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趣味が同じ人とマッチングした夜。後悔しなかった2人でやってみた話

「一緒に行きませんか」——Pairsで北アルプス経験者から直球のメッセージが来た日、心臓が跳ねた。奥多摩、丹沢、八ヶ岳。5回山を重ねて、松本駅のホームで「今更ですが」と切り出した27歳の登山マッチング体験談。

27歳・女性の体験
·橘みあ·6分で読める

「一緒に行きませんか」——初手がそれだった。


Pairsのプロフィールに「登山」と書いたのは、正直なところ半分自慢みたいなものだった。去年の夏に初めて北アルプスに登って、それ以来ハマった。燕岳、槍ヶ岳、奥穂高岳——写真を撮るたびにインスタに上げていたけど、「いいね」の数より、あの稜線の空気の方がずっと本物だった。プロフィールに書いたのは「同じ趣味の人と話したい」という理由で、「それで出会いたい」という気持ちは半分くらいしかなかった。


普通はもう少し段階を踏む。「どんな山が好きですか」とか「どのくらい行ってますか」とか。でもいきなり「一緒に行きませんか」だった。スマホの画面を見て、心臓がどくんと跳ねた。その直球さが、なんか気になった。


「どのくらい行ってますか?」と返したら、今まで登った山の一覧が来た。


北アルプス全域、八ヶ岳縦走、富士山は3回、南アルプスも——それを見て、指が止まった。かなりのレベルだった。私より全然上だ。なのに「一緒に行きませんか」と言ってくる。


「奥多摩あたりから始めましょうか」と提案したら「それでいいです」と即答が来た。


合わせてくれてる、と思った。そのことが嬉しかった。


同じ方向を向いて歩くと、本音が出やすい


待ち合わせは奥多摩駅、朝8時。


11月初旬、駅の改札を出たら、もうそこにいた。ザックを背負って、モンベルのトレッキングポールを持って、完全装備で立っていた。私より5センチくらい背が高くて、日焼けした顔に山用のキャップをかぶっていた。私もフル装備で行ったのに、なんか一瞬、「場違いかな」と思った。


「よかった、山ガールだと思ってました」


最初の一言がそれだった。


「失礼な」


笑いながら言ったら、向こうも笑った。その笑い方が、屈託なかった。


歩き始めたら、話した。


「最初はどこで登山に?」「大学の山岳部です、でも社会人になってからの方が本格的に」「え、山岳部だったんですか」「ゆるい部活でしたよ、週一で高尾山とかでしたし」「それ山岳部じゃなくてハイキングクラブでは」「言わないでください、本人たちは本気でしたから」


歩きながら話すのが、こんなに自然なことだと知らなかった。立ち止まって向き合う会話より、同じ方向を向いて歩きながらの会話の方が、なぜか本音が出やすい。落ち葉を踏む音、遠くの沢の音、どこかで鳥が鳴いている——そういう音の中で、しゃべった。


4時間のコースを歩いた。途中、眺めのいい岩場で休憩した。ザックからおにぎりを出して食べた。海苔の匂いが、山の冷たい空気に混ざった。


「次は丹沢にしましょうか」


彼が言った。頂上で、まだ降りてもいないうちに次の話をしていた。


「難易度は?」


「少し上です。でも大丈夫ですか」


「大丈夫です」


どうして「大丈夫」と言ったのか。正直、丹沢は行ったことがなかった。でも彼が「一緒に」と言うなら行けると思った。根拠のない確信だったけど、なんかそう思った。


松本駅のホームで、「今更ですが」と切り出した


翌月、丹沢に行った。ヤビツ峠から塔ノ岳まで。霜が降りていた。息が白かった。頂上についたとき、富士山がきれいに見えた。


「来てよかった」と言ったら「来てもらえてよかった」と言われた。


2人で同じ山を見ていた。同じ方向を向いていた。


その次は八ヶ岳に行った。前泊して、赤岳に登った。稜線の岩場で風が強くて、思わず彼の腕をつかんだ。つかんでから「あ」と思った。手のひらが汗ばんでいた。彼は何も言わなかったけど、そのまましばらく並んで立っていた。耳たぶが風で冷たくて、でも腕をつかんだ手だけが熱かった。


冬の八ヶ岳の風の音が、今でも耳に残っている。


山を重ねるうちに、会話が変わっていった。山頂で食べる行動食の話、登山道の混雑を避けるタイミング、どこのギアが良いか。でもそういう話の間に、全然関係ない話も混ざるようになった。仕事のこと、実家のこと、これからどんな生き方をしたいか。稜線の上だと、なぜかそういう話がしやすかった。都会から離れているせいか、日常のフレームが外れるのかもしれない。


丹沢、八ヶ岳、そして5回目に行ったのが奥穂高岳だった。前泊は上高地の山荘で、夜に星空が見えた。穂高岳山荘の食堂で夕飯を食べながら、テーブルの向かいにいる彼の顔を見ていた。登山の話をしているときの彼の顔が、一番好きだと気づいていた。でもまだ何も言えないまま、箸を動かしていた。喉の奥がきゅっと詰まる感覚があった。


告白は、5回目に一緒に行った奥穂高岳の帰り、松本駅のホームだった。電車を待ちながら、ザックを足元に置いて、「今更ですが」と切り出した。声がうわずった。「今更じゃないです」と言われた。それだけだった。


今は二人で山に行く回数が、一人で行く回数より多い。もし今、一人で登ることになったら、どこか物足りない気がすると思う。山の良さは変わらない。でも山の楽しさは、隣に誰かいるかどうかで変わる。それを教えてもらった。


一人で登れる山が好きだったのに、二人じゃないと寂しい。

よくある質問

どのアプリで出会ったのですか?
Pairsで「登山」という共通の趣味をきっかけにマッチングしたとあります。プロフィールに書いた登山への反応からメッセージが来たとのことです。
実際に一緒に登山に行ったのですか?
「2人でやってみた」と書かれており、実際に一緒に山に行ったようです。「同じ趣味だけで、こんなに話が続くとは思っていなかった」という発見があったとのことです。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

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