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ダウンロードボタンを3回押しかけて、3回やめた夜。28歳の私がPairsを入れた理由

「知らない人に会うなんて無理」と本気で思っていた。身バレが怖い、変な人が怖い、騙されるのが怖い。全部怖かったのにPairsを始めて、3ヶ月後——恐怖は半分当たって、半分外れていた。

·橘みあ·5分で読める

日曜の夜23時、ベッドの中でApp Storeの「入手」ボタンの上に指を置いた。3回目だった。前の2回は、指が動かなかった。


28歳、事務職、彼氏なし2年。友達が「Pairsで会った人と付き合い始めた」と言ったとき、「すごいね」と笑顔で返しながら、心臓がばくばくしていた。半分は「いいな」。もう半分は「私には無理だ」。


怖い理由は3つあった。知らない人に1対1で会うこと。プロフィールを載せて身バレすること。変な人やヤリモクに引っかかること。全部リアルな恐怖だった。ネットの怖い体験談を読みすぎていたのもある。


ダウンロードした夜、指が震えていた


ある金曜の夜、残業で疲れて帰宅して、冷蔵庫のハイボールを開けて、一人でソファに座っていた。テレビもつけずに、天井を見ていた。


「このまま何もしなかったら、来年も再来年も同じだ」


その考えが浮かんだ瞬間、胸の奥がぎゅっと締まった。怖いのは変わらない。でも「何もしない方が怖い」と初めて思った。


Pairsをダウンロードしたとき、指先が微妙に震えていた。大げさじゃなく本当に。登録画面で名前を入力するとき、本名じゃないニックネームにした。写真は横顔の、顔がはっきり映っていないものを選んだ。最初からフルオープンにする勇気はなかった。


プロフィールを書き終えて、「公開」ボタンを押す前に5分くらい固まった。押したら知らない男の人たちに見られる。その事実が怖かった。でも押した。ハイボールの力を借りて。


最初の1週間:通知が怖い


翌朝、起きたらいいねが3件来ていた。


嬉しいはずなのに、最初の感情は「怖い」だった。知らない人が私に興味を持っている。プロフィールを見ている。その事実に、喉の奥がきゅっとなった。


1週間は、いいねを返す勇気が出なかった。届くたびに相手のプロフィールを穴が開くほど読んで、「この人は大丈夫か」を確認して、でも最終的に「やっぱり怖い」で閉じる。その繰り返し。


友達に相談したら「最初はみんなそうだよ、1人目はカフェで短時間にすればいい」と言われた。「短時間」という言葉が少し楽にしてくれた。2時間も3時間も一緒にいなくていい。30分で帰ってもいい。


初めてマッチした人とのメッセージ


10日目に、初めていいねを返した。相手は30歳の会社員で、プロフィールに「コーヒーが好きで週末はカフェ巡りしてます」と書いてあった。普通の人だった。普通であることが、安心材料だった。


メッセージのやりとりは最初ぎこちなかった。「はじめまして、よろしくお願いします」「こちらこそよろしくお願いします。プロフィール見ました、カフェ好きなんですね」。敬語のままの会話。でも3日目くらいから、相手が少しくだけた言い方をし始めた。「今日仕事やばかったです笑」とか。


その「笑」がついたメッセージを見て、初めて肩の力が抜けた気がした。画面の向こうにいるのは、仕事で疲れて「やばかった」と言う、普通の人だった。


初対面:三軒茶屋のカフェで


会ったのは2週間後。場所は三軒茶屋のカフェ。友達のアドバイス通り、「1時間くらいでサクッと」という約束にした。


待ち合わせ場所に向かう電車の中で、手汗がすごかった。スマホを持つ手が滑るくらい。改札を出たとき、一瞬「帰ろうかな」と思った。心臓が肋骨を叩いていた。


カフェの前に彼が立っていた。写真より少し背が高くて、紺のジャケットを着ていた。「○○さんですか?」と聞かれて「はい」と答えた。声がうわずっていたと思う。


最初の10分は何を話したか覚えていない。緊張で頭が真っ白だった。でもカフェラテが来て一口飲んだあたりから、少しずつ話せるようになった。仕事の話、休みの日の過ごし方、好きなドラマの話。


彼が「実は僕もアプリ始めたの最近で、今日が2人目なんです」と言ったとき、なぜか安心した。向こうも緊張している。向こうも初心者。その対等さが、怖さを和らげた。


1時間の予定が、結局2時間になった。


3ヶ月後、恐怖は半分当たって半分外れた


Pairsを始めて3ヶ月。4人と会った。


恐怖は半分当たっていた。2人目に会った人は、メッセージと実物のテンションが全然違って、ずっと自分の話をしていた。3人目は、会って30分で「今度うちに来ない?」と言ってきて、耳が熱くなるくらい怖かった。「用事がある」と言って帰った。


でも半分は外れていた。1人目の彼は本当に普通にいい人で、2回目のデートにも行った。4人目の人とは趣味が合って、吉祥寺のハモニカ横丁で3時間話し込んだ。「アプリで会ったとは思えない」と言われた。


身バレは一度もなかった。ニックネーム登録で、職場を「東京都」としか書かなかったから。写真も最初は横顔だけにして、やりとりが進んだ相手にだけ正面の写真を送った。


怖いまま始めて、怖いまま会って、怖さが少し減って、また少し怖いことがあって。その繰り返しだった。恐怖がゼロになる日は来ていない。でも「怖いけどやってみる」が少しずつ普通になってきた。


3ヶ月前の自分に言えることがあるとしたら、怖いと思っている時点で、もう半分始まっているということだ。


怖さが消えるのを待っていたら、一生始まらない。怖いまま押した「公開」ボタンが、全ての始まりだった。


あのとき逃げたのか、選んだのか。まだ決めきれていない。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

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