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恋愛体験談エッセイwith

withの心理テストを全部やった。96%の人と合わないのに、72%の人と付き合えた

withの心理テストを全部やり切った。相性96%の人とは2回目のデートで沈黙し、相性72%の人とは下北沢のカレー屋で3時間話し込んだ。数字が教えてくれることと、教えてくれないことの話。

26歳・女性の体験
·橘みあ·6分で読める

全部やった。ほんとに全部。


withの心理テスト、更新されるたびにやった。恋愛タイプ診断、価値観診断、コミュニケーション診断。新しいのが出るとその日のうちにやって、結果をスクショして、「私ってこういうタイプなんだ」と一人で納得するのが習慣になっていた。


始めたきっかけは単純で、withの売りが「心理テストで相性がわかる」だったから。感覚で選ぶより、データで選んだ方が失敗しない。26歳の私は本気でそう思っていた。


相性96%。会ったら、静かだった


最初に会ったのは、相性スコア96%の人だった。コミュニケーションタイプが同じで、恋愛の価値観も一致していて、プロフィールの趣味欄まで3つ被っていた。「この人だ」と思った。


1回目のデートは表参道のカフェ。穏やかな人だった。声が小さくて、相槌が丁寧で、話の途中で「わかります」と何度も言ってくれた。居心地は悪くなかった。でも、心臓がドクンともいわなかった。


2回目は渋谷でランチ。パスタを食べながら話していたんだけど、30分くらいで話題が尽きた。お互い「わかる」が多すぎて、「え、そうなの?」という瞬間がなかった。驚きがない。摩擦がない。


相性96%の正体は「似すぎていること」だった。


二人で同じものを見て、同じ感想を持って、同じタイミングで頷く。安心はするけど、会話が転がらない。沈黙が「心地よい沈黙」じゃなくて「次の話題を探している沈黙」だった。


2回目のデートの帰り道、渋谷のスクランブル交差点を渡りながら思った。「96%って、何の96%だったんだろう」


相性72%。下北沢で3時間


スコアを気にせずにマッチした人がいた。相性72%。高くはない。プロフィールの「最近ハマっていること」に「古い映画の予告編をYouTubeで見ること」と書いてあって、意味がわからなくて「なんでですか?」と送ったのが最初。


「本編を見る時間がないから。でも予告編って2分でその映画の空気がわかるんですよ」


なるほど、と思った。思わなかった。いや、面白いな、と思った。自分にはない発想だった。


下北沢のカレー屋で会った。古い民家を改装した店で、カウンターに並んで座った。開始5分で、話が予告編から脱線して、「映画の好きなシーンを説明するの難しくないですか」という話になって、そこから「感覚を言葉にするのが苦手な話」になって、気づいたら3時間経っていた。カレーはとっくに冷めていた。


喉が渇いていた。水を3杯おかわりした。でも話を止めたくなかった。


「え、そういう考え方するんですか」が何回もあった。96%の人とのデートで一度もなかった感覚だった。違うから聞きたくなる。違うから話が転がる。72%のその「28%の違い」が、全部会話のきっかけになっていた。


スコアが教えてくれないこと


72%の彼と3回目のデートで吉祥寺の井の頭公園を歩いた。ボートに乗ろうとしたら「カップルで乗ると別れるって言いますよね」と彼が言って、「信じるタイプですか」と聞いたら「いや全然。でも言ってみたかっただけ」と笑った。


手のひらが汗ばんでいた。3月の風はまだ冷たいのに。


付き合い始めたのは、4回目のデートの帰りだった。中目黒の駅の改札前で、彼が「あの、これからもこういう時間がほしいんですけど」と言った。不器用すぎて、一瞬何を言っているのかわからなかった。「付き合いたいってことですか」と聞き返したら、「はい、そうです、すみません」と頭を下げた。


告白されて「すみません」って言う人、初めて見た。胸の奥がじわっと熱くなった。


心理テストは間違ってなかった。でも


withの心理テストが間違っていたとは思わない。96%の人との「似ている安心感」は、テストが正確に測っていたものだと思う。ただ、恋愛に必要なのは安心感だけじゃなかった。


「え、なにそれ」と思える瞬間。自分にない視点を持っている人への好奇心。違いが怖くなくて、むしろ面白いと思える相手。


それは心理テストの数字には出てこない。出てこないけど、下北沢のカレー屋で3時間話したあの感覚に、全部詰まっていた。


96%の彼とは、2回目のデートの帰り道に「また連絡しますね」と言って、お互い連絡しなかった。メッセージを開くたびに「何を書けばいいんだろう」と思って、結局そのまま。似ているのに、いや似ているからこそ、会話の起点が見つからなかった。


72%の彼とは、デートの帰り道にすでに次の約束をしていた。「今度は新宿の映画館で、予告編だけ見て帰りませんか」と言われて、「何それ、面白い」と笑った。そういう突拍子のない提案が、この人から出てくる。心臓がドクンと鳴ったのは、スコアを確認したときじゃなく、あの瞬間だった。


今も彼とは付き合っている。相性スコアは72%のまま。テストを受け直したらもっと下がるかもしれない。


正直、数字にこだわっていた3ヶ月間は何だったんだろうと思う。でもあの3ヶ月があったから「96%でも合わないことがある」と学べた。回り道だったのか、必要な道だったのか。たぶん後者だけど、確信はない。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

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