33歳でバツイチになった夜。1年後にwithを始めて後悔しなかった話
離婚届を出した帰り道、西早稲田の蕎麦屋でひとりざる蕎麦を食べた。1年後にwithで出会った人に「バツイチです」と言ったとき、想定外の言葉が返ってきた。離婚届を出した帰り道、西早稲田の古い蕎麦屋に入った。
正直に言う。33歳でバツイチになったのに、また始めようと思った。
カウンターの端に座って、ざる蕎麦とビール小瓶を頼んだ。昼下がりの店内は客が2人だけで、NHKのニュースが小さな音で流れていた。蕎麦をすする音が妙に大きく聞こえた。
食べながら、これで終わりなのか始まりなのか、どっちでもない感じがした。33歳で離婚して、「人生のやり直し」という言葉が似合わない気がした。大げさすぎる。でも「なかったこと」にもできない。ビールは冷たかったけど、味がよくわからなかった。
withを始めたのは1年後だった。
プロフィールに「バツイチ」を書くか、2週間悩んだ
プロフィールに書くべきかどうか、2週間悩んだ。
無印のノートに、書くメリットと書かないメリットを並べて書いた。カフェで。代官山のスタバで、ひとりで1時間。
書かなかった。でも「早めに話す」と決めた。プロフィールで先に伝えるより、実際に会って話した方が、相手の顔を見ながら反応を確認できると思ったから。
テキストで「バツイチです」と送るのと、目の前で「実は離婚経験があって」と言うのでは、伝わり方が違う。声のトーン、表情、間。そこに誠意を乗せたかった。
最初の2人は「そうなんですね」で終わった
1人目は中目黒のカフェで、3回目のデートのときに話した。
「実は離婚経験があって」
「……そうなんですね」
沈黙が3秒あった。スプーンでカプチーノの泡をかき混ぜている相手の手元を見ていた。話題が変わった。4回目のデートはなかった。
2人目は新宿の居酒屋で、やっぱり3回目のとき。「えー、そうなんですか?」と少し驚かれたけど、「うち、親が離婚してるんですよ」と返された。思ったほど驚かれなかった。でもこちらも、なんとなく続かなかった。
2人とも、悪い人じゃなかった。ただ、「離婚経験がある人と付き合う」ことへのハードルは人それぞれだと、頭ではわかっていても胸の奥がチクリとした。
3人目の反応が、全然違った
3人目が違った。
恵比寿の小さなワインバーで、カウンターに並んで座っていた。グラスワインの2杯目を飲みながら、「バツイチなんですね」と言ってから、少し間があった。
「どんな人と結婚してたんですか」
質問されたのが初めてだった。
1人目も2人目も、「離婚したんですね→次の話題」だった。でもこの人は「どんな人と?」という方向に来た。
少し戸惑いながら答えた。元夫のことを、できるだけ悪く言わないように話した。赤ワインの渋みが喉を通っていくのを感じながら。
「価値観が合わなくなった。悪い人じゃなかったと思う」
そう言ったら、相手がグラスを置いて、こっちを見た。
「一回結婚した人は、結婚の現実を知ってるじゃないですか。そこが強みだと思いますよ」
目の奥がじわっと熱くなった。泣かなかった。でも泣きそうだった。ワインバーのオレンジ色の照明がにじんで見えた。
弱みだと思っていたものを強みと言われた。それだけで、1年間ずっと抱えていた重さが、少しだけ軽くなった。
離婚経験が教えてくれた「地図」
元夫と一緒にいた6年間で、わかったことがある。
どんな場所で一緒にいたいか。どんな会話ができる人がいいか。どういう価値観の違いが自分には辛いか。全部、経験で知っている。
「失敗から学んだ」というより、「払ったコストで手に入れた地図がある」という感覚に近い。結婚がどういうものかを知っている。生活がどう変わるかを知っている。喧嘩がどこから始まるかを知っている。
その地図があるから、withで出会った人と話すとき、「この人とは大丈夫そうだ」「ここは合わないかもしれない」という判断が、前より早くできるようになった。
蕎麦の味が変わった日
「バツイチって、強みだよね」と言われた言葉が、今も頭にある。
強みかどうかは、正直まだわからない。でも「弱みだけではない」ということは、今は思えている。
離婚届を出した帰り道に食べた蕎麦は、味がしなかった。でも先月、同じ西早稲田の蕎麦屋に行った。ざる蕎麦とビール小瓶。同じ注文をした。
蕎麦は普通に美味しかった。ビールも冷たくて、ちゃんとビールの味がした。
この話に結論はないのに、始めてよかったと思う。
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。