地方在住で遠距離スタート。会うたびに交通費が痛かった
名古屋から東京まで、新幹線で片道1万円。月に2回会うと往復で4万円。Pairsで出会った人に会いに行く交通費の現実と、お金では測れなかったものの記録。
Pairsで東京の人とマッチングしたのは、名古屋駅のスタバだった。
28歳、メーカーの事務職。名古屋に住んで6年。友達に「そろそろアプリやってみなよ」と言われて、半信半疑で始めた。地元の人と出会いたかったから、検索範囲は「愛知県」に設定していた。なのに、なぜか「東京都」の人からいいねが来た。
31歳、IT企業のエンジニア。プロフィール写真は新宿御苑で撮ったもの。自己紹介に「出張で名古屋によく行きます」と書いてあった。距離的にはありえない。でもプロフィールを読んで、手が勝手に「いいね」を押していた。
最初は「名古屋出張のついでに」だった
最初のデートは、彼の名古屋出張に合わせた形だった。名古屋駅の地下街で待ち合わせて、味噌煮込みうどんを食べた。
彼は写真通りの人だった。落ち着いた声で、話すスピードがゆっくりで、味噌煮込みうどんの熱さに「あっつ」と小さく声を上げた。その「あっつ」が可愛くて、心臓がドクンと跳ねた。
2回目も名古屋だった。3回目も。彼の出張ペースは月1回で、そのたびに夜の時間を合わせて会った。楽だった。交通費はゼロ。会えるのは2〜3時間だけど、会えること自体が嬉しかった。
でも4回目のデートの後、LINEで彼が言った。「次は東京に来てほしいな。こっちの街も見てほしい」。
新幹線の片道1万円という現実
名古屋から東京まで、のぞみで1時間40分。片道11,300円。往復で22,600円。
最初に計算したとき、胃のあたりがひんやりした。22,600円。私の手取りの約10分の1が、1回のデートで消える。
行った。行かないという選択肢は、そのときの私にはなかった。金曜日の夜、名古屋駅の新幹線ホームで改札を通るとき、手のひらが汗ばんでいた。お金への不安と、会える興奮が混ざった汗だった。
東京駅に着いたのは21時過ぎ。改札を出たら、彼が立っていた。「おつかれ、遠かったでしょ」と言って、ペットボトルのお茶を渡してくれた。そのお茶が、22,600円より嬉しかった。
その夜は銀座の居酒屋で飲んだ。終電を気にしなくていい夜は初めてだった(ビジネスホテルを別で取っていた)。23時を過ぎても「そろそろ」と言わなくていい。時計を見なくていい夜が、こんなに贅沢だとは思わなかった。
月2回会うと、交通費は月4万円
遠距離が本格化したのは、付き合い始めてからだった。月に2回は会いたかった。1回は彼が名古屋に来て、1回は私が東京に行く。交互制にした。
でも現実は違った。彼の出張が減った月は、2回とも私が東京に行った。往復22,600円が2回で45,200円。プラス、ビジネスホテル代が1泊5,000〜8,000円。食事代を入れると、月に5万円以上が「会うためのコスト」になった。
手取り22万から5万円を引くと17万円。家賃6万5千円を引くと10万5千円。そこから食費、光熱費、スマホ代。自由に使えるお金がほとんど残らなかった。
美容院に行く回数を減らした。服を買わなくなった。友達との飲み会を断る回数が増えた。「最近付き合い悪くない?」と言われたとき、「ちょっとお金がなくて」とは言えなかった。遠距離のためにお金を使っているなんて、なんとなく恥ずかしかった。
工夫したこと
新幹線の早割を使うようになった。EX予約のグリーンプログラムでポイントを貯めて、たまにグリーン車に乗れるようになった。ぷらっとこだまだと片道8,000円台まで下がる。時間は30分余計にかかるけど、そのぶん本を読めると思ったら苦じゃなかった。
高速バスも試した。夜行バスだと片道2,500円。でも翌朝の顔がひどかった。目の下にクマができて、肌がガサガサになった。彼に会うために来ているのに、最悪のコンディションで会うのは本末転倒だった。1回でやめた。
最終的に落ち着いたのは、「こだま+ビジネスホテル」のパターンだった。片道8,500円、ホテル5,000円。往復で22,000円。月2回で44,000円。それでも高い。でも、新幹線の中でイヤホンをして窓の外を見ながら、「今から会えるんだ」と思う時間は、お金では買えない幸福感があった。
交通費の話をした夜
付き合って半年くらいのとき、彼に正直に言った。東京駅の丸の内北口で、帰りの新幹線を待ちながら。
「正直ね、交通費けっこうキツいんだよね」
彼は少し黙ってから、財布を出した。
「今日の帰りの分、出させて」
「いや、そういうことじゃなくて」
「わかってる。でも、出させて。お前がこっちに来てくれてることに、ちゃんとお金で返したい」
喉の奥がつまった。泣きそうになったのは、お金のことじゃなくて、「お前が来てくれてること」という言葉だった。私が使った交通費は、彼にとっては「来てくれた距離」だった。
そのあと、交通費は折半になった。お互いに相手の分の片道を負担する。月の出費は半分になった。それだけで、呼吸が楽になった。
距離の価値
遠距離は1年続いた。彼が名古屋に転勤になって、距離がゼロになった。近くなって最初のデートは、名古屋駅の味噌煮込みうどん屋だった。最初のデートと同じ店。
「新幹線乗らなくていいの、不思議だね」と彼が言った。
「うん。でもちょっと寂しいかも」と私が言ったら、彼が笑った。
1年間で使った交通費を計算すると、たぶん50万円くらいだと思う。50万円あれば海外旅行に行ける。ブランドバッグが買える。でも、あの新幹線の窓から見えた夕焼けは、50万円の価値があった。
名古屋駅のホームで改札を通るたびに汗ばんだ手のひら。あの感覚を知っているから、隣にいられる今が、ちゃんと嬉しい。
距離はコストだ。でも、コストを払ってでも会いたいと思えたことが、答えだった。
よくある質問
遠距離のマッチングアプリ恋愛で交通費はどのくらいですか?↓
遠距離の交通費はどちらが負担するのがいいですか?↓
遠距離の交通費を抑える方法は何かないですか?↓
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。