アプリで付き合って3ヶ月、まだ「本当にこの人でいいのか」がわからない
Pairsで出会った彼と付き合って3ヶ月。幸せなはずなのに「もっといい人がいるかも」が消えない。アプリを消せない夜があった。付き合ったあとの不安と、覚悟を決めた瞬間の話。
付き合って3ヶ月目の夜、彼のスマホにPairsの通知が光って、心臓が止まるかと思った。
結論から言うと、ただの退会し忘れだった。彼は「あ、まだ消してなかった、ごめん」と言って、その場でアンインストールした。でも私の方は、帰りの東横線でずっと手が震えていた。だって私のスマホにもまだ、Pairsは入っていたから。
「アプリで出会った」という後ろめたさ
Pairsで彼とマッチしたのは去年の11月。3回目のデートで告白されて、付き合い始めた。吉祥寺のハモニカ横丁で焼き鳥を食べているとき、彼が急に箸を置いて「付き合ってくれませんか」と言った。声がうわずっていて、耳の先が赤くなっていた。
「うん」と答えた。嬉しかった。はずだった。
でも翌朝ベッドの中で、最初に浮かんだのは「本当にこの人でいいのか」だった。出会って1ヶ月で付き合うって、早すぎないか。3回しか会ってないのに。プロフィールと実物のギャップはないか。私が見ているのは、彼の本当の姿なのか。
友達に報告したとき、「出会いは?」と聞かれて「アプリで」と答えた瞬間、一瞬の沈黙があった。「へぇ、今って多いよね」。悪気はないのはわかっている。でもその「へぇ」の温度に、喉の奥がつまった。
付き合って1ヶ月目——「もっといい人がいるかも」
最初の1ヶ月は楽しかった。毎週末会って、二子玉川のショッピングモールを歩いたり、彼の家でNetflixを観たり。彼は穏やかで、怒らなくて、LINEの返信も早い。理想的な彼氏だと思った。頭では。
でも平日の夜、1人でベッドに入ると考え始める。
アプリにはあと何千人もの男性がいた。「いいね」を押せばまだ出会える。もっと話が面白い人、もっと顔が好みの人、もっと年収が高い人。選択肢を閉じたことへの不安が、暗い天井を見つめるたびにじわじわと広がった。
Pairsをアンインストールできなかった。開きはしない。でも消せない。ホーム画面の3ページ目に、アイコンだけが残っていた。
彼の前では普通にしていた。笑って、手をつないで、「楽しいね」と言った。帰り道に1人になると、自分の薄情さに吐き気がした。こんなに優しい人の隣にいて、まだ他の可能性を考えている。手のひらに爪が食い込むくらい、拳を握った。
2ヶ月目——彼の「普通」が見え始めた
2ヶ月目になると、最初のドキドキが落ち着いてくる。
彼のクセが見えてきた。食事中にスマホを触ること。店員さんへの態度が少し素っ気ないこと。デート中に仕事の電話に出ること。どれも致命的じゃない。でも「アプリで出会った」という出発点が、すべてを拡大鏡にかけた。
「自然な出会いだったら、こんなに気にしないのかも」。そう思った夜、下北沢のバーでカウンターに座って、1人でハイボールを飲んだ。隣の席のカップルが楽しそうに笑っていて、「この2人はどうやって出会ったんだろう」と考えた。
アプリで出会ったことが引け目になっていた。「選んだ」という能動的な行為が、「運命」じゃない気がして。偶然じゃなくて、検索条件で絞り込んだ結果の出会い。それって恋愛として正しいのか。グラスの結露が指を伝って、テーブルに小さな水溜まりができた。
覚悟を決めた、3ヶ月目の日曜日
3ヶ月目のある日曜日。彼の家で昼寝をしていた。
目が覚めたら、彼がソファで本を読んでいた。村上春樹の『海辺のカフカ』。私が先月「好きだ」と言った本。
「……それ、読んでるの?」
「うん。○○が好きって言ってたから、読んでみようと思って」
それだけのことだった。でも心臓がどくんと鳴って、目頭が熱くなった。
彼は「もっといい人」じゃないかもしれない。年収がもっと高い人も、顔がもっと好みの人も、世の中にはいるだろう。でもこの人は、私が好きだと言った本を、黙って読んでいる。日曜の午後に。私が寝ている隣で。
帰り道、電車の中でPairsをアンインストールした。指が少し震えた。「削除しますか?」の確認画面で、3秒くらい止まった。
消した。
スマホの画面が一瞬軽くなった気がした。アプリのアイコンがあった場所に、何もない空白ができた。その空白を見て、深く息を吐いた。
「もっといい人がいるかも」は、多分ずっと消えない。でもそれは、目の前の人を選ばない理由にはならない。
出会い方は関係ない。選んだあとに選び続けることだけが、本物だった。
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。