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プロフィールを更新した翌朝、いいねは0件だった。あの惨めさの正体について

写真を撮り直して、自己紹介文を書き直して、翌朝開いたら0件だった。惨めで布団に潜った。でも数週間後、惨めさの正体が「アプリの構造」だと気づいてから、0件の朝がしんどくなくなった話。

26歳・女性の体験
·橘みあ·5分で読める

正直に言う。プロフィールを更新したのに、翌朝のいいねは0件だった。


前の日の夜に2時間かけて写真を撮り直した。光の入る時間を調べて、午前10時にカーテンを全部開けて、白いTシャツに着替えた。表情が自然に見えるまで何十枚か撮った。その中からマシなやつを3枚選んで、トリミングして、フィルターを少しかけて。自己紹介文も3回書き直した。


翌朝6時半。スマホを開く。0件。


布団に潜り込んだ。天井が白かった。なんでこんなに惨めなんだろうと、エアコンの音を聞きながら思った。


同期との飲み会


数週間後、同期の友達と六本木の居酒屋で飲んで、アプリの話になった。


「やってるよ」と言ったら「え、あたしもやってる」と言われて、2人でスマホを出した。彼女のいいね数を見て、視界が少し揺れた。自分より2ケタ多かった。


同じ職場で、だいたい似たような生活をしているのに。顔が特別違うとも思わない。


羨ましいとか妬ましいとかじゃなくて、ただ「自分はこのゲームに向いていない」という感覚だった。帰り道の電車で、吊り革を握りながらぼんやり考えた。いいねって、何を評価されているんだろう。写真と、年齢と、職業。最初に表示される情報はそれだけで、会ったこともない人が0.何秒かで決める。そこに一喜一憂している自分がいる。


なんか変だなと思った。


採用面接の話


採用面接に落ちても、その人が悪い人間なわけじゃない。ただ条件が合わなかっただけ。


アプリのいいねも同じだと気づいてから、0件の朝が前ほどしんどくなくなった。自分の価値が下がったわけじゃなくて、特定の条件を求めている人たちのリストに引っかからなかっただけ。惨めさの正体はそこにあって、自分の問題じゃなくてアプリの設計上の問題だった。


「写真でいいねが来る」と「会って好きになってもらえる」は、別の話。


プロフィールの書き方を変えた。よく見せようとするのをやめて、「読んでいてこういう人いるな」と思えるような文章にした。写真もきれいなやつじゃなく、「自分が実際こういう顔して笑う」とわかる1枚にした。スタバでラテを飲んでいるところを友達に撮ってもらった、少しピントが甘い写真。


いいね数は減った。


でも、マッチングした相手からのメッセージが変わった。「プロフィール読んで、なんか話してみたくなりました」という書き出しが増えた。


初デートで「プロフィール読んで、会ってみたかった」と言ってくれる人に会えた。「写真がきれいだから」ではなく「あなたが気になったから」という理由で来てくれた1人が、500件のいいねより全然よかった。


あの朝の0件について


惨めだった朝のことは今でも覚えている。0件を見て、布団に潜って、しばらく動けなかった。あの感覚は正しかった。でも解釈を間違えていた。


惨めさは自分のせいじゃなかった。アプリの構造がそういうもので、それに乗っかってしまっていただけ。いいねをくれなかった人たちより、ちゃんと読んでくれた1人の方が、全然よかった。


1いいねが来た翌朝のこと


3日後の朝、通知が光った。1件。


布団の中でスマホを掴んだ。手がかじかんでいた。12月の朝は部屋が冷えていて、指先の感覚が鈍い。画面を開いた。プロフィール写真は、笑顔の女性だった。自己紹介に「本と散歩が好きです」と書いてあった。


たった1件。0件の翌日の1件。その数字の重さが、胸の奥にじわっと広がった。


「ありがとうございます」とメッセージを送った。返事が来たのは夜の21時。「写真、自然光できれいですね」と書いてあった。あの朝2時間かけて撮った写真を、誰かが見てくれていた。


吉祥寺の井の頭公園で初めて会ったのは、その2週間後だった。12月の公園は寒くて、吐く息が白かった。テイクアウトのほうじ茶ラテを両手で包んで、池の周りをゆっくり歩いた。


「いいね0件の日があったんです」と正直に話した。彼女は少し笑って「私も3日連続で0だったことあります」と言った。その瞬間、喉の奥のつかえが少し溶けた。


0件の朝に感じた惨めさは、消えたわけじゃない。でもあの惨めさがなかったら、1件の重さもわからなかった。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

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