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35歳でPairsを始めた。「もう遅い」という感覚と戦った3ヶ月

35歳の誕生日の夜、三軒茶屋のアパートでPairsをダウンロードした。「もう遅い」という言葉と3ヶ月間戦って、恵比寿で出会った同い年の人に救われた話。35歳の誕生日、三軒茶屋のアパートに一人でいた。

35・女性の体験
·橘みあ·5分で読める

35歳の誕生日、三軒茶屋のアパートに一人でいた。


友達からの「おめでとう」LINEに「ありがとう!」とスタンプを返しながら、テーブルの上にはコンビニのシュークリームが1個。ケーキを買う気にもなれなかった。窓の外で世田谷線がガタンと通り過ぎる音がした。


スマホの画面を見つめて、App Storeの検索欄に「Pairs」と打った。指先が少し震えていた。


「35歳でPairsって」という壁


マッチングアプリを始めるか、半年くらい迷っていた。


30代の前半ならまだしも、35はもう別のカテゴリな気がしていた。銀座の百貨店で働いていて、周りの同僚はもう結婚していたり、子供がいたりする。昼休みに「旦那がさあ」という会話を聞くたびに、胸の奥がぎゅっと締まった。別に羨ましいわけじゃない。ただ、自分だけ違う場所にいる気がして。


背中を押したのは、職場の後輩だった。


「先輩、私の姉が36歳でPairsで出会って結婚しましたよ」


ロッカールームで言われた。制服を脱ぎながら。


「36歳でも?」


「むしろ30代後半は相手もちゃんとしてる人多いって言ってました」


……そうなんだ。


ダウンロードしたのは、誕生日の夜のシュークリームを食べ終わった後だった。


プロフィールに「35歳」と書く勇気


最初の2週間は、プロフィールを整えることに時間をかけた。


年齢の設定で指が止まった。35歳と出していいのか。2歳くらい引いたほうがマッチングするんじゃないか。でも正直に出した。35歳を隠して付き合い始めたとしても、どこかで言わないといけない。入口から正直にしておくほうが、後が楽だと思った。


写真は、代官山の蔦屋書店の前で撮ったものにした。休日に一人で行って、本棚の前でセルフタイマーで撮った。自然光が柔らかくて、自分でも「まあ、悪くない」と思えた。


結果、35歳を表示した状態でも、1週間で12件のいいねが来た。スマホを開いて通知を見たとき、心臓がどくんと鳴った。来た。ちゃんと来た。30代の男性からのいいねが多かった。


恵比寿の夜、「同じです」の一言


3ヶ月で7人とやりとりして、4人と会った。


1人目は下北沢のカフェ。話は弾んだけど、恋愛の温度じゃなかった。2人目は丸の内のレストラン。緊張しすぎて味を覚えていない。3人目とは2回会って自然消滅。


4人目が、違った。


恵比寿のイタリアンで夕食をとりながら、ワインを2杯飲んだところで聞いた。


「35歳から始めたって言ったら、笑われますか」


声が少しうわずった。テーブルの下で、スカートの裾を握っていた。


彼はフォークを置いて、少し笑った。


「僕も34から始めたので、同じです」


……同じ。


その一言で、肩から力が抜けた。心臓がゆっくりになるのがわかった。窓の外の恵比寿の街灯がぼんやり滲んで見えた。泣きそうだったのかもしれない。


「じゃあお互い遅くないですね」


「全然遅くないですよ」


彼のシャツからうっすらとウッディな香りがした。オリーブオイルの香りが漂うテーブル越しに、少しだけ手が触れた。指先が温かかった。


誰も何も思っていなかった


帰り道、恵比寿駅に向かう坂道を歩きながら、あいみょんの「マリーゴールド」をイヤホンで聴いた。夜風が頬に当たって、少しだけ目が熱くなった。


「もう遅い」は自分だけが思っていた言葉で、相手は何も思っていなかった。35歳だから。30代後半だから。全部、自分で自分にかけていた呪い。


3ヶ月経った今、付き合っているわけじゃない。でも来週、2回目のデートの約束がある。三軒茶屋のアパートで、今度はちゃんとケーキを買おうかと思っている。自分の誕生日じゃなくても。


「遅い」と決めつけていたのは自分だけで、世界はまだ全然、開いていた。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

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