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身長165cmで諦めかけた夜。後悔しないで彼女を作った話

「身長は?」マッチング直後に聞かれた瞬間、スマホを置いた。165cm。書いていたのに、聞いてくる。その絶望感は、背が低い男にしかわからない。でも6ヶ月後、今の彼女は「身長なんて気にしてなかった」と言った。変えたのは身長じゃなかった。

30・男性の体験
·橘みあ·7分で読める

正直に言う。3ヶ月で諦めかけたのに、続けたら彼女ができた。


登録したのはペアーズ。30歳、メーカー勤務、身長165cm。165cmを書くか書かないか、3日迷った。書かなければ最初は傷つかなくて済む。でも結局、会った時にわかる。それなら最初から書こうと、正直に入力した。


最初の1ヶ月、マッチング数は週2〜3件。少ないとは思わなかった。でもメッセージを続けていくうちに、ある言葉が毎回来るようになった。


「ちなみに身長ってどのくらいですか?」


プロフィールに書いてある。それでも聞いてくる。一番最初にそれを聞かれた時、スマホを裏返しにして10分くらい放置した。返信したくなかった。「165cmです」と返したら、それきり返信が来なかった。スマホを置いて、天井を見た。


「身長175cm以上」の壁と向き合った日


ペアーズには、検索条件で身長を絞る機能がある。「175cm以上希望」と書いているプロフィールも珍しくない。初めてそれを見た夜、渋谷のコンビニで缶チューハイを買って、アパートに帰ってそのまま飲んだ。


「どうせ弾かれてる」


その思いが頭を占領し始めると、プロフィール写真を眺めても「無駄だろうな」と思うようになっていた。いいねを押す手が止まる。どうせ条件外だ。そう思った瞬間から、行動量が落ちた。1日あたりのいいね数が、20件から5件に減っていた。


2ヶ月目に入ったある夜、友人(身長171cm)に「マッチングアプリ調子どう」と聞かれた。「まあまあ」と答えながら、内心は全然まあまあじゃなかった。「身長で弾かれてる気がする」と言うと、彼は一瞬黙ってから「プロフィール見せてよ」と言った。


見せたら笑われた。優しい笑いじゃなく、「これはあかんわ」の笑いだった。


「自己紹介文、身長以外に何も書いてないやん。趣味って書いてあるだけで、何を書けばいいかわかんない文章になってるぞ」


趣味の欄には「料理、散歩、ポッドキャスト」と3単語だけ書いていた。仕事は「メーカー勤務」。週末の過ごし方は「のんびりしています」。読んでも、この人がどんな人かまったくわからない文章だった。友人は「身長が低くても、これで出会えた人がいたとしたら奇跡だよ」と言った。正論すぎて反論できなかった。


変えたのは身長じゃなく、文章の「密度」だった


友人に言われた夜から、プロフィールを全部書き直した。


身長は書いたまま。隠すつもりはなかった。でも身長の前後に、自分の話を詰め込んだ。


「趣味:料理(週末に一人で煮込み料理を作るのが楽しくて、土曜の朝から仕込みます。先週はポトフを4時間煮ました)」。具体的にした。「週末の過ごし方:新宿御苑を散歩しながらポッドキャストを聞いています。最近のお気に入りはゆる言語学ラジオ。気づいたら2時間歩いてることがある」。行動まで書いた。「仕事:メーカーで製品の品質管理をしています。地味に見えますが、毎日小さなパズルを解いてる感覚で意外と好きです」。自虐と愛着を混ぜた。「自分のことをひとことで言うと:背は低いけど、料理は得意です」という一文も入れた。コンプレックスをネタにした。


結果、マッチング数は変わらなかった。週2〜3件から変わらなかった。でも、来るメッセージの質が変わった。「プロフィール読んで、料理するんですね」「ゆる言語学ラジオ私も聞いてます、ゼミ回が面白くないですか」。身長についてではなく、書いた内容について話しかけてもらえるようになった。


それだけで、最初の返信の緊張感が変わった。身長の話じゃなく、自分の話から始まる会話。「165cmです」で終わる会話ではなく、「ポトフ、どんなレシピで作るんですか」から始まる会話。


「初めて会う」ハードルをどう越えたか


プロフィールを書き直してから2ヶ月、実際に会った人の数は8人になった。そのうち「また会いたい」と思えた人は3人。3人のうちの1人が今の彼女だ。


彼女と初めてメッセージをしたのは、私が「ゆる言語学ラジオ」について書いたプロフィールを見て、「私も聞いてます」と来たのがきっかけだった。ポッドキャストの話で1週間やりとりして、「一度お茶でも」という話になった。


待ち合わせは三軒茶屋の小さなカフェ。平日の19時半。彼女は私より先に来ていて、ラジオのイヤホンを片方だけ外したまま待っていた。「ゆる言語学ラジオ聞いてたんですか」と聞いたら、「移動中だったので」と言って笑った。その笑い方が、自然だった。


2時間話して、帰り際に「楽しかったです」と言ったら、「私も」と返ってきた。


「身長って気にしてた?」と彼女に聞いた夜


6ヶ月後に付き合い始めた彼女と、3回目のデートの夜、自由が丘の小さなワインバーで聞いた。


「最初、身長気にしなかった?」


彼女はグラスを傾けながら、少し考えてから言った。「うーん、プロフィールに書いてあったから知ってたけど、それより料理するって書いてたのが気になって。私料理全然できないから」


喉の奥が少し詰まった。そんな単純な理由だったのか。


彼女はもとから身長を最優先にしていなかった。「175cm以上」を条件にしていない人が、確かにいた。私は勝手に、全員が身長で判断していると思い込んでいただけだった。


「ちなみに何cm条件にしてた?」と聞くと、「設定してなかった」と言われた。条件設定もしていなかった。


マッチングアプリで身長を気にする女性は確かにいる。でも気にしない女性も、同じくらいいる。気にしない人に届かなかったのは、私のプロフィールが薄すぎて、そもそも読まれていなかったからだ。


身長が低いことに変わりはない。でも、それより先に読まれるものを作れれば、身長の話になる前に「この人に会ってみたい」が生まれる。


今は165cmのまま、並んで歩いている。彼女は160cmで、ちょうどいいと言う。信じられなかったが、信じることにした。


身長コンプレックスと向き合った先にあったもの


6ヶ月間を振り返ると、一番しんどかったのは身長を気にしていた3ヶ月目だった。行動量が落ちて、アプリを開くことが義務になっていた。「どうせ弾かれる」という思い込みが、行動を止めた。


思い込みを壊してくれたのは、友人の一言だった。「プロフィールを見れば誰でもわかるけど、お前のプロフィールは身長しか情報がない」。身長を気にしていた自分が、実は身長しか書いていなかった。コンプレックスが焦点になりすぎて、他の自分が見えなくなっていた。


身長は変えられない。でも、プロフィールは変えられる。週末に4時間煮込んだポトフ、ゆる言語学ラジオの話、品質管理という地味で好きな仕事。それが私だった。165cmと同時に、それが私だった。どちらかだけじゃなく、全部が自分だと気づいた時、プロフィールを書くことが少し楽になった。


コンプレックスは、なくならない。でも、コンプレックス以外の自分を丁寧に書けば、コンプレックスは「情報のひとつ」に変わる。それが、6ヶ月で学んだいちばん大事なことだった。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

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