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恋愛体験談Tinder

気づいたら1駅乗り過ごしていて、彼の肩が温かかった

4回目のデートで飲みすぎた。帰りの中央線で気づいたら彼の肩に乗っかって眠っていた。起こしてくれなかった。1駅過ぎた荻窪で目が覚めた。

27歳・女性の体験
·橘みあ·4分で読める

4回目のデートで、飲みすぎた。


Tinderで知り合って、これまでは昼に会っていたのに、「夜から始める感じでどうですか」と言われて新宿に行った。11月の夜、西新宿の路地の居酒屋だった。「気軽な感じの店知ってるので」と言われて行ったら、カウンターだけの焼き鳥屋で、煙がもうもうとしていて、店主が一人で切り盛りしていた。1軒目の時点でハイボールを3杯飲んだ。2軒目はバーだった。店が暗くて、テーブルにキャンドルが置いてあって、なんか雰囲気が急に変わって、それでまた飲んでしまった。ウイスキーのソーダ割り。何杯飲んだかは覚えていない。


西新宿の居酒屋を出たのが23時半くらいだった気がする。外に出たら急激に酔いが回って、歩道で少し立ち止まった。高層ビルの明かりが滲んで見えた。11月の冷たい空気が頬に当たって、少し頭が覚めた気がしたけど、覚めてなかった。


「大丈夫ですか」


「……だいじょうぶです、たぶん」


「笑 たぶんって言う人は大丈夫じゃない」


電車に乗った。中央線。私は吉祥寺で降りる。彼は三鷹まで同じ方向だった。ラッキーなのかアンラッキーなのかよくわからなかった。酔っている自分を家まで届けてもらえるという安心感と、こんな状態を見せている恥ずかしさが、同時にあった。


席に座った瞬間に、体が重くなった。目が、開けているのがちょっとしんどくなってきた。隣に彼がいる気配はあった。スマホをいじっている気配。でも。


次に気づいたのは、ドアが開く音だった。


「……荻窪」


アナウンス。


(あれ、吉祥寺は?)


顔を上げた。頭が、何かからゆっくり離れた。


彼の肩だった。


「あっ」


「起きた」


「す、すみません……!乗り過ごした……?」


「1駅だけ」


彼は普通の顔をしていた。「寝てたから起こさなかった」とだけ言って、スマホを見た。顔が熱かった。耳まで熱かった。酒のせいか、恥ずかしさのせいか、わからなかった。たぶん両方。


「なんで起こしてくれなかったんですか」


「気持ちよさそうだったんで」


「……」


「笑 冗談です。でもまあ、1駅くらいなら」


荻窪で降りて、折り返しの電車を待った。夜中0時すぎのホームは人が少なくて、缶コーヒーの自販機の明かりだけがやたら明るかった。11月の夜、ホームに吹き込んでくる風が冷たかった。少し震えが来て、コートの前を合わせた。


「恥ずかしい」


ぽつりと言ったら、


「普通に可愛かったですけど」


と言われた。


脚の力が少し抜けた。笑っていいのかわからなくて、「……やめてください」とだけ言った。でも口元が少し動いていた。やめてください、って言いながら、少し笑ってしまった。


「なんか笑ってますよ、それ」


「笑ってないです」


「笑ってる」


「……笑ってるかもしれないですけど」


「どっちなんですか」


そのやりとりが続いているうちに、折り返しの電車が来た。吉祥寺まで1駅。短すぎる。乗り換えて、改札を出て、「気をつけて帰ってください」と彼が言った。


「はい。……ありがとう、ございました」


なんか敬語になった。お礼を言う場面でいつも敬語に戻ってしまう癖がある。でも彼は「ご丁寧にどうも」と言って、少し笑った。


帰り道、11月の夜風が少し冷たかった。肩のあたりに、まだ温度が残っている気がした。SHIROのサボンみたいな、少し甘い匂いがかすかにした。彼の服の匂いだったんだと思う。寝てる間、ずっと嗅いでいた匂い。


帰ってスマホを見たら、LINEが来ていた。


「無事に帰れましたか」


「帰れました。本当にすみませんでした」


「笑 また飲みましょう」


「次は飲みすぎないようにします」


「飲んでいいですよ別に」


「起こしてください次は」


「また寝たら起こさないかもしれません」


「なんでですか」


「可愛いので」


スマホを握ったまま、しばらく動けなかった。脚の力が抜けるやつ、またきた。荻窪のホームで感じたのと同じやつ。


「それはずるい」と返したら、「わかってます」とだけ来た。


1駅乗り過ごした夜が、いちばん距離が縮まった夜だった。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

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