同じタイプの人を選び続けている、と気づいたとき
4人目と別れた夜、中野のファミレスのドリンクバーでコーヒーをおかわりしながら気づいた。見た目も職業も違うのに、全員が同じタイプだった。「たまたま」は4回も続かない。
正直に言う。4人目と別れたのに、同じパターンに気づいた。
ドリンクバーのコーヒーをおかわりして、マグカップの縁を親指でなぞりながら「またか」と思った。窓の外は雨で、ガラスに自分の顔が薄く映っている。目の下にクマができていた。
4人とも、同じタイプだった。
見た目は違う。職業も違う。最初に付き合った人はIT系、2人目はフリーランスのデザイナー、3人目は銀行員、4人目は飲食の仕事。全員、接点ゼロのはずだった。でも「距離を置くことで相手を引きつけようとする人」「素直に感情を言えない人」「突然連絡が来なくなる人」——振り返ると、全員が同じ構造を持っていた。
「たまたま」には、4回は多すぎる。
なぜ同じタイプを選んでしまうのか
最初は偶然だと思っていた。でも4人目で「違う」と確信した。何かを引き寄せている。つまり、何かが私の中にある。
新宿の紀伊國屋で心理学の本を3冊買った。カウンセリングにも行った。渋谷の雑居ビルの5階、小さな部屋で、50代の女性カウンセラーと向き合った。
「距離を置く人に惹かれる」のは、追いかける体験が「好き」に感じるからかもしれない。追いかけているとき、自分が「求めている」状態にある。それが「恋愛している」という感覚と結びついていた。でも追いかける関係は、対等じゃない。
「素直に感情を言えない人」に惹かれるのは、「読み解く快感」があったのかもしれない。表情やLINEの文面から「本当は何を思っているか」を探る作業が、刺激的だった。でもそれは、毎回正解を当てられるわけじゃない。当たっていないのに「合ってる」と思い込んでいることもある。
カウンセラーに言われた言葉が、今も胸に刺さっている。
「あなたは不安定な関係の中で『愛されている』を感じる練習をしてきたのかもしれませんね」
「……それって直せますか」
「気づくだけで、かなり変わりますよ」
その言葉を聞いた瞬間、目の奥が熱くなった。ティッシュを取ろうとして、手が震えた。
パターンを断ち切るためにしたこと
「好みじゃない」と思っていたタイプの人に、意識的に会ってみた。
素直に好意を言ってくれる人。連絡が安定している人。「今日楽しかった」を普通に言える人。予定通りにキャンセルしない人。
最初は「ドキドキしない」と思った。物足りない。代官山のカフェで会った人は、帰り際に「今日楽しかったです、また会いたいです」とまっすぐ言ってきた。心臓が跳ねるような感覚はなかった。でも、帰りの東横線の中で、なぜかその言葉を何度も思い出していた。
会い続けると、それが変わった。「この人といると安心する」という感覚が、じわじわ出てきた。ドキドキとは違う感触。3ヶ月会い続けた頃、「この人がいなくなったら困る」と思った。それが答えだった。
Omiaiで会った人で、最初のメッセージから丁寧で、約束を1回も変えなかった。それだけのことが、最初は「おとなしい人かな」としか思えなかった。でも会うたびに確信に変わっていった。吉祥寺の井の頭公園を歩いているとき、彼が何気なくペットボトルのお茶を差し出してきた。その手が温かかった。
「安心する恋愛」に慣れるまでの具体的なステップ
パターンを変えようと決めてから、具体的にやったことは3つ。
まず、過去の4人の共通点をノートに書き出した。中野のファミレスで、ドリンクバーのコーヒーを3杯おかわりしながら。書いてみると、驚くほど似ていた。全員、「こちらから連絡しないと返事が来ない人」だった。
次に、Omiaiのプロフィールで「連絡がマメな人」にフィルターを変えた。今まで無意識に避けていたタイプの人に、自分からいいねを送った。指が重かった。「この人で合ってるのかな」と毎回思った。
3つ目に、2回目のデートの約束を「相手から言ってくるまで待つ」のをやめた。自分から「また会いたいです」と言う練習をした。代官山のカフェを出たとき、声が震えた。でも言えた。
パターンを変えるのに時間がかかる理由
「好きなタイプ」は、感覚に染み込んでいる。頭でわかっても、体が反応しない、というギャップが生まれる。
「条件は全部当てはまるのに、なんか物足りない」という感覚。それは脳が「慣れ親しんだ刺激」を求めているから。その違和感は正常な反応で、少しずつ慣れていくしかない。
安定した人と付き合っている今は、ドキドキは以前ほどないかもしれない。でも日曜の朝、隣でback numberを聴きながらコーヒーを淹れてくれる人がいる。その匂いが、安心の匂いだとわかるまでに、4人分の失敗が必要だった。
4人分の回り道は、無駄じゃなかった。あの中野のファミレスの夜がなかったら、今の安心感の意味もわからなかったと思う。
コツは相手より自分を見ることなのに、気づかなかった。
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。