料理教室でマッチングした人と、家で初めて料理を作った夜
「ぜひ教えてほしいです」と送ったのは完全にノリだった。でも彼女は金曜の夜、本当にエコバッグ二つ持って来た。キッチンで肩が触れたあの瞬間のことを書く。金曜日の夜、玄関のチャイムが鳴った瞬間、心臓が跳ねた。
「今から行きます」のLINEで、全部が変わった。
ドアを開けたら、エコバッグを二つ持った女の子が立っていた。Pairsで知り合った咲、27歳。「料理教室に通ってます」というプロフィールに「ぜひ教えてほしいです」と送ったのは、完全にノリだった。でも彼女は本当に来た。
話を巻き戻す。
Pairsでのメッセージは最初の一言が全てで、どうせなら普通じゃないことを言おうと思った。「いいねありがとうございます」「プロフィール拝見しました」ではなく。「教えてほしいです、マジで。イタリア料理は難しくて自分では無理でした」という一文を送った。
返信は3時間後に来た。「難しいですか?笑 私が教えてあげましょうか」。
返事の「笑」に、少しほっとした。胸が少し緩んだ。真剣に受け取られすぎてもどうかと思っていたから。
カチャトーラを一緒に作る約束
彼女——咲、27歳——とのやりとりは最初から料理の話ばかりで、途中から本当に料理を教えてもらう約束になっていた。「どこかで会って」という流れではなく、「家で実際に作る」という着地点になったのは、お互い自然にそうなった感じだった。
「何が得意ですか?」と私が聞いたら、「最近はカチャトーラを練習してます」と来た。「肉の煮込みのやつですよね。それにしましょう」と言ったら「いいですよ。材料何が家にありますか」とすぐ話が進んだ。
食材は事前にリストを送ってくれた。「鶏もも肉、トマト缶、玉ねぎ、セロリ、オリーブオイル、ワイン(赤)、ローズマリーかタイム」。「全部買います」と返したら「私も追加で何か買っていきます」と来た。「いいですよ」「気になるので」。こういう返し方をする人、好きだと思った。
キッチンで肩が触れた夜
会ったのは金曜日の夜。
玄関で「いらっしゃいませ」と言ったら笑われた。エコバッグを二つ持っていて、「食材、追加で買ってきました」と言う。「え、私が持ってきましたよ」と言ったら、「私の方が安心なので」と平然と答えた。
靴を脱いで上がって、キッチンを見て、「広い」と言われた。そんなに広くない。でも彼女がそう言ったから、少し嬉しかった。
エプロンを2枚出した。自分のと、用意していたやつ。「気が利く」と言われた。「一応」と答えた。
料理が始まった。
彼女は手際が良かった。玉ねぎを刻む速さ、セロリの切り方、トマト缶を開けるタイミング。全部に迷いがなかった。私は言われた通りに動いた。「鶏肉、塩とこしょうで下味つけてください」「ワイン、これくらい入れて」。指示が具体的で、わかりやすかった。
キッチンは狭い。隣に立つと、肩が触れる距離だった。触れるたびに、耳が熱くなった。彼女の横顔が近かった。真剣な顔で鍋をかき混ぜていた。彼女の髪からシャンプーの香りがして、息が浅くなった。料理している人の顔って、こんな感じなんだ、と思った。集中していて、でも楽しそうで、ときどき独り言みたいに「うん、いい感じ」と言った。
トマトとワインの匂いが部屋に広がった。美味しそうな匂い。でもそれより、彼女がそこにいる、という感覚の方が強かった。
「少し煮込みます。15分くらい」
「ワイン、飲みますか」
「飲みます」
コンロの火を弱めて、2人でリビングに移った。赤ワインをグラスに注いで、向かい合った。
「料理、教えてもらってよかったです」
「まだ完成してないですよ」と彼女が言った。「でも雰囲気で」と私は言った。
カチャトーラの味と、その後
完成したカチャトーラは、本当に美味しかった。
トマトの酸味とワインの香り、鶏肉がほろほろで、セロリの香りが全体をまとめていた。「これ、自分で作れます?」と聞いたら「レシピ送ります」と言われた。「でも一人で作っても半分も美味しくない気がします」と言ったら、「また教えに来ます」と返ってきた。
食器を洗って、ワインの残りを飲んで、23時を過ぎていた。彼女が帰り支度を始めた。エプロンを外して、バッグを持って。玄関で「楽しかったです」と言った。「また来てください」と言った。
ドアを閉めた後、台所に残ったカチャトーラの匂いの中で、しばらく立っていた。手のひらがまだ温かかった。彼女がいた場所の空気が、まだそこにあるような気がした。
あの夜から3ヶ月後、付き合った。最初のメッセージから数えると、4ヶ月だった。料理を教えてもらうところから始まって、今は隣で寝ている。
ノリで送ったのに、人生が変わる一言になっていた。
よくある質問
どのアプリで知り合ったのですか?↓
実際に家で料理を作ることになったのはどういう経緯ですか?↓
その夜、どんな料理を作ったのですか?↓
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。