再登録したら、前に会った人が出てきた。送るか迷った記録
Pairsを半年休会して、再登録した。スワイプしていたら、3回デートした人がまだいた。あのとき自然消滅した相手に、もう一度いいねを送るか。27歳男性の、送るか迷った4日間の記録。
半年ぶりにPairsを開いた。
理由は単純だった。会社の飲み会で後輩が「最近Pairsで彼女できたんすよ」と言ったから。それだけ。高円寺の自分の部屋に帰って、シャワーを浴びて、ビールを開けて、スマホでPairsのアイコンを探した。アンインストールしていなかった。
再登録の手続きをして、プロフィールを見直した。写真は半年前のまま。髪型が少し変わったけど、撮り直す気力はなかった。自己紹介文の「映画と料理が好きです」もそのまま。半年経っても、自分の説明って変わらないものだな、と思った。
スワイプしていたら、見覚えのある顔
スワイプを始めて3日目の夜だった。
画面に、見覚えのある顔が出てきた。心臓がドクンと鳴った。ビールの缶を持つ手が止まった。
25歳。吉祥寺在住。カフェ巡りが好き。読書が好き。写真は変わっていた。前は井の頭公園で撮ったものだったのが、どこかのカフェの窓際に変わっていた。でも、笑顔は同じだった。
半年前に3回デートした人だった。
1回目は吉祥寺のカフェで。2回目は下北沢の古着屋を巡って。3回目は高円寺のカレー屋で。3回とも楽しかった。会話が途切れることがなくて、帰り道にLINEで「今日も楽しかった」と送って、「私も!」と返ってきた。
そのあと、自然消滅した。
4回目のデートの日程を決めようとしたとき、お互いの仕事が忙しくなって、やりとりの頻度が下がって、3日空き、1週間空き、気づいたら2週間返信していなかった。最後のLINEは彼女からの「今週末どうですか?」で、私は既読をつけたまま返信しなかった。
忘れていたわけじゃない。返そうと思っていた。でも、2週間空いた後に何を返せばいいかわからなかった。「すみません、忙しくて」は嘘じゃないけど、全部でもない。本当は、返信するのが少し億劫になっていた。あの感覚を正直に言語化すると、「好きかどうかわからなくなった」が一番近い。
いいねを送るか、スルーするか
スマホの画面には彼女のプロフィールが表示されたまま。右にスワイプすれば「いいね」、左にスワイプすればスルー。
指が動かなかった。
送ったら、相手は気づく。「あ、この人、前に会った人だ」と。そのとき彼女は何を思うだろう。「自然消滅させた人がまた来た」と思うだろうか。「図々しい」と思うだろうか。それとも、「あ、まだアプリやってるんだ」と思うだろうか。
送らなかったら、何も起きない。彼女は私がPairsに戻ったことを知らないまま、他の誰かとマッチングして、私も他の誰かとマッチングして、それで終わる。
ベッドに寝転がって、天井を見た。高円寺のアパートの天井は少し黄ばんでいて、蛍光灯の紐が揺れていた。
迷った4日間
1日目。送らなかった。でも、プロフィールはブックマークした。
2日目。彼女のプロフィールを3回見た。写真が変わっていた。新しい自己紹介文に「最近は料理にハマってます」と追加されていた。前は書いてなかった。半年の間に、彼女にも変化があったんだと思った。胸の奥がざわっとした。
3日目。友達に相談した。「前に3回デートして自然消滅した人がPairsにいたんだけど、送っていいと思う?」。友達は即答した。「送れよ。何を迷ってんの」。簡単に言うな、と思った。
4日目。会社の昼休み、コンビニのおにぎりを食べながらスマホを開いた。彼女のプロフィールを見た。最終ログインは「24時間以内」。アクティブに使っている。誰かとやりとりしているかもしれない。その想像だけで、みぞおちのあたりがきゅっとなった。
送った
4日目の夜、送った。
「いいね」だけ。メッセージは付けなかった。付けようとして何度も消した。「お久しぶりです」は距離が遠すぎる。「また話したいです」は馴れ馴れしい。「前に会ったことあると思うんですが」は気まずい。何を書いても違和感があったから、無言の「いいね」にした。
送った瞬間、手のひらが汗びっしょりだった。スマホを裏返しにしてテーブルに置いた。ビールを一口飲んだ。喉を通る炭酸が、やけに痛かった。
1時間後、通知が来た。マッチング成立。
心臓がバクバクした。彼女は覚えていたのか。覚えていて、「いいね」を返してくれたのか。それとも、新しい人だと思ってスワイプしたのか。
メッセージを開いた。彼女から先にメッセージが来ていた。
「あ、久しぶりですね。高円寺のカレー屋の人ですよね?」
覚えていた。高円寺のカレー屋を覚えていた。背筋がぞわっとした。嬉しさと、あのとき返信しなかった後ろめたさが、同時に背中を駆け上がった。
返信
返信を打つのに20分かかった。
「覚えていてくれたんですね。あのとき返信しなくてすみません。忙しかったのは本当なんですけど、それだけじゃなくて、タイミングを逃しました」
正直に書いた。言い訳をしなかった。「忙しかった」だけで済ませたら、また同じことの繰り返しになる気がした。
彼女の返信は5分後に来た。
「大丈夫ですよ、私もちょっとホッとしてます。お互いまだアプリにいるってことは、まだ見つかってないってことですよね笑」
その「笑」を見たとき、肩の力が抜けた。許されたわけじゃない。でも、やり直せる余地がある。それだけで十分だった。
自然消滅は、終わりじゃなかった。タイミングのズレだった。ズレは、もう一度合わせ直せる。
送るか迷った4日間は無駄じゃなかった。迷ったぶんだけ、今度は返信を忘れない。
よくある質問
マッチングアプリを再登録したら前の相手にバレるものですか?↓
自然消滅した相手にもう一度いいねを送るのはアリですか?↓
自然消滅を防ぐにはどうしたらいいですか?↓
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。