年齢で3回フィルターされた夜、後悔した30代の話
33歳でPairsを始めて、年齢フィルターで3回消された。渋谷のドトールで「もう遅いのかも」と思った夜、友達の一言で検索条件を変えた。2ヶ月後、デートの質が全然違った話。
正直に言う。3回フィルターされたのに、全部30代だった。
Pairsを始めて2週間。気になった相手にいいねを送ろうとしたら「お相手の希望する年齢範囲に含まれていません」と表示された。33歳の自分は、相手の検索条件の外にいた。
1回目は、まあそういうこともある、と思った。2回目で少し手が止まった。3回目、渋谷のドトールでスマホを持ったまま、コーヒーが冷めていくのをぼんやり見ていた。喉の奥に何かが詰まったような感覚。
——もう遅いのかもしれない。
その夜、iPhoneの画面を伏せて天井を見た。33歳。数字としてはたった2桁なのに、アプリの中ではフィルターひとつで存在ごと消される。
30代のマッチングアプリで「年齢不安」が生まれる構造
年齢の不安は、気持ちの問題じゃなくて、アプリの仕組みが作っている。
PairsでもOmiaiでも、検索条件に「年齢」がある。多くのユーザーが「25〜32歳」のように上限を設定する。33歳はその1歳外。たった1年の差で、検索結果から消える。
消されたことすら知らない。表示されないだけ。通知もない。ただ静かに、候補から外れている。
この構造を知ると、不安の正体がわかる。「自分に魅力がないから」じゃない。「検索範囲の外にいるから、見てもらえていない」だけ。でもアプリを使っているとき、その違いは見えない。だから「年齢のせいだ」「もう遅い」という感覚が、じわじわと内側から広がっていく。
「33歳だから妥協する」で行ったデートの末路
年齢フィルターに3回弾かれた後、私は条件を全部下げた。
年収も気にしない。身長も気にしない。趣味が合わなくてもいい。「33歳なんだから、選べる立場じゃない」と自分に言い聞かせた。
その状態で2人と会った。
1人目は中目黒のカフェ。相手は28歳で、話は噛み合わなかった。私が村上春樹の話をしたら「読まないっす」と返されて、沈黙が5秒続いた。カフェラテの泡を見つめながら、「でもこの人でいいのかも」と思おうとしていた。
2人目は新宿のイタリアン。32歳の営業職。パスタを食べながら「最近どこか行きました?」と聞かれて、「伊勢丹の地下で惣菜買いました」と答えたら微妙な顔をされた。帰りの小田急線で窓に映る自分の顔を見て、目が赤くなっていることに気づいた。
妥協して会うデートは、全部こうなった。「この人でいい」という気持ちで座っていると、それが空気に滲み出る。会話のテンポが噛み合わない。笑うタイミングがずれる。相手もそれを感じ取っている。言語化できなくても、「この人、あんまり楽しそうじゃないな」は伝わる。
友達の一言——「年齢を言い訳にしてない?」
3回目のデートが不発に終わった翌日、吉祥寺のスタバで友達の麻衣に愚痴った。
「33歳ってだけでフィルターされるんだよ。もう条件なんか言ってられない」
麻衣はフラペチーノのストローを噛みながら、眉をひそめた。
「……それ、年齢を言い訳にしてない?」
「言い訳じゃない、現実だよ」
「現実は現実だけどさ。『33歳だから妥協する』って、結局それで会った人と楽しかった?」
言葉が出なかった。スタバの店内BGMだけが聞こえた。
「楽しくなかったでしょ。妥協して会った相手に、本気で向き合えるわけないじゃん。年齢関係なく、自分が会いたい人に会いなよ。33歳の自分が『この人と話したい』と思う人にいいね送りなよ」
フラペチーノの氷がカラカラ鳴った。手のひらにじわっと汗が滲んだ。——そうかもしれない。
検索条件を変えた。「年齢」じゃなくて「感覚」で選ぶ
麻衣の言葉を聞いた夜、Pairsの検索設定を全部やり直した。
今まで:年収500万以上、身長170cm以上、30〜35歳。
変更後:プロフィール文に「映画」「読書」「カフェ」のいずれかが入っている人。年齢制限なし。
条件じゃなくて、「この人と2時間話せそうか」で選ぶことにした。プロフィールを1人ずつ読んで、文章の書き方や写真の雰囲気から「会ってみたい」と思えるかどうかだけを基準にした。
いいねの数は減った。1日10件送っていたのを3〜4件に。でも1件ずつ「この人のプロフィールのここが気になった」と思って送るいいねは、手の感覚が違う。右手の親指に、少しだけ体温が乗る感じ。
変えてから2ヶ月後——デートの質が変わった
最初にマッチングしたのは、35歳の出版社勤務。プロフィールに「休日は下北沢の古本屋を巡っています」と書いてあった。メッセージで「おすすめの古本屋ありますか?」と聞いたら、3軒教えてくれた。そのうち1軒が、私が好きな店だった。
恵比寿のカフェで会った。
「古本屋、本当に行くんですね」と言ったら、「行きますよ。先週、B&Bで米津玄師の対談イベントがあって、整理券もらえなくて外で立ち聞きしてました」と笑った。
笑った。声を出して笑った。カフェの隣のテーブルの人がちらっとこっちを見たくらい。
2時間半話した。帰り道、恵比寿駅の改札に向かって歩きながら、胸の奥がじわっとあたたかかった。「この人と話して楽しかった」。それだけ。条件とか年齢とか、1回も考えなかった。
2人目のマッチングは31歳のデザイナー。代官山の蔦屋書店で待ち合わせて、隣のカフェでラテを飲みながら「あいみょんの新曲聴きました?」から始まった会話は、気づいたら3時間経っていた。
30代のマッチングアプリで年齢不安を手放す具体的な方法
2ヶ月の経験で見えた、年齢不安への対処法を整理する。
① 「フィルターされる」ことを個人の否定と捉えない
年齢フィルターは相手の検索設定の話であって、自分の価値の話じゃない。32歳で切っている人は、33歳の存在を知らない。知らないだけ。
② 条件検索を減らして、プロフィール文で選ぶ
年齢・年収・身長で絞ると、「条件に合う人」は見つかるけど「話したい人」は見つかりにくい。プロフィールの文章を読んで、「この人の文章、好きだな」と思える相手にいいねする。
③ 「妥協」と「柔軟さ」は違う
妥協は「本当はイヤだけど仕方ない」。柔軟さは「こだわっていた条件を外してみたら、新しい出会いがあった」。この2つは似ているようで、デートに行ったときの空気が全然違う。
④ プロフィールに「年齢を引け目に思っていない」空気を出す
「33歳ですが」「もう30代ですが」という書き方は、読んだ相手に「この人は年齢を気にしている」と伝えてしまう。年齢は数字として書いてあるだけでいい。触れなくていい。
30代マッチングアプリの年齢不安に関するFAQ
Q. 30代でマッチングアプリを始めるのは遅いですか?
遅くない。Pairsの30代ユーザーは全体の約3割を占める。Omiaiやゼクシィ縁結びでは30代が中心層。「遅い」と感じるのはアプリの検索フィルターの仕組みが原因で、実際には30代の出会いの需要は高い。
Q. 年齢フィルターで弾かれるのを防ぐ方法はありますか?
年齢フィルター自体は相手の設定なので防ぎようがない。でも「検索にかかること」と「マッチングすること」は別の話。プロフィールの質(写真・文章)を上げることで、年齢で検索しない相手からのいいねが増える。条件検索ではなく「おすすめ」や「今日のピックアップ」から見つけてもらうルートを意識する。
あの渋谷のドトールから、2ヶ月後
年齢で3回フィルターされた夜、渋谷のドトールで「もう遅い」と思った。
2ヶ月後、同じドトールでアイスコーヒーを飲みながら、恵比寿で会った出版社の人からのLINEを読んでいた。「来週、下北沢の古本屋一緒に行きませんか」。
33歳は変わっていない。変わったのは、年齢を理由に自分の感覚を殺さなくなったこと。
「妥協して会う」から「会いたくて会う」に変えただけで、マッチングの数は減って、デートの温度は上がった。年齢フィルターの外にいる自分は変わらないけど、フィルターの外から届く声の方が、ずっとあたたかかった。
年齢は検索条件なのに、好きになるかは条件の外だった。
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。
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