「Pairsで出会いました」——その一言が言えるまでの話
結婚が決まった。Pairsで出会った彼と。嬉しいのに、「どこで出会ったの?」が怖い。親に、職場に、友人に——それぞれ違う答え方を準備して、結局全部捨てた話。婚姻届に二人で名前を書いた夜、彼が言った。
婚姻届に二人で名前を書いた夜、彼が言った。
失敗から見えたこと
「明日から聞かれるよ。どこで出会ったのって」
——わかってる。わかってるけど、胃がきゅっとなった。
Pairsでマッチしたのは2年前。交際1年半を経て、プロポーズされたのは銀座の寿司屋。カウンターで並んで座って、大将が「お決まりですか」って聞いた時に、彼がポケットから小さな箱を出した。大将が「あ、こっちが先か」って笑った。隣のお客さんが拍手してくれた。中トロの味は覚えていないけど、彼の手が震えてたのは覚えてる。
幸せだった。本当に。でも、その幸せに一つだけ影がある。「マッチングアプリで出会いました」を人に言えない自分がいた。
結婚報告は3つの壁がある。親、職場、友人。それぞれ対策を練って、結局全部捨てた話をする。
【壁1:親への報告】
うちの両親は静岡の出身で、父は「出会い系」と「マッチングアプリ」の区別がつかない世代。母は理解がある方だけど、親戚の集まりで「Pairsで」と言えるかどうか。伯母の顔が浮かんだ。「え、出会い系?」って絶対言う。
年末、実家に帰って、リビングのこたつに入りながら切り出した。みかんの皮を剥きながら。
「結婚するんだけど」
母が泣いた。父が「そうか」と言った。テレビでは箱根駅伝の予選会をやっていた。みかんの匂いと、こたつの熱と、母の涙。
変えたこと・試したこと
そして来た、あの質問。
「相手の方とは、どこで?」
一瞬、「友達の紹介で」が喉まで出かけた。舌の上にその言葉が乗った感覚がある。でも、結婚するのに嘘から始めるのは違うと思った。彼と一緒に決めた。「正直に言おう」って。
「マッチングアプリ。Pairsっていうやつ」
父の眉が少し動いた。テレビの実況が「先頭集団が折り返し地点を通過!」と叫んでいた。母が「あら、今はそうなのね」と言った。父は10秒くらい黙って、みかんを一房口に入れてから、「ちゃんとした人か?」と聞いた。「ちゃんとしてるよ。銀座の寿司屋でプロポーズしてくれた」と答えたら、「ならいい」と言った。
拍子抜けするくらいあっさりだった。身構えていた分、力が抜けた。こたつの中で足が伸びた。
ポイントは、アプリの名前より「相手がどんな人か」を先に伝えること。仕事のこと、人柄のこと、一緒にいて楽しいこと。出会いの手段より、相手の中身に話を持っていく。親が知りたいのは「どこで」じゃなくて「どんな人と」だった。伯母にも正月に伝えたけど、「へえ、今はペアーズっていうのがあるのね」で終わった。「出会い系」とは言わなかった。
【壁2:職場への報告】
職場は正直、一番面倒だった。上司に報告するフォーマルな場で「Pairs」って言葉が浮くんじゃないかって心配した。うちの部長は50代で、マッチングアプリが何か知らない可能性もある。
結論から言うと、職場では「知人の紹介で」と言った。嘘じゃないかと言われると……グレーゾーン。Pairsが紹介してくれた、と解釈すれば嘘じゃない。いや、嘘か。でも、職場は詳細を求めてこない。「おめでとうございます」「結婚式はいつですか」で終わる。部長が「いい人見つかってよかったな」って言ってくれて、それ以上は聞かれなかった。
深掘りしてくる同僚には個別に「アプリだよ」と伝えた。「えー、マジ! 私もやってるんだけどさ」って反応が多くて、むしろ情報交換になった。隣の課のアヤさんが「どのアプリ? 教えて」って目を輝かせてきた。
今だから言えること
使い分けていいと思う。結婚式のスピーチで「Pairsでマッチしまして」と言う必要はない。場面に応じた情報量のコントロールは嘘じゃなくて、大人のコミュニケーション。
【壁3:友人への報告】
友人への報告が一番ラクだった。というか、友人の反応で自分の考え方が変わった。
「えー! アプリ婚じゃん!」
「私もアプリで出会ったよ」
「Pairs率高くない? うちの周り」
「私Omiaiだけど、Pairsの方がよかったかなー」
高円寺の居酒屋で報告した時、4人中3人が「自分もアプリ経験者」だった。もう一人は「来週登録する」って言ってた。レモンサワーで乾杯しながら、馴れ初めの話で2時間盛り上がった。隠す必要、なかった。
30代前後の友人グループでは、アプリでの出会いはもう「普通」を超えて「主流」になりつつある。隠す方がむしろ不自然。「え、アプリじゃないの? 逆にどこで出会ったの?」って聞かれる時代。
3つの壁を超えて、気づいたことがある。
「馴れ初めを聞く人は、答えにそこまで興味がない」ということ。聞く側は会話の流れで聞いているだけで、答えの内容を翌日まで覚えている人はほとんどいない。こっちが身構えすぎていた。「Pairsで」と答えた瞬間に世界が崩壊するような妄想をしていたけど、実際は「へー」で終わる。
結婚式のプロフィールムービーにはこう書いた。「Pairsで出会いました。右スワイプしてくれた妻に感謝」。会場は笑いに包まれた。おじさんたちは「右スワイプって何?」ってざわついてたけど、若い世代はみんな笑ってた。笑いは最高の潤滑油で、アプリ婚への偏見を溶かす力がある。
スピーチでは友人代表のアヤが「二人の出会いはPairsです。私も同じアプリ使ってるんですけど、全然出会えません。コツ教えてください」って言って会場が爆笑した。終わった後、親戚のおばさんが「ペアーズって何? 私も登録できるの?」って聞いてきた。68歳のおばさんに。時代は変わった。あと、彼の会社の後輩が「僕もPairs始めます」って宣言してた。結婚式がアプリの宣伝会場になってた。
最初に用意した3パターンの答え方は、結局ほぼ使わなかった。台本を覚えるよりも、後ろめたさを手放す方がずっと楽だった。大事なのは「何と答えるか」じゃなくて「後ろめたさを手放すこと」だった。自分が恥ずかしいと思っていると、相手にもその空気が伝わる。堂々としていれば、相手も「ふーん、そうなんだ」で終わる。
どこで出会ったかより、どう愛したかの方がずっと大事。
よくある質問
マッチングアプリで結婚した時に馴れ初めをどう説明すればいいですか?↓
親にマッチングアプリで出会ったと言ったら反対されるものですか?↓
結婚式でマッチングアプリの馴れ初めを公表しても大丈夫ですか?↓
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。
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