか違う」で終わった——「妥協しない」こととただ「条件に縛られている」ことの違いに気づくまでの体験談。

27歳・女性の体験
·橘みあ·4分で読める

「妥協しない」と言い続けていた。


25歳からアプリを使い始めて、27歳になるまでの2年間、誰とも付き合わなかった。年収、学歴、職種、身長、住んでいるエリア。条件のリストが長くて、マッチングした人のほとんどが当てはまらなかった。


当てはまる人とは会った。でも会って話したら「なんか違う」と思って、また次を探した。


2年間で20人くらい会って、ゼロ。「妥協しないのに出会えない」という状態が続いた。「何かが間違っているんじゃないか」と思い始めたのは、27歳の誕生日の少し後だった。代官山のカフェでコーヒーを飲みながら、自分のアプリを眺めていた。マッチング済みの人の一覧。全員、1〜2回会って終わっていた。


「本当に必要な条件」と「なんとなく入れた条件」を分ける


条件のリストを一つずつ見直した。「この条件、なんで必要なの?」と自問した。


「年収〇〇万以上」→なぜ?「生活水準を保ちたい」→でも相手が倹約家なら年収が低くても問題ないのでは?「でも安定してほしい」→それなら「自立していること」の方が正確では?


「職種はこれじゃないと」→なぜ?「話が合わないから」→でも会ったことがないのに話が合うかどうかわからなくない?「話が合う人の職種がたまたまそこが多かっただけでは?」


「身長175cm以上」→なぜ?「なんとなく」→なんとなくか。


一つずつ考えると、「本当に必要な条件」と「なんとなく入れた条件」が分かれた。


残した条件と外した条件


残した条件は3つだけにした。誠実さ(嘘をつかない、約束を守る)。一緒にいてラクである。価値観の根本が合う(お金・家族・将来への考え方)。


外した条件は職種、学歴、身長、年収。「話が合う職種」ではなくて「話が合う人」を探すことにした。学歴は話せばわかることで、学歴で判断するのをやめた。身長は「高い方がいい」は希望にして、「絶対」から外した。年収は「自立していること」に変えた。


条件を外した瞬間、「会えなかった理由」が自分の側にあったとわかって、少し恥ずかしくなった。


変えてから何が変わったか


会う人が増えた。「この人、面白い」と思える人が増えた。「条件リストからはみ出していても、会ってよかった」という出会いが増えた。


中野で会ったフリーランスのエンジニアは、年収は聞かなかったけど話が面白くて、3時間気づかなかった。以前の条件では弾いていた相手だった。話しながら、「2年間、こういう人と会えていなかったのか」とじんわり気づいた。


「妥協」と「条件の見直し」は違う。誠実さや価値観の一致に妥協しない。でも「なんとなく入れた条件」を外すことは、妥協じゃなくて、正直になることだった。


どこに妥協しないか、が問題だった。人格や誠実さに妥協しない。でも「条件」は希望と必須に分けて、希望に外れても会ってみる。


2年間、私は「妥協しない」という言葉の裏に、本当は会えない理由を作っていた。それだけのことだった。


中目黒の川沿いで、条件を手放した夜


友人と中目黒の川沿いを歩いていた時、「お前の条件って、人間を探してるんじゃなくてスペックシートを作ってるだけだよ」と言われた。心臓のあたりがズキッとした。図星だった。


年収、身長、学歴、顔。全部を満たす人なんていない。いたとしても、その人が自分を好きになるとは限らない。当たり前のことなのに、アプリのフィルター機能がそれを忘れさせる。数値で人を絞り込む作業を繰り返すうちに、人を人として見なくなっていた。


妥協じゃなく、優先順位をつけるということ


吉祥寺のハモニカ横丁で飲んでいたとき、既婚の先輩がこう言った。「俺は3つだけ決めてた。笑いのツボが同じ、金銭感覚が近い、飯がうまいと言ってくれる。それ以外は全部おまけ」。


なるほど、と思った。条件を捨てるんじゃない。自分にとって本当に譲れないものを3つだけ残す。それ以外は、会ってみないとわからないことばかりだ。


実際にそうしてみたら、喉の奥のつかえが取れた感覚があった。プロフィールを見るときの目つきが変わった。スペックじゃなく、文章の温度を読むようになった。


条件を3つに絞ってから出会えた人


笑いのツボが同じ、食の好みが近い、LINEのテンポが合う。この3つだけ残した。恵比寿のカフェで初めて会った人は、年収も身長も希望の範囲外だった。でも、くだらない冗談で同じタイミングで笑えた瞬間、心臓がドクンと鳴った。スペックシートには載らない相性がある。手のひらが汗ばむほど笑い合えた。吉祥寺の帰り道、「この人ともう一回会いたい」と思えた。条件を手放した先に、ちゃんと人がいた。


不完全な誰かを丸ごと好きになれるかどうか、それが恋なのに。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

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