恋のアーカイブ
マッチングアプリ攻略攻略ガイド

2年間アプリを開き続けた私が、やめた翌月に声をかけられた理由

Pairs・タップル・Hingeと2年間アプリを使い続けた。やめた翌月、街で声をかけられた。スペックより先に「空気感」が来るリアルな出会いで取り戻したもの。マッチングアプリをやめた後に見えてきた出会いの話。

27歳・女性の体験
·橘みあ·6分で読める

スマートフォンの画面を、右に左に流し続けた2年間があった。


Hinge、Pairs、タップル。アプリを変えるたびに「今度こそ」と思って、結局同じところに戻ってくる。プロフィール写真は何度も撮り直して、自己紹介文は友達に添削してもらって、年収欄と学歴欄はできるだけさりげなく埋めた。マッチングするたびに胸の奥がざわっとして、でも3回やり取りしたら温度が冷めて、会う前に消える人、会ったあとに消える人、消えるのが私のこともあった。


26歳の秋、渋谷の喫茶室ルノアールで友達と話していたとき、「最近どうなの」って聞かれて、答えられなかった。アプリで何十人と話していたのに、「どうなの」の答えがなかった。


アプリをやめた理由


アプリをやめたのは、疲れたからじゃない。正確には、自分が「審査される側」として生きることに慣れすぎていることに気づいたから。


ある日、初めて会う相手と代官山のカフェに入ったとき、席につく前から彼の目線が私のスペックを確認している感じがした。いや、実際にそうだったかどうかはわからない。でも私も彼のことを同じように見ていた。年収どのくらいだろう、プロフィールの写真より老けてるな、趣味の「映画鑑賞」って書いてたけど何が好きなんだろう。会話しながら、採点していた。


帰り道、東横線の中で窓に映った自分の顔を見た。なんか、つかれてるな、と思った。声に出して言いたかったけど、隣に人がいたから黙っていた。


その翌週、アプリを全部消した。


アプリを消した後の1ヶ月


最初の1ヶ月は、正直手持ち無沙汰だった。


電車の中でスマホを開く習慣だけが残っていて、Instagramを無限にスクロールして、Spotifyで「最近聴いた曲」をぐるぐる繰り返す。夜、なんとなく寂しい感じがするとき、以前なら誰かとのやり取りが画面の中にあった。それがなくなって、寂しさがそのまま寂しさとして残るようになった。布団の中で天井を見る時間が増えた。


でも、ちょっとずつ変わっていったのは、「人を見る目線」だった。


アプリを使っていたとき、街を歩いていても人の顔をあまり見ていなかった気がする。全員がプロフィール写真に見えていたというか、出会いの候補として見ていなかった。でもアプリをやめてから、なんか、目が合う機会が増えた。気のせいかもしれない。でも目が合う前に視線を逸らさなくなっていた、たぶん私の方が。


転機は吉祥寺の横丁


転機になったのは、吉祥寺のハモニカ横丁だった。


友達に連れられて入った小さな焼き鳥屋で、隣の席の男性に「それ何飲んでるんですか」って聞かれた。なんの前触れもなく、自然に。私は「レモンサワーです」って答えて、「美味しそうですね」って言われて、「そうですよ飲んでみます?」って言っていた。気づいたら笑っていた。


後から思い返すと、あの瞬間、私は彼の年収も学歴も何も知らなかった。でも「この人と話してみたい」という気持ちだけがあった。それがなんか、久しぶりだった。


そこから連絡先を交換して、3回くらい会ったけれど、恋愛にはならなかった。でもそれよりも、「スペックより空気感が先に来る」という感覚を思い出せたことの方が、私には大きかった。


---


「最近、なんか変わった?」って複数の友達に言われたのは、アプリをやめてから3ヶ月後くらいだった。


何が変わったのか、自分ではよくわからなかった。でも一つ心当たりがあるとしたら、緊張の種類が変わった気がする。アプリ経由で会うときの緊張は「審査に受かるかどうか」の緊張で、リアルで誰かと話すときの緊張は「この人と通じるかどうか」の緊張だった。後者の緊張の方が、ちょっとだけ楽しかった。


あと、単純に「どこにでも出かけるようになった」のも大きかったと思う。アプリがあったとき、外に出なくても出会える気がしていた。スマホの中に予備の世界があるみたいで。それがなくなると、外に行かないと何も起きないとわかるから、なんか足が動くようになった。


下北沢の古着屋、中目黒の川沿い、三軒茶屋のバー。行ったことのない場所に、用事がなくても行くようになった。その変化が、じわじわと何かを変えていった気がする。


---


ここまで書いてきて、正直に言う。


アプリが悪かったわけじゃ、なかった。


アプリを通じて本当に好きな人ができた友達を何人も知っている。ツールの問題じゃなくて、私がアプリの中で「自分を審査用に最適化すること」ばかり上手くなっていたのが問題だった。プロフィールを磨くことと、自分を磨くことは、全然違う。それに2年かかって気づいた。


街で声をかけられる回数が増えたのも、髪型を変えたからでも、痩せたからでもなかった。たぶん、人の顔を見るようになったから。人を見ると、見られる。それだけのことだったと思う。


アプリをやめた方がいい、なんて言いたいわけじゃない。ただ、画面の外の自分の顔が、どんな顔をしているか、たまに確認した方がいい。


誰かに会いたいと思う気持ちは、スマホの中だけで完結しない。

よくある質問

Hinge・Pairs・タップルなどのアプリを何年も続けているのに成果が出ない場合は?
プロフィールの問題か、マッチング後のやり取りの問題か、会ってからの問題かを切り分けることが先です。同じアプリを惰性で続けるより、一度完全にやめて半年後に再開する「リセット戦略」が有効なケースもあります。
アプリでの出会いとリアルな出会いで、何が一番違う?
最大の違いは「空気感」が先に来るかどうかです。アプリはスペックやプロフィール文から入りますが、リアルは表情・声・動き・その場の雰囲気が先に伝わります。スペック上の不一致があっても、会ったら惹かれる——という体験はリアルならではです。
街で話しかけられたり、自然に距離が縮まる人は何が違うの?
「見られていい状態」にいるかどうかが大きいです。スマホを見ながら歩いている・イヤホンを両耳につけている・常に急いでいる——こうした状態は心理的な壁を作ります。アプリをやめたことで余裕や開放感が表情に出るケースも、実際にあります。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

この記事が刺さったら、シェアしてください

あなたへのおすすめ

リアル出会い」に興味があるあなたへ

23歳でマッチングアプリを始めた夜、後悔した2年間の話
マッチングアプリ攻略

23歳でマッチングアプリを始めた夜、後悔した2年間の話

社会人1年目の秋、友人に薦められてタップルを入れた夜から、私の「アプリ遍歴」は始まった。2年間、4つのアプリを渡り歩いて気づいたのは、20代でアプリを使うことのメリットは「若さ」ではなく「時間」だということ。この記事では、

15
Tappleの"おでかけ"で即日会った。渋谷に着いて3分で後悔した話
恋愛体験談

Tappleの"おでかけ"で即日会った。渋谷に着いて3分で後悔した話

Tappleの「おでかけ」機能で当日マッチして、2時間後に渋谷で会った。改札を出て相手を見つけた瞬間、心臓が止まるかと思った。写真と違いすぎた。でも帰れなかった。23歳の私が3分で後悔して、2時間を乗り切った話。

女性Tapple|23歳
6
初めて彼の家に泊まった朝。洗面台に歯ブラシが2本並んでいた
恋愛体験談

初めて彼の家に泊まった朝。洗面台に歯ブラシが2本並んでいた

Pairsで出会って3ヶ月。初めて彼の家に泊まった翌朝、洗面台に並んだ2本の歯ブラシを見つけた。1本は彼の青い歯ブラシ。もう1本はピンクだった。問い詰めるか、見なかったことにするか。

女性Pairs|26歳
6
同棲3日目の夜、カレーの鍋で初めて喧嘩した。後悔もしてない
恋愛体験談

同棲3日目の夜、カレーの鍋で初めて喧嘩した。後悔もしてない

Pairsで出会って1年、同棲を始めた。3日目の夜にシンクを見て固まった。初日に作ったカレーの鍋が、まだそこにある。洗われていない。28歳の私が初めて「この人と暮らすのは無理かもしれない」と思った瞬間と、その後の話。

女性Pairs|28歳
6
Pairsを開くのが怖くなった夜、後悔した3ヶ月目の話
恋愛体験談

Pairsを開くのが怖くなった夜、後悔した3ヶ月目の話

Pairsの通知音を聞くと心臓がぎゅっとなる。既読無視されるたびに胃が痛む。3ヶ月目、スマホの通知をオフにした。それでも怖かった。27歳の私がアプリ依存になりかけて、少しだけ回復するまでの記録。

女性Pairs|27歳
7
100人とマッチして、1人も会いたくなかった月。中目黒のアパートでアプリ疲れの底を見た
恋愛体験談

100人とマッチして、1人も会いたくなかった月。中目黒のアパートでアプリ疲れの底を見た

Pairsで100人とマッチした。メッセージも来た。でも1人も会いたくならなかった。疲れているのはアプリじゃない。「選ばれる側」でい続ける自分に疲れていた。

女性Pairs|29
6

マッチングアプリ攻略」はまだ 397 本あります

次の記事

返信速度を数えていた夜、後悔した脈あり判断の話