付き合って4週間後、彼が初めて不機嫌になった夜のこと
5分遅刻した。池袋の映画館の前で待っていた彼は、笑わなかった。2時間の映画中、彼の口は真一文字だった。「怒ってる?」と聞いたら「怒ってないです」と言った。その夜、私たちは初めて本当のことを話した。
付き合って4週間後、彼が初めて不機嫌になった。
原因は私が5分遅刻したことだった。
池袋の映画館の前で待ち合わせをしていた。17時の約束だった。山手線が少し遅れて、着いたのは5分後になった。LINEで「あと5分かかります」と連絡した。それでも遅れた。
彼は映画館の前に立っていた。私を見たとき、笑わなかった。
「ごめん、電車が遅れて」
「大丈夫です」
大丈夫じゃない顔だった。
映画の2時間
映画が始まった。隣に座って、スクリーンを見た。彼の横顔を見ると、口が真一文字になっていた。
2時間、何も話さなかった。映画が終わって、ロビーに出たとき、「どうだった?」と聞いたら「面白かったです」とだけ言った。声が低かった。
池袋の外に出た。
「なんか怒ってる?」
「怒ってないです」
「そう。なんか怒ってる人みたいに見えた」
「……5分遅刻したじゃないですか」
声はまだ低かった。でも言った。
なぜこれが重要だったか
5分の遅刻で不機嫌になる人が「悪い」とは思わない。感情は制御できるものじゃないし、時間に厳しい人がいるのは普通だ。
ただ、4週間で初めて見た「怒りの顔」が、思ったより強い怒りだったことが引っかかった。
そしてもうひとつ。「怒ってない」と言ったこと。
怒っているのに「怒ってない」と言う。これが積み重なったとき、どうなるかを考えた。不機嫌になって、言わない。これが続く関係になったら。
その夜の会話
池袋の西口の居酒屋に入って、ビールを注文した。少し時間が経って、彼の顔が元に戻ってきた。
「さっきはごめんなさい」と彼が言った。
「ちょっと待つのが苦手で。わかってはいるんですけど」
「そっか。私も5分だったけど、ちゃんと事前に連絡しなかったのは謝る」
「いや、してたじゃないですか」
「でも遅れた」
2人で笑った。
その笑いは本物だった。ちゃんと話せたことで、さっきの空気が解けた。
4週間後に知ること
付き合う前、人はベストの自分を見せる。4週間後、少しずつ「生の部分」が出てくる。
池袋の映画館の前で初めて見た不機嫌な顔は、この人の本当の一部だった。そこを見てから、どうするかを決める。
私は続けた。「怒ってない」と嘘をついたこと、後で素直に謝れたこと。両方が本当のことだったから。
完璧な人はいない。ベストな4週間を経て、その先に何があるかを見るのが付き合うということなんだと、あの夜から思っている。
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。