Omiaiで知り合って、6週間で付き合った話
Omiaiのメッセージ3往復目で「いつ頃を目安に?」と聞かれたとき、手のひらが汗ばんだ。中目黒、代官山、恵比寿。6週間で4回会って、告白された夜のこと。中目黒の駅を出たとき、手のひらが汗ばんでいた。
中目黒の駅を出たとき、手のひらが汗ばんでいた。
11月の夜、コートの襟を立てながら待ち合わせ場所に向かった。目黒川沿いの桜並木は葉がほとんど落ちていて、街灯の光が枝の影を歩道に落としていた。Omiaiで知り合った人と、初めて会う夜だった。
Pairsとは違う3往復目
Omiaiのメッセージは、Pairsと全然違った。
Pairsでは「どんな映画が好きですか」から始まって、20往復してやっとデートの話になる。Omiaiは3往復目に「いつ頃を目安に考えていますか」が来た。
スマホを見たとき、心臓がきゅっと縮んだ。「え、もうその話?」
でも既読をつけた以上、返さないわけにいかない。「2〜3年以内に考えています」と打った。送信ボタンを押す指が、少し冷たかった。
返信は10分後に来た。「同じです。安心しました」
怖いと感じる人と、楽だと感じる人で、Omiaiの向き不向きが分かれると思う。私は最初怖くて、でもすぐ「楽だ」と感じた。聞かなくていいことが最初から共有されている。探り合いがない分、その先の会話に集中できた。
1回目:中目黒のイタリアン
目黒川沿いの小さなイタリアンで、彼はすでに席に座っていた。
「すみません、早く着いちゃって」
少し照れた顔で言われた。テーブルの上にはまだ水しか置いていない。メニューを開いて、ワインを選んで、乾杯した。グラスがカチンと小さな音を立てた。
「仕事は何されてるんですか」
「出版社で雑誌の編集やってます。……そっちは?」
「不動産です。地味です」
「地味じゃないでしょ」
「いや、地味ですよ。間取り図ばっかり見てるんで」
笑った。パスタのトマトソースが温かくて、ワインの酸味がちょうどよくて、2時間半があっという間だった。帰り際に「また来週どうですか」と言われたとき、喉の奥がじんわり熱くなった。
2回目:代官山の本屋
翌週の土曜日、代官山の蔦屋書店で待ち合わせた。
彼は旅行コーナーで本を読んでいた。背中を見つけた瞬間、心臓が跳ねた。先週と同じ人なのに、会うと毎回少し緊張する。
「この本、面白そうじゃないですか」
彼が持っていたのは、村上春樹のエッセイだった。「読んだことある?」と聞かれて「好きです」と答えたら、「マジで? どれが好き?」と目が少し輝いた。
カフェに移動して、コーヒーを飲みながら1時間半話した。窓から午後の光が差し込んで、テーブルの上のカップが影を落としていた。彼の指が長いことに気づいた。
3回目:恵比寿の夕食
3回目は恵比寿のビストロで夕食。赤ワインを2杯飲んだ頃、少しだけ酔っていた。
「ねえ、Omiaiって速くないですか」
自分で言っておいて、少し恥ずかしくなった。
「速い?」
「こうやって3回会って、なんか……普通の出会いより全然速い気がして」
彼はワインをゆっくり回しながら考えて、言った。
「速いんじゃなくて、ちゃんと確認してるんだと思う。お互い、将来考えてるって前提があるから」
外は12月の恵比寿。ガーデンプレイスのイルミネーションが遠くに見えた。店内にはback numberの「クリスマスソング」が流れていた。彼の横顔をキャンドルの光が照らして、鼻筋の影がきれいだった。
4回目:告白
4回目は中目黒に戻った。最初に会った場所と同じイタリアン。
食後のエスプレッソを飲み終わった頃、彼がカップを置いて少し姿勢を正した。
「あの、正式にお付き合いしたいです」
真っ直ぐ目を見て言われた。声が少し低くなっていた。
心臓が、肋骨を叩くみたいにどくどく鳴った。耳たぶが熱い。テーブルの下で、自分の膝を両手で押さえた。
「……はい」
声がかすれた。彼が少し笑って、「よかった」と言った。その「よかった」がすごく素朴で、胸の奥がぎゅっと締まった。SHIROのホワイトティーみたいな、彼のコートからふわっと清潔な香りがした。
帰り道、中目黒の駅に向かう坂道を二人で歩いた。手が触れて、そのまま繋いだ。指先が冷たかったのに、手のひらの中心だけ熱かった。
6週間が「普通」になる場所
6週間で4回会って、付き合った。
Pairsのときは半年かかったことが、Omiaiでは6週間で起きた。「速い」じゃない。「ちゃんと確認している」速度だった。
怖くて始めた場所で、怖さの正体がわかった。婚活の速度感は、曖昧さを許さない代わりに、嘘もつかせてくれなかった。
嘘をつけない場所でしか、本当のことは始まらなかった。
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。