恋のアーカイブ
恋愛体験談エッセイwith

先に立ち直ったのは私の方だった夜。後悔しなかった話

12月に別れた。3月に彼から「元気?」が届いた頃、私はもう別の映画を観ていた。Pairsで出会って1年半、先に立ち直ったのは私の方だった。その距離感が、ちょうどよかったと思う。

29歳・女性の体験
·橘みあ·5分で読める

正直に言う。12月に別れたのに、先に立ち直ったのは私の方だった。


下北沢の居酒屋で、お互い静かに話して、「続けるのは難しい」という結論になった。怒鳴り合いもなかった。涙もなかった。2年間付き合って、最後の夜は割と穏やかだった。それがかえって、後になってじわじわきた。


アプリで出会った彼とは、2年間、良いことも悪いこともあった。でも「別れよう」という言葉はお互い予想していたのかもしれない。だから最後が静かだったのかもしれない。


居酒屋を出て、下北沢の夜の通りを一人で歩いた。


泣くかと思ったら、泣かなかった。


電車に乗って、座って、窓の外を見ていたら、急に視界がぼやけた。泣いていた。理由はよくわからなかった。悲しいとも、寂しいとも、少し違う感覚で、ただ涙が出た。思い出ではなくて、2年間という時間の重さが、全部一度に出てきたのかもしれない。


---


1月は一人で過ごした。泣いたのは電車の中だけだった


1月は一人だった。


友人と会って、映画を観て、本を読んで、仕事をした。特別しんどいわけじゃなかった。彼のことを考えると、少し胸が重くなった。でも一日中考えているわけでもなかった。時間が均一に流れていく感じ。


「大丈夫?」と友人に聞かれると、「大丈夫です」と答えた。嘘じゃなかった。嘘でもなかった。どちらでもある、という感じ。


下北沢に行くたびに、あの居酒屋の前を通りたくなかった。でも通っても何も感じなくなるまで、そんなに時間はかからなかった。


---


2月にTinderを入れた。


特に目的があったわけじゃなかった。「また始めてみようか」という程度の気持ち。写真を撮って、プロフィールを書いて、スワイプを始めた。


いくつかマッチングして、いくつかメッセージした。そのうちの一人——ゆき——と映画の話で盛り上がった。「渋谷TOHOで観たい映画あるんですが」と言ったら「同じの観たかった、一緒に行きませんか」と来た。


---


2月の末、渋谷のTOHOシネマズで映画を観た。


2時間の映画が終わって、ロビーで感想を話した。「あのシーン、どう思いましたか」「好きでした、でもその前の展開が気になって」「わかります、私も」。映画の後に話せる人は、いい人だと思っている。


ショッピングモールのカフェでコーヒーを飲んで、3時間話した。映画の話だけじゃなくて、仕事の話、好きな食べ物の話、子供の頃の話。帰り道、「また行きましょう」と言った。言えた。


電車で帰りながら、「楽しかった」と思っていた。12月の居酒屋から2ヶ月半。楽しいと思えるようになっていた。


---


3月、元彼から「元気?」というLINEが来た


3月、元彼から「元気?」というLINEが来た。


11時17分。


既読をつけて、「元気だよ」と返した。「そっちは?」と来たから「元気です」と来た。「最近何してる?」「普通に。映画とか」「へえ」「うん」。そこで会話が止まった。お互い、特にそれ以上続けようとしなかった。


---


返信しながら、気づいた。


「元気?」という連絡をした理由は、たぶん、立ち直れていないからだと思った。元気かどうか確認したくなるのは、まだ気にしているからだ。


私はもう、別の映画を観ていた。それだけのことだった。


---


立ち直りの速さは、愛した深さと比例しない。


先に動き出した方が薄情なわけでも、後に残った方が深く愛していたわけでもない。ただタイミングが違う、それだけだ。


12月に泣いた電車の中のことを、今でも時々思い出す。でも思い出せるということは、もう痛くないということだ。


先に立ち直った自分を、責めなくていい。


「元気?」に「元気だよ」と返せた自分が、一番の答えだった。強がりじゃなくて、本当に元気だったから。


回復の速さは測れない。でも、新しい映画を楽しめたとき、立ち直っていることに気づく。


ゆきとは、3月にもう一度映画を観に行った。2回目のデートで、「また来ましょう」が実行された。渋谷から歩いて、恵比寿のカフェで話した。「最近どうですか」「普通に良いです、あなたは」「私も」。その「私も」が、自然に出てきた。


12月に下北沢で別れた夜のことを、その日の帰り道に少し思い出した。泣いた電車の記憶。でも思い出せるということは、もう遠い場所になっているということだ。


元彼の「元気?」から2週間後に、ゆきと映画を観ていた。回復の速さを測る方法はないけど、楽しいと思えることが、一番の答えだった。


先に立ち直ったのは、私の方だった。それでいい。


先に立ち直ったことを、誰かに責められる必要はない。立ち直ることは、前の恋を大事にしながら、前に進むということだ。12月の涙も、3月の映画も、どちらも本物だった。


ゆきとは今でも月に一度映画を観に行く。回復は、ゆっくりで、静かで、そして確かだった。立ち直ることは、忘れることじゃない。前の恋を胸に収めながら、今日を生きることだ。

よくある質問

withで出会った彼とはどこで別れましたか?
下北沢の居酒屋でした。怒鳴り合いもなく涙もなく、お互い静かに話して「続けるのは難しい」という結論になりました。2年間の付き合いの最後が穏やかだったこと自体が後でじわじわきたといいます。
別れた後、元彼から「元気?」が来たのはいつでしたか?
12月に別れて、3月にLINEが来ました。その頃には話者はすでに別の映画を観ていた、とexcerptに書かれています。
先に立ち直れた理由は何だと思いますか?
記事では明確な理由は語られず「先に立ち直ったのは私の方だった」という事実だけが描かれています。2年間付き合った末の別れから3ヶ月で元気になっていた理由は、本文に詳しく書かれています。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

#with#別れた後#立ち直り#非対称#新しい恋
このテーマを読む:失恋・別れ体験談

この記事が刺さったら、シェアしてください

あなたへのおすすめ

with」に興味があるあなたへ

3回目のデートの翌朝、LINEが来なかった
恋愛体験談

3回目のデートの翌朝、LINEが来なかった

withで出会って3回デートして、「また会いたい」と言って別れた翌朝からLINEが来なくなった。ゴーストの後に何をしたか、正直に書く。

femalewith|26
4
3回目で彼の部屋に行った夜。翌朝、付き合おうって言われたのに答えられなかった
恋愛体験談

3回目で彼の部屋に行った夜。翌朝、付き合おうって言われたのに答えられなかった

withで出会って3回目のデートの夜、彼の部屋に行った。翌朝、目玉焼きを2枚作ってくれた彼に「付き合ってほしい」と言われた。嫌じゃなかった。でも「はい」とすぐに言えなかった。なぜ言えなかったのか、3日後にようやくわかった。

女性with|27歳
6
withの心理テストを全部やった夜、後悔した96%と72%の話
恋愛体験談

withの心理テストを全部やった夜、後悔した96%と72%の話

withの心理テストを全部やり切った。相性96%の人とは2回目のデートで沈黙し、相性72%の人とは下北沢のカレー屋で3時間話し込んだ。数字が教えてくれることと、教えてくれないことの話。

女性with|26歳
6
好きだけど何かが引っかかった夜。後悔しないために違和感を無視しなかった
恋愛体験談

好きだけど何かが引っかかった夜。後悔しないために違和感を無視しなかった

withで出会った人との初デート。楽しかった。笑った。でも帰り道、胸の奥に小さな引っかかりがあった。言語化できない違和感。それを無視せずに行動した結果と、直感が正しかった話。

女性with|27
8
発達特性がある私が、初デートで一番困ったこと
恋愛体験談

発達特性がある私が、初デートで一番困ったこと

ASD傾向がある26歳男性。withで出会った人との初デートで、目を合わせるのが苦手、カフェの環境音がつらい、沈黙が怖い。でも工夫次第で乗り越えられることもあった。

男性with|26歳
7
withの登録画面で30分固まった夜。「年収」の欄で手が止まった
恋愛体験談

withの登録画面で30分固まった夜。「年収」の欄で手が止まった

プロフィール作りがめんどくさい、メッセージがめんどくさい、デートの調整がめんどくさい。3回やめかけたwithを続けていたら、ある日「この人だ」が来た。面倒の先にしか出会えない人がいた話。

with
5

恋愛体験談」はまだ 298 本あります

次の記事

「好きな音楽は?」と聞いた夜、後悔しなかった話