33歳でゼクシィ縁結びを始めた夜、後悔した話
Pairsで2年「いつかは」と言う男性に疲れた33歳。ゼクシィ縁結びで「結婚意欲度」を選んだ瞬間、背筋が伸びた。曖昧さが消えた先にあったもの。「いつかは」が永遠に来ない気がした。
「いつかは」が来ないのに、33歳で始めた。
33歳、メーカーの営業事務。Pairsで2年間、合計8人と会った。好きになった人もいた。でも「結婚」という言葉を出すと、必ず空気が変わった。
「まあ、いつかはね」——3人目の彼がそう言ったのは、中目黒の目黒川沿いを歩いているときだった。夜桜がライトアップされていて、川面に花びらが浮いていて。こんなに綺麗な景色の中で、喉の奥がきゅっと詰まった。
「いつか」って、いつだよ。そう思ったけど、声に出せなかった。
「婚活」という言葉を、自分に使った日
12月の金曜日の夜。恵比寿のアトレで無印良品のアロマを買った帰り、自宅のソファに座ってゼクシィ縁結びをダウンロードした。
スマホの画面に「ゼクシィ」のロゴが表示されたとき、心臓がどくんと大きく鳴った。——私、「婚活」してるんだ。
Pairsは「出会い」だった。でもゼクシィ縁結びは、名前からして「結婚」だった。そこに自分の写真と名前を登録するということは、「私は結婚相手を探しています」と宣言すること。手が、少し震えた。
プロフィールの3択——「いつかはしたい」を消した
登録中にぶつかった欄がある。「結婚に対する考え方」。3択だった。「1年以内に結婚したい」「2〜3年以内に結婚したい」「いつかはしたい」。
指が「いつかはしたい」の上で止まった。一番楽な選択肢。Pairsと同じテンションでいられる。でも、それだとゼクシィ縁結びを使う意味がない。
歯を噛み締めて「2〜3年以内」をタップした。決めた瞬間、少し背筋が伸びた。——覚悟、ってこういう感覚なのかもしれない。部屋に無印のアロマの匂いが広がっていた。
最初のメッセージ——曖昧さが通用しない場所
登録から2日後、最初のいいねが来た。34歳、IT系。メッセージにはこう書いてあった。「結婚意欲度、2〜3年以内にされてますが、もう少し早く考えている感じはありますか?」
思わず笑った。——開幕から率直すぎない?
でも、ゼクシィ縁結びはそういう場所だ。Pairsで半年かけて聞けなかったことが、1通目で来る。胸がどきどきしながら返信した。「少し早い方向で考えています」。手のひらに汗が滲んだけど、送った。
返信は3分で来た。「良かったです。私もです」。その4文字を見て、目の奥がじわっと熱くなった。——この人、逃げなかった。
4人に会った3ヶ月——表参道、代官山、恵比寿
1人目は表参道のフレンチ。35歳の建築士。「子供はどう考えてますか」と聞かれて身構えた。でもPairsのときみたいに空気が凍らなかった。サーモンのマリネを食べながら、ナイフを持つ手が緊張で力み過ぎて、「すごい真剣に切ってますね」と笑われた。自分も笑った。——婚活デートでも笑えるんだ。
2人目は代官山のカフェ。32歳のデザイナー。蔦屋書店の近くの、ツタが壁を覆っている店。SHIROのハンドクリームの匂いがほのかにする人で、「プロフィールの文章、ちゃんと書いてあったから惹かれました」と言ってくれた。
3人目は合わなかった。新宿で1時間話して、帰りの小田急線で窓に映る自分の顔を見た。「この人じゃない」とわかった。
4人目が、今も続いている人だった。
恵比寿、雨の夕方
4人目と最初に会ったのは、雨の恵比寿だった。駅の東口で待ち合わせて、傘をさして歩いた。アスファルトが濡れて街灯を反射していて、彼のネイビーのコートの肩に雨粒が光っていた。
「ゼクシィ縁結び、始めてどれくらいですか?」
「2ヶ月です。正直まだ慣れてなくて」
「僕も3ヶ月目です。でも慣れなくていいと思ってます」
イタリアンの店で白ワインを頼んだ。グラスに口をつけたとき、冷たいワインが喉を通って、ふっと肩の力が抜けた。2時間半話した。仕事のことも、家族のことも、失敗した恋愛のことも。「Pairsで2年迷走した話」をしたら、「僕はOmiaiで1年半迷走しました」と返してきた。
帰り道、雨は止んでいた。恵比寿ガーデンプレイスの光が遠くに見えて、冬の空気が鼻の奥にツンと沁みた。「また会いたいです」と彼が言ったとき、心臓がゆっくり、でも確実に速くなった。
3ヶ月で4人と会って、1人とまだ続いている。
「婚活をしている33歳の私」を初めて認めた日から、少しずつ楽になっている。曖昧な「いつか」を手放して、具体的な「2〜3年以内」を選んだ。それだけで、届くメッセージの温度が変わった。
「いつか」を待っていたのに、「いつまでに」を決めた。
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。