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恋愛体験談エッセイ

幼なじみとアプリで再会した夜、迷ったこと

深夜1時すぎ、マッチングアプリをスクロールしていたら、ふと指が止まった。写真の中の人に見覚えがある。名前を確認して、確信した——20年ぶりの幼なじみだった。アプリで再会したまさかの縁と、そこから始まった話。

25歳・女性の体験
·橘みあ·6分で読める

正直に言う。アプリで幼なじみと再会したのに、付き合うまで迷った。


そういう夜だった。特段落ち込んでいるわけでも、誰かに会いたいわけでもない。ただ、眠れなくて、アプリを開いて、親指を動かしていた。部屋の暖房が効きすぎていて、外は2月の東京らしく、窓の結露が光っていた。


そのとき、止まった。


写真の中の人に、見覚えがあった。口をつぐんだ感覚。「知っている」というより「知っていた」に近い。記憶の引き出しの奥の方を、誰かがノックしているみたいな。


名前を見た。


確信した。


小学3年から6年まで同じクラスだった、あの人だった。


深夜のメッセージ


「もしかして、〇〇小学校の田中さんですか」


送信してから、少し後悔した。違ったら恥ずかしい。そもそも相手は私のことなんて覚えていないかもしれない。でも1分もしないうちに、「え!?」という返信が来た。


「そうです!あなたは誰ですか!?」


その言い方が、小学生みたいで、思わず笑った。胸の奥が温かくなった。深夜に一人で布団の中で笑った。ちょっと間抜けな感じで。


「名前を見てわかった」と伝えたら、しばらく間があって、「そんな昔のこと覚えてたんですか」と返ってきた。


覚えてたんですか、じゃなくて。「忘れるはずない、同じグループで給食当番してたから」と打ったら、「笑いました」と来た。絵文字なしの「笑いました」が、なんか妙にリアルで、また笑った。


20年ぶり、ということになった。


20年ぶりの再会


会う場所は、渋谷の居酒屋にした。


「SHIBUYA STREAM」の近くの、カジュアルな和食の店。20年ぶりの再会にしては気負いすぎず、でも適当すぎない。そういう場所選びに、変に頭を使いすぎた自分が少し恥ずかしかった。


店に入って、彼の顔を見た瞬間。


胸の中で何かが、すっと落ちた。


あの頃の彼だ、と思った。最初の5分で、そうわかった。笑い方が、同じだった。話すリズムが、記憶の中のそれと重なった。声のトーンとか、目が細くなる角度とか。20年という時間が、どこかにきちんと積み重なっているはずなのに、それでもどこかに面影があった。


乾杯して、最初の話題は小学校のことになった。「あのときの担任、怖かったよね」「遠足、覚えてる?あのとき雨で」「あー! 体育館になったやつ」。笑いが止まらなくて、日本酒を頼んで、それもすぐ空いた。


楽しかった。楽しい、という言葉だけで収まらない何かがあった。


初めて会う感覚と、知っている感覚が、同時にあった。大人になった彼のことは何も知らない。好きな音楽も、どんな仕事をしているかも、付き合ってきた人のことも。でも、小学生のときの彼を、私は知っている。給食当番のとき、牛乳をこぼして焦っていたこととか。そういうものを知っている。


それが、不思議な安心感になった。「素の部分を少しだけ知っている」という感覚。初対面の緊張と、旧知の安堵が、混ざり合っていた。どっちが本当かわからなくて、それがまた、妙に心地よかった。


3回目の夜


3回目に会ったのは、代官山の小さなイタリアン。「OSAJI」のある通りから少し入ったところにある、照明の暗い店だった。赤ワインを飲みながら、なんとなく話が途切れた瞬間があって。


そのとき、言った。


「小学生のとき、少し好きだったかもしれません」


自分でも驚くくらい、すんなり口から出た。「かもしれません」という曖昧さがついたのは、正直すぎるのが怖かったからかもしれない。


「え、そうだったの?」


彼が少し目を丸くした。その顔が、また小学生みたいで。


「今は確実に好きです」


言い切ったら、少しだけ間があって。


「それがメインの告白ですね」と彼が笑った。笑いながら、「私も好きです」と言ってくれた。


ワイングラスを持ったまま、私はしばらく何も言えなかった。嬉しいというより、胸のどこかがじわじわ熱くなるような感じ。目の奥が、少しだけ熱くなった。


それと同時に、ほんの少しだけ、「これでいいのかな」という感覚もあった。再会の高揚感が、本当の気持ちに混ざっていないか。「幼なじみとまた繋がれた」という特別感に、引っ張られていないか。そういう疑念が、一瞬よぎった。


でも、笑い方を見て、思った。知ってる。この笑い方を、私はずっと前から知っている。


それでいい、と思った。


縁のありか


縁というのが、どこに転がっているかわからない。


2月の深夜、眠れなくてスマホを開かなければ、あのプロフィールを見なければ、「この人知ってる気がする」という直感を流していれば。何も起きなかった。20年がそのまま20年になって、名前すら思い出さなかったかもしれない。


アプリが繋いだ、と言うには少しロマンがなさすぎる気もする。でも実際、そうやって繋がった。テクノロジーが、縁を掘り起こした。


今も、たまに「なんでマッチしたんだろう」と思う。


でも答えより先に、彼の笑い方を思い出す。


知っていた、あの笑い方を。


過去を知っているのに、あの夜まで気づかなかった。

よくある質問

幼なじみをアプリで見つけたのはいつですか?
2月の深夜1時過ぎ、布団の中でスクロールしていたとき、見覚えのある顔が現れたとあります。記憶の引き出しの奥をノックされるような感覚だったとのことです。
どんな幼なじみだったのですか?
小学3年から6年まで同じクラスだった人とのことです。「もしかして、〇〇小学校の田中さんですか」と送信してから、どうなったかが気になるとのことで、そこから話が展開します。
最終的に付き合うことになったのですか?
タイトルに「付き合うことになった」と書かれています。20年ぶりにアプリで繋がった幼なじみが、恋人になった体験談です。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

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